26.そして後に伝説となる冒険者の物語が始まる
フンデルよ、私は帰ってきた!5分ぶりに。
「あ、あの、」
門を入った所で、いきなり美少女に話しかけられた。その眼差しは、まるで救世主に会ったかのような熱い眼差し。
む、この少女…。あきらかに俺より年下なのに、どこぞのお嬢様と違って結構胸がでかいぞ。
拷問のような大量のブラジャー作製を耐えきった俺には、見ただけでかなりのところまでわかる。あの時の拷問の最後の方で、伊達にパンティ一郎からブラジャー乳郎にあだ名が変わっていたわけではないのだよ!
その俺の勘が告げている。こいつは少なくともC、いや、Dはあるはずだ。
「あの、私はアリサといいます。私のこと覚えていませんか?」
知らん。そもそもこの世界では人間の女に限定すると、知り合いはヘルメスしかおらん。
これは、ノコノコついて行ったら怖いお兄さんがコンニチワするパターンか?こんな朝からなんて治安の悪いことだ。
「ごめんなさい、覚えていません。」
「一ヶ月前にお母さんを助けてもらって、お金を沢山貰いました。覚えてませんか…?」
一ヶ月前?お母さん?お金?少女…?う、頭が…。いや、そうじゃない。そういやいたな。
「あぁ、あのボロクサ少女か!」
「ボ、ボロクサ…?」
「あ、いや、悪い意味じゃないんだ。ボロボロで臭い少女だったから、つい。」
「ボロボロで臭い…、臭い………」
やばい、変な感じになった。ボロボロで臭いはあきらかに悪い意味だ。アリサの表情があからさまにくもってる。なんか話題変えなきゃ。
「そういえば、お母さんは元気になったの?」
「はい!元気になって働いています!」
「それは良かった。」
「これ、あの時のお礼です。大したものじゃ無いんだけど、貰ってください。」
そう言って、アリサは指輪を一つ渡してきた。
「お礼なんて良いのに。」
「お母さんからも…。えぇと、すみません、名前聞いてませんでした。」
「あ、名乗ってないね。ヒデキといいます。」
「ヒデキ様ですね。お母さんからももし会えたら、この指輪をつけてもらえって言われてるので。」
期待した目で指輪を持った俺を見ているので、適当な指にはめておく。
「わかった、ありがたく貰っておくよ。」
「そういえば、ヒデキ様は門から入ってきたけど、どこかに行ってたんですか?」
「一ヶ月ほど用事で他の所に行っていて、今この街に戻ってきたところだよ。やることが一段落したから、これから冒険者ギルドに行って、冒険者として登録するところなんだ。」
突然、アリサの目が輝く。
「私も今から登録に行くんです!良かったら一緒に行ってくれませんか?」
「すごい偶然だね。ギルドについて何も知らないから、一緒に行ってもらえるのはありがたいよ。」
「やった。ヒデキ様、ありがとうございます!」
「これからは同業者になるんだし、ヒデキでいいよ。話し方も普通でいいよ。」
「いいんですか?」
「見てると話しづらそうだからね。気楽に話をしたいし。」
「わかった。私のことはアリサと呼んでね。」
「アリサ、これからよろしく。」
「ところで、もしかして、ヒデキの名前は伝説の勇者ヒデキにあやかって?」
「そうらしい。俺は勇者ヒデキの伝説を全然知らないけどね。」
「そうだよね。知ってたら否定しそうだし、今どきあんまりいない名前だもんね。」
「え?いないの?多いって聞いたけど。」
「昔は多かったらしいけど、伝説の内容が…。」
そして語られた勇者ヒデキの伝説
勇者ヒデキ伝説
・1000人の盗賊に襲われて2000人の盗賊を捕縛した。
・一日に10000台の馬車を救ったことも。
・ただし、救った馬車は美女・美少女が乗った馬車限定。
・余りの強さに最初から敵が全員倒れていた。
・今依頼を受けて街を出たと思ったらそれは残像で、既に依頼を達成して戻ってきたところだった。
・自分で放ったファイアーボールに乗って敵に接近するパフォーマンスを行う。
・勇者ヒデキが街を歩くだけで街中が感激する。
・ある年の最大の事件は勇者ヒデキ風邪をひく。
・息をするだけで魔王が失神した。
・握手をすると勇者ヒデキの子を授かる。
・そんな訳で、自称ヒデキの子孫は10万人を超える。
・目があっただけで王女様が妊娠したのは余りにも有名。
いやいやいやいや、こんな話聞いてないし。明らかにおかしい伝説だから。最初のは盗賊増えてるし。馬車襲われ過ぎだし。特に最後の三つは絶対やばいだろ。簡単に妊娠させすぎだろ。伝説通り越して猥褻になっちゃってるよ!
何でこんな奴にあやかる名前が多いんだよ。いや、今は多くないのか。ヘルメスの馬鹿、なんて名前つけやがるんだ。
「さっきは私の胸見てたし、ヒデキは勇者にあやかれたの?」
なんか、アリサが俺の股間を見ている。感動の再会をした時の尊敬する眼差しじゃない、微妙に嫌なものを見るような目だ!やめろ、そんな目で見るんじゃない!




