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第二話 ハズレ属性の俺、加護で最強かもしれない

コメントできればよろしくおねがいします。

励み、やる気につながるので嬉しいです。

 属性鑑定の儀から、一週間が経った。


 俺たちが召喚されたアヘレス帝国では、毎日のように勇者教育が行われている。


「魔法とは、“想像”だ」


 教壇の前でそう語るのは、国王の側近である執事だった。


 白髪混じりの髭。


 細い目。


 いかにも性格が悪そうな顔をしている。


「だが、ただ想像すれば発動するほど魔法は甘くありません」


 執事は杖で黒板を叩いた。


 そこには大きく三つの文字が書かれている。


【魔力収束】

【属性変換】

【魔力コントロール】


「魔法発動には、この三工程が必要となります」


 周囲のクラスメイトたちは真面目に話を聞いていた。


 俺以外は。


「……」


 俺はぼんやりと、目の前に浮かぶ文字を見つめていた。


《神授加護》


《魔力永続成長》

《属性変換速度上昇》

《属性看破》


 本当に、誰にも見えていない。


 この一週間、何度確認しても同じだった。


 朝霧にも、森田にも、かんなにも見えていない。


「……なんなんだよ、これ」


 加護。


 ゲームみたいな言葉だ。


 でも確かに存在している。


 しかも。


《ガイド機能を起動します》


「うおっ!?」


 急に文字が変わった。


《魔法理論を表示します》


「……は?」


 次々と情報が浮かび上がる。


《魔法発動には以下の三工程が必要》


《一、魔力収束》

《二、属性変換》

《三、魔力コントロール》


「……え?」


 俺は思わず黒板を見る。


 執事の授業内容と、ほぼ同じだった。


「まず魔力を集める。そして自身の属性へ変換し、最後に制御する。これが魔法の基本です」


 髭面執事の声が響く。


「……マジかよ」


 加護、本物だ。


「では神白たくま」


「えっ?」


 急に名前を呼ばれ、肩が跳ねた。


 執事が冷たい目を向けてくる。


「氷属性が“ハズレ”と呼ばれる理由を答えなさい」


「……え、っと」


 やばい。


 急すぎる。


 周囲の視線が集まる。


「…………」


 答えられない。


 すると。


「クスクス……」


「やっぱダメじゃん」


「氷属性以前の問題だろ」


 小さな笑い声が広がった。


 胸が痛む。


「神白くん、大丈夫?」


 隣の朝霧が小声で言った。


「気にすんなってたくっち」


 かんなもフォローしてくれる。


「……悪い」


 執事は露骨にため息を吐いた。


「氷属性は、属性変換効率が極めて悪い」


 黒板を杖で叩く。


「魔力を圧縮し、冷却し、さらに形を維持しなければならない。故に燃費は最悪。発動速度も遅い」


 その瞬間。


《ガイド補足》


 再び文字が浮かぶ。


《氷属性は高密度魔力圧縮型属性》


《圧縮工程が存在するため変換速度・魔力効率が低下》


《ただし、構築自由度は全属性中最高クラス》


「……なるほど」


 思わず呟く。


 つまり。


 火や風は変換が簡単だから速い。


 でも氷は違う。


 圧縮して、冷却して、固定する。


 工程が多い。


「そりゃ弱いって言われるわけだ……」


 普通なら。


 だけど。


《属性変換速度上昇》


 加護の文字を見る。


 氷属性最大の欠点。


 それを、この加護は潰している。


 さらに。


《魔力永続成長》


「……あれ?」


 俺、もしかして。


「最強じゃね?」


「神白たくま」


「はい!?」


 執事が睨んできた。


「私語は慎みなさい」


「す、すみません……」


 やべぇ。


 授業終了後。


 俺は廊下を歩いていた。


 すると。


「ふざけんなよ!」


 突然、森田の怒鳴り声が聞こえた。


「……?」


 俺は足を止める。


 声は扉の向こうから聞こえていた。


「あなた方はこの国の勇者なのです」


 執事の声だった。


「光属性、雷属性、神聖属性。いずれも極めて貴重な力です」


「だからなんですか?」


 朝霧の声。


「神白くんは友達です」


「そうそう。たくっち差別とか普通に引くんだけど」


 かんなも不機嫌そうだった。


 だが執事は淡々と言う。


「あの氷属性は雑魚です」


 その一言で。


 胸がズキッと痛んだ。


「あなた方の価値を下げる存在と関わるべきではありません」


「雑魚とか言うな!」


 森田が机を叩く音がした。


「たくまは俺らのダチだぞ!」


「……」


 俺は静かに扉から離れた。


 なんだろう。


 嬉しいのに。


 苦しい。


「……ダメだな俺」


 三人に庇われてばっかりだ。


 このままじゃ。


 一緒にいられなくなる。


 夜。


 俺は城の外れにある小さな広場へ来ていた。


「……やるか」


 誰もいない。


 静かな夜だった。


 俺は手を前に出す。


 思い出せ。


 魔力収束。


 属性変換。


 魔力コントロール。


「……っ!」


 体の奥から何かを引っ張り出す感覚。


 熱い。


 苦しい。


 頭が痛い。


「ぐっ……!」


 それでも無理やり圧縮する。


 冷やす。


 固定する。


 そして。


 パキッ。


 小さな氷の結晶が、掌に生まれた。


「……できた」


 親指サイズ。


 めちゃくちゃショボい。


 その瞬間。


 猛烈なめまいが襲った。


「うおっ……!?」


 足がふらつく。


 そのまま地面へ倒れ込んだ。


「っつ……」


 視界がグラグラする。


 魔力切れか。


 たったこれだけで?


 すると。


「ぷっ」


「見ろよあれ」


「氷一個でバテてんじゃんw」


 通りかかったクラスメイトたちが笑っていた。


「やっぱハズレ属性だな」


「戦力外すぎる」


「……」


 悔しい。


 でも。


 俺は加護を見ていた。


《魔力使用を感知》


《総量を増加します》


「……これか?」


 次の瞬間。


《現在魔力量:100,000》


「…………え?」


 思考が止まる。


 いや待て。


 増え方おかしくないか?


「……はは」


 口元が勝手に歪む。


 なんだこれ。


「おもしろくなってきたな」

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