明日へと向かって⑥ ボウリング
それから数日が過ぎ、約束通り、乾君からメールが来た。
〈元気にしてたか?明日空いてるか?〉
〈うん、大丈夫だよ。空いてるよ。〉
〈そしたら、俺と斎藤、上林、武隈と桧室の5人で遊びに行かへんか?〉
〈いいよ。どこ行くの?〉
〈ボウリングでも行こうかと思ってるねんけど、どうや?〉
〈いいよ。楽しみにしてるよ。〉
〈そしたら10時にボウリング場集合でよろしく。〉
〈オッケー。ありがとう。10時に行くよ。〉
こうして高校生活を共に過ごすことになる友達と早速遊ぶ予定ができた。僕はとても嬉しかった。明日も楽しみだけど、4月からの新生活もすごく楽しみになってきた。
翌日、僕はみんなと会うのをすごく楽しみにしていたこともあり、早めに家を出た。ボウリング場に着いたらまだ誰も来ていなかった。少し待っていると、上林君が来て、次に武隈さんが来た。そして最後に、乾君と斎藤さんのカップルが来た。
「おう、待たせたな。」
乾君が僕たちに近づいてきて言った。乾君の横にはピッタリと斎藤さんが寄り添っていた。きっと仲のいいカップルなんだなと僕は思った。
5人揃ったところで、全員でボウリングの受付を済ませ、レーンに向かった。1レーン最大4人までなので、ジャンケンのグーパーでチーム分けをした。チームは、1つ目のチームが僕と乾君と上林君、もう一つのチームが武隈さんと斎藤さんという具合に偶然、男女別々のチームになった。各々シューズを履き替え、ボールを選びゲームがスタートした。ボウリングは中学校の友人や彩音さんと何回かしかやったことがなかったので、スコアも100前後しか出ないので、みんなが上手だったらどうしようかと少し不安だった。そんなことを考えていると乾君が話しかけてきた。
「桧室ってボウリングとかやってたん?」
「ううん。ほとんどやったことないねん。みんなが上手だったらどうしようって、ちょうど考えていたところだったんだ。」
「なんや、そんなこと気にせんでええのに。俺らかってそんなにやったことないで。スコアも100とかそこらやで。」
それを聞いて僕はほっとした。
ボウリングが始まった。ボウリング中はみんなゲームに夢中になっていた。ストライクやスペアが出たらハイタッチをしてはしゃいでいた。合計で3ゲームやった。スコア的にはいつものとおりで100前後だったが、すごく楽しい時間で、あっという間に過ぎていった。
それから、僕たちはどこかで昼食にしようということになった。どこにしようかとみんなで考えていて、少し離れたところにあるファミリーレストランに行くことになった。みんな自転車だったので、自転車で店まで移動した。お昼時なので混んでいるかなと思ったが、平日ということもあり、思ったより店内は空いていた。店内では、5人で1つのテーブルに着くことができた。メニューを見て、それぞれ注文をした。久しぶりにはしゃいだからとても空腹だった。注文した料理が運ばれてきて、それぞれ食べ始めた。
「ボウリング楽しかったな。」
乾君が食べながら言った。
「そうだね。久しぶりにむちゃくちゃハッスルしたよ。」
僕も注文したハンバーグランチを食べながら言った。
「桧室に聞きたかったんやけど、私立中学ってどんな感じなん?」
乾君が聞いてきた。僕はこの手の質問は今後山ほど聞かれるなと思っていたので、やっぱり聞かれたかと思った。逆に僕も公立中学がどんな感じか聞きたかったのでお互い様かなと思った。
「どんな感じって、具体的に言うとどんなことかな?」
「やっぱり勉強ばっかりさせられるん?」
乾君が興味津々な感じで聞いてきた。
「それほどでもないよ。クラブも少ないけど、サッカー部やバスケ部は活動してたから。でも、クラブに入っている生徒は2~3割くらいかな。勉強はうるさかったよ。中高一貫だから、高校入試より大学に行く話ばっかりだったよ。毎朝、小テストがあったり、夏休みにも補講や授業があったりしたよ。」
少し長い返事になったけど、僕はありのままを答えた。
「課題とか補講とか多かったの?」
今度は上林君が聞いてきた。
「課題というか宿題は毎日あったよ。補講というか小テストの点数が悪かったりしたら、残されて補習や自習をさせられてたよ。」
「うわあ、大変だよね。ほとんど遊べないね。」
今度は武隈さんが言った。
「そんなことはないよ。土曜日は午前中授業があったけど、日曜日や祝日は休みだから遊びに行ったりはできたよ。平日も学校帰りに、こっそりとゲームセンターに行ったり、買い物に行ったりできたし。でも、男ばっかりだからむさ苦しかったよ。」
僕は笑いながら言った。
「あっ、そうか、上陽館中学って男子校だったんだね。上陽館の生徒で他の学校の女子と付き合ってる生徒とかいたの?」
今度は斎藤さんが遠慮がちに聞いてきた。
「僕は知らないけど、中には数人ぐらいはいたんじゃないかな?」
そういう僕も彩音さんと付き合っていたけれど、そのことは内緒にしておこうと思ったので言わなかった。




