21話
りんながこむぎの見つめている先を目で追うと
やけに背が高い美男子が刀を抜きながら歩いてくる
雨冬が言う
「おはようございます。
......。
噂に聞いていた以上ですね。野々宮湖麦さん。今のは僕の必殺技だったのですが。」
こむぎが言う
「君の言葉は聞かないよ。君...雨冬杏樹だろ。」
雨冬が言う
「違います。」
違わないだろ
蝦夷が奥から歩いてくる
「雨冬くん!!どうしていつも邪魔をするのだっ!!」
雨冬が言う
「ええ。失礼しましたね。」
蝦夷が言う
「そうじゃなくて!!謝ってほしいんじゃない!!」
りんなが会話の間に入る
「ちょっと~♡私は置物なの~?♡」
蝦夷の感情が爆発する
「あ~もういいのだ!!うおお~!!」
蝦夷が力任せに飛び掛かりかかと落としをこむぎに食らわせる
が、こむぎは軽く片手で受け止める
蝦夷が言う
「お前硬すぎるのだ~!!」
こむぎが言う
「それなら君だって。私の蹴り喰らって死ななかった人は初めて見たよ。」
りんながドン引きする
「え....?死ななかったの......?」
雨冬がりんなに刀を向ける
「私の名前は雨冬杏樹です。戦いましょう。正々堂々と。」
りんなが不気味な笑みを浮かべる
「なに言ってるの~これは闘いじゃなくて、殺し合いだよ?♡」
翔とアリスが遠くで花札邸に向かっている様子が見える
この殺し合いにおいて、重要なのは何を目的として争うか。
それは単純である。
五光の目的は花札の逃走時間の確保。大領帝国特殊部隊側は花札の死。
この戦闘でわかることは、五光側と領帝特殊達の実力差は明らか。
領帝特殊達の方が圧倒的に上だ。
......。
この戦闘では誰かが死ぬ、もちろん五光側の誰か。ここでは人情など関係なく、任務遂行のためならば誰の死もいとわない。
《《それが自分であろうとも》》。
雨冬が言う
「時間稼ぎは終わりです。
逃げてください。蝦夷さん。」
蝦夷が言う
「え...?」
雨冬が言う
「ここからは.....
門下が建物の影から姿を現す
「杏樹。私も参加しよう。」
雨冬が言う
「そうですか...ええ。そうしましょう。」
++++++++++++++++++++
アリスと翔が建物を伝い、花札邸へ移動していると
いきなり結界にぶつかる
「っっっっ!?!?!」
そうすると雨冬の分身が現れる
「ここから先は通せません。」
翔が言う
「こいつら....正気なの....?」
建物の下に目を落とすと、こむぎ、りんな、雨冬(本体)、門下、蝦夷、そしてパロマとゆうかが遠くから歩いてきている
生物リミッター。それは人間の限界であり天井でもある。そのリミッターを人工的に解除できる方法があるとすれば、ここで使わない手はあるだろうか。
雨冬が自らの喉元に手を添える
そうすると雨冬の背後から何かが現れる
青い霧、巨大な歯、龍のような顔が雨冬の顔の近くに迫る
.....。
守護霊と言う言葉は聞いたことがあるであろうか。それは生物リミッターを解除したときに現れる己の限界の具現化。
雨冬の刀が青色に発光していくと
門下の背後にも守護霊が現れる
虎のような見た目をしている
翔とアリスが建物から降りてくる
翔が言う
「....こいつら...本気なのか.....。」
雨冬の守護霊から霧が出て
辺りの包み込む
その間も膠着状態が途切れることはなかった




