第十一話 初心者殺しの依頼
とても遅くなってすみません。
これから前のように投稿していくつもりです、これからもよろしくお願いします。
ソフィアとの決闘が終わったあと。
俺とアレナはダンジョンへ向かうため、街の大通りを歩いていた。
すると後ろから聞き覚えのある声が響く。
「あんたたち! 待ちなさい!」
「……げっ」
思わず声が漏れた。
振り返ると、そこには腕を組んだソフィアが立っていた。
その表情は、どう見ても不機嫌だった。
「何よその反応」
「いや……なんで来たんだよ」
するとソフィアはズカズカと近づいてくる。
その瞬間。
「ガァルルルル……」
横でアレナが低く唸った。
耳を立て、尻尾を逆立てながらソフィアを睨んでいる。
怖い。
「まぁ落ち着けアレナ」
「落ち着いておる! これは威嚇じゃ!」
「落ち着いてないなそれ」
俺がため息をつくと、ソフィアがジト目で睨んできた。
「なんでだよ。もう十分わかっただろ」
「そうね、よくわかったわ」
ソフィアはニコリと笑う。
だが目は笑っていなかった。
「でも私の胸当てと剣、壊したの誰かしら?」
「……いや、それはお前が悪いだろ」
「だけど?」
「……」
「壊したあんたも悪いでしょ」
ぐうの音も出なかった。
「でも、ついてくるって――」
俺が言いかけた瞬間、ソフィアは指を立てた。
「あんたに頼みがあるの」
「頼み?」
「ダンジョンにいる大型甲殻種――硬殻クラブの素材を取ってきてほしいのよ」
「カニ?」
「カニよ」
なんか急に親近感湧いたな。
「その素材で新しい剣と胸当てを作ってもらうの。だからお願い」
「……なるほどな」
俺は少し考える。
ちょうどいい。
色々試したいこともあった。
モンスター相手なら、手加減する必要もない。
「わかった。取ってくる」
「そう。じゃあよろしくね」
ソフィアは満足そうに頷いた。
「しっかり取ってくるのよ?」
「あぁ、わかったわかった」
そう言うとソフィアは踵を返した。
だが去り際。
「……あと」
「ん?」
「死なないでよ、新人」
小さくそう呟いて、人混みの中へ消えていった。
「……」
「たくま」
横を見ると、アレナがムスッとした顔でこちらを見ていた。
「なんだよ」
「我、あの女きらいじゃ」
「知ってる」
「次会ったら殴ってよいか?」
「ダメです」
「むぅ……」
アレナが不満そうに耳を垂らした。
その姿に思わず苦笑いが漏れる。
「やっと落ち着けるな」
俺がそう呟いた時だった。
「おっ」
通りの先に大きな店が見えた。
武器屋だ。
「アレナ、寄ってくか?」
「うむ!」
店に入ると、壁一面に武器が並んでいた。
剣。
槍。
斧。
弓。
見ているだけで少しワクワクする。
……いや落ち着け俺。
中学の頃みたいになるな。
黒歴史を思い出す。
当時の俺はかなり重症だった。
黒いコートを着て。
傘を刀みたいに持って。
技名とか考えていた。
……やめよう。
死にたくなってきた。
「たくまっ! 我はこれがいいのじゃ!」
アレナが両手で持ち上げたのは、銀色の小手だった。
「小手がいいのか?」
「うむ!」
アレナは嬉しそうに笑う。
「たくまが決闘で使っておったじゃろ? 我もモンスターをぶん殴りたいのじゃ!」
そして少し間を置いて。
「ついでにあの女も」
「やめなさい」
「ぬぅ……」
「大事件になるから」
「たくまがやめろと言うなら仕方ないのじゃ……」
アレナがぶっきらぼうにそっぽを向く。
だが尻尾は揺れていた。
「たくま! いつでも言うのじゃ! 我があの女を殴ってやる!」
「あぁ、大丈夫だよ」
「そうか?」
「うん」
「……なら仕方ないのじゃ」
その代わり、と俺は笑う。
「モンスターいっぱい倒そうな」
「うむっ!!」
アレナがぱっと笑顔になる。
その笑顔は、やっぱり反則だと思った。
俺たちは武器屋をあとにし、そのままダンジョンへ向かう。
この時の俺たちはまだ知らなかった。
今、ダンジョンの中で何が起きているのかを。




