明日へと向かって⑦ 友達との時間
「逆に聞きたいんやけど、公立中学ってどんな感じ?クラブとかすごい楽しそうなイメージがあるんやけど。」
僕は乾君たち4人を見渡して聞いた。
「クラブは楽しかったな。内申気にして入っとかなあかん感じやったけど、やってて楽しかったな。同級生もいっぱいおったし、先輩もいい人多かったし。それに、試合があるから目標もあって熱中出来たな。なあ、上林。」
乾君が上林君に同意を求めるように言った。
「うん。そうだね。クラブは楽しかったね。桧室のところは逆にほとんどの生徒がクラブに入ってたよ。加入率は9割超えてたんじゃないかな。」
上林君が言った。
「へえ、いいなあ。ちなみに、みんなは何のクラブに入ってたの?」
僕はみんなに聞いてみた。
「俺は男子の軟式テニス部。上林は空手道部。そして、武隈さんと斎藤さんが女子の軟式テニス部に入っててん。」
乾君がみんなを代表して答えてくれた。
「それじゃあ、勉強はあまりうるさく言われないの?」
僕がまた聞いた。
「公立だし、個人の問題だから、そんなにうるさくは言われなかったな。勉強しなかったら高校に行けなくなるか、行きたい高校に行けなくなるだけだから。みんなそこのところは自分で分かってるから自分の行きたい高校目指して、それぞれ頑張ってたって感じかな。」
また、乾君が答えてくれた。乾君はどうやらリーダーシップを取れる感じのタイプみたいだ。小学校のときはそういうことは意識したことがなかったから意外な感じがした。
「塾とかは行ってたの?」
またまた僕が聞いた。
「うん。ほとんどの生徒がどこかの塾に行ってたな。俺も行ってたし。学校の勉強と情報だけでは足りないから。たまに、塾に行かずにすごい成績出す奴がおったけど、例外やな。」
これまた乾君が答えてくれた。
「なあ、桧室は高校行ったら何かクラブに入るんか?」
と、これは上林君が聞いてきた。
「そうだなあ、僕、中学の時クラブやってなかったから運動部とかは言ってもついて行かれへんと思うから運動部はやめとこうと思ってるねん。それで学校案内見てたらボランティア部ってあったから、興味があったし、それに入ってみようかなって思ってる。上林君とかみんなは、高校入ってもテニスや空手続けるの?」
僕はそう答えて聞いてみた。
「俺は空手を続けるつもり。桧室もそんなこと言わんと何か運動部にはいったらいいのに。」
と上林君が言った
「うーん。でも中学の時何もやってなかったから自信ないよ。」
と僕は言った。
「そんなん大丈夫やって。中学と高校で違うクラブに入る人もいるくらいやし、何か考えてみたら?何やったら一緒に空手部入るか?」
と少し冗談めかして上林君が言った。
僕は小学生の時6年生まで空手をやっていたので少し興味をひかれた。
「うん。考えてみるよ。」
と僕は言った。
「うん。それがいいと思う。ところで、乾たちはテニス続けるんか?」
と上林君が聞いた。
「俺は続けるつもりやで、斎藤は続けるって言ってたけど武隈さんはどうするつもりなん?」
乾君が武隈さんに聞いた。
「そうね。私も続けるつもりだけど、さっき桧室君が言ったボランティア部に私も興味があるの?掛け持ちできそうだったらしてみようかなって思ってるの?桧室君、高校入ったら一緒にクラブ見学行こうか?」
武隈さんが僕の方を見てそう言った。
「桧室君も武隈さんもすごいわね。私はボランティアなんて考えたこともなかったわ。二人ともどうしてボランティア部に興味を持ったの?」
話を聞いてきた斎藤さんが言った。
「私は将来、福祉の仕事をしたいなって思ってるから、ちょっとでも福祉に関係のある事ができたらいいなと思ったの。桧室君はどうしてなの?」
武隈さんが斎藤さん質問に答えて、そのまま僕に聞いてきた。
「僕もだいたい武隈さんと同じかな。将来、福祉関係っていうか何か人の役に立つ仕事がしたいなって思っているから、それにつながるかなって思って。」
僕は僕以外にも福祉関係を目指す人が身近にいることに驚いたし、嬉しかった。
「じゃあ、桧室君、高校始まったらクラブ見学一緒に行こうか。」
武隈さんが笑顔で僕を誘ってくれた。僕も異存があるわけではなく大歓迎だった。
「うん。そうしようか。もしよかったら、みんなの連絡先も教えてほしいんだけど。今のところ乾君の連絡先しか知らないから。」
僕はみんなに提案してみた。
「いいよ。」
「いいわよ。」
みんな快く同意してくれ、みんなで連絡先の交換をした。
「俺たち5人、みんな同じクラスやったらいいのにな。」
上林君がみんなを見渡して言った。
「それは無理やろ。桧室は中学校が違うから俺たちの誰かと一緒のクラスになる可能性は高いけど、同じ中学校の俺たち4人は離されるやろ。一緒やったら嬉しいけどな。」
乾君が残念そうに言った。
「あらあら、もうこんな時間。食べ終わってからもだいぶん長い時間お話してたのね。お店の人に悪いから、今日はもう帰ろうか。」
時計を見ながら武隈さんが言った。
「そうやな、まあ、クラスがバラバラやっても、またこのメンバーで集まろうか。」
乾君が今日の集まりをまとめるように言った。
「賛成。」
誰が言ったわけでもなく、みんなが唱和した。それで、会計を済ませ、今日は解散した。僕はとても楽しかったし、今から入学式が待ち遠しくなってきた。それから、残り少ない春休みもあっという間に終わり、明日はいよいよ暁南高校の入学式の日になった。
そして、ここは入学式前日の暁南高校。教室の中に1人の人物がいた。1年4組の担任になる風宮享子先生だ。
「明日が、入学式ね。桧室君は私のクラスで、小学校の時のクラスメイトだった乾君と武隈さんが同じクラスになったのね。他にも同じ小学校の出身者がいるけど、さすがに全員は不自然だし、逆に不公平になってしまうもの。小学校の先生に聞いたら、乾君と桧室君は同じクラスで仲が良かったみたいだから、一安心ね。」
私は誰もいない教室で、自分に確認するように言った。
「新入生は全部で320人。合計で8クラスだから、よく乾君と武隈さんを同じクラスにしてくれたものね。やっぱり、教頭先生も校長先生も彼の受け入れを相当心配しているようね。でも、大丈夫。私が彼を立派に育て上げるんだから。」
私は必ず問題なく彼を溶け込ませられるように頑張ろうと改めて決心した。




