↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Twin Me  作者: ぼなぺてぃーと
第1章 「1年生編 僕の世界と、夢のセカイ」
PR
11/22

11話 「散りゆく花火と恋心」

「お、もうこんな時間か。早く移動しないと、良い場所なくなっちゃうよ」



人の流れが川の方へ変わりつつある。花火が打ちあがるまで、あと30分といったところ。



僕たちは毎年同じ場所で見るのが恒例になっているんだけど…。

そのスポットは比較的穴場とはいえ、場所取りはしておかないと、満足に鑑賞できない。

それくらい、人でごった返している。


そこに向かって歩いてる途中で、ついに恭介が動き始める。


「すまん、みんな。綾寧…二人で、話したいことがある。俺について来てくれないか?」


いよいよ来てしまった、この時が。


「い、今!?もう花火始まっちゃうよ?」


困惑した様子の綾寧。



「そうだ。どうしても今…お前に伝えたいことがある。」


「……そっか、分かった。ごめん、ちょっと行ってくるね」



この後、どんな話をされるのか。…それを悟った様子で、恭介に連れられて行った。


結局、残されたメンバーで花火を見ることになった。賑やかしの2人がいないこともあって、いつもよりもの寂しい。


「あいつら、どこに行ったんだ?腹でも壊したのか」


翔はたぶん、何一つ理解していない。事前に聞かされてなくても、あのセリフを聞いたら告白だって分かるだろ。


「晴太くん…もしかして知ってたの?」


鏡花は小声で僕に問いかける。


「実はこの前、恭介に相談されて…。」


分かった、とでも言うかのようにゆっくりと彼女は頷く。


「あの時悩んでたのって、そういうことだったのね…。無理もないわ。」


…


『ヒュ~~……ドカーン!』



1発目の花火が打ちあがる。でも、今はそれどころじゃない。親友が告白していると考えると、どうしてもそわそわしてしまう…。


せっかくのメインイベントだけど、味わえるようなメンタルじゃなかった。


そして、時間だけは徒に過ぎていく…。


…



花火大会が終了すると、周りの人たちは拍手で祭りの成功をお祝いした。

火薬の匂いをまだ微かに感じる川のほとりに、パチパチと手をたたく音が響き渡る。


「今年もすごかったな…花火の文化がある国に生まれて良かった!」


どうやら翔は存分に楽しめたようで、満足げな表情をしている。

見物に集まっていた人たちは、徐々に帰路に着き始める。それもそのはず、明日はただの平日だ。


学校も仕事も普通にあるだろうし、それは僕たちも例外ではない。


「どうする?とりあえず、ここで待っとくか…」


二人はまだ帰って来ない。電話をかけたいところだけど…まだ話してるかもしれないしなぁ…。


「思ったより長いわね…。みんな揃って花火を見れたら良かったのだけれど。」



5人で花火を見れなかったのは何年ぶりだろう。毎年決まってこの場所で…みんな揃ってみるのが当たり前だった。


あと何回、みんなとここで集まれるのかな。



「当たり前」と思っているようなことほど、気付いた時には失ってしまっているものだ。


昔は、田舎にある母さんの実家に毎年、お盆の時期になると帰省していた。その度に、おばあちゃんが良くしてくれたのをよく覚えている。駄菓子屋に連れて行ってくれたり、いつも美味しいご飯を用意してくれたり。


あの日だって…。会えるのはこれで最後だなんて、思いもしなかった。

些細なことで、おばあちゃんに酷いことを言ってしまった。

まだ小さな頃だったから、なんて言ったら言い訳になっちゃうけど…。


もう謝ることも、再会することさえ叶わない。


それ以来、僕は「今」を大切にするようになった。根底には、そういう理由がある。



センチメンタルな気持ちになっていると、人の流れに逆らって、綾寧が1人で帰ってきた。


しかし…ただならぬ様子だ。明らかに目には涙を浮かべていて、なにも喋らない。そのまま、鏡花に抱きついてすすり泣く。


この状況から察するに、何があったのかは一目瞭然だ。かける言葉が見つからなくて、僕はただその様子を見ているしかなかった。


「綾寧!?大丈夫か…?それに、恭介はどこに行ったんだ。」


この期に及んでこいつは、イマイチ状況が呑み込めていない。


「翔…。今はそっとしておいてあげよう。」



どうしたものか…。まさかこんなことになるなんて、予想だにしなかった。むしろポジティブな方向で考えていたから、余計に。

ふとスマホの画面を見ると、通知が一件。





「ダメだったわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。