14話
震える指で死体を数え、その死体の身元を確認し、回収する。
戦争では珍しくない光景だ。だが今回は違う。
「おい!!!走れ!!!」
「え?」
「今すぐ走れええええええええええ!!!!!!!!!!」
「は?」
「《《全員死ぬぞ》》おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
空気が蒸発する
時空が引き裂かれる
世界を喰らう者は
現れた。
いや、
《《現れてしまった》》。
こいつが平和の守護者だ。
大剣で にして斬られた警察官、救急隊、全員が一斉に叫ぶ。
笑顔を見せて!!
笑顔を見せてよ!!!
お化けなんてないさ
お化けなんて嘘さ!!
歓喜の雫をこぼした《《愚者の唄》》
狂気
凶気
狂器
凶器
その《《歓喜の鎮魂歌》》は
建物中に響き、守護者の鼓膜を震わせる
風の吹く屋上、一人の少女が立ち尽くす
空へ身を投げ
落下する
蹴り飛ばした警察官が吹き飛ぶよりも先に
落下しているりんなに標的が向く
大きな翼をがバサリ広げられ、魔法が放たれ
パンッッ!!
一瞬で辺りは光に包まれる
フラッシュバンだッ!!
平和の守護者が目を開けたときにはすでにりんなが目の前に
そのまま建物を貫通して一瞬で敷地外へと飛ばされる
二人が着地するとすぐに向かい合い
戦闘が開始される
守護者が首筋に何かを注射する
「ふぅ...ふぅ....ふぅ...」
直後
渦のように炎が舞い
大きな布のように放射される
「退け。」
そう言い
前へと進む
視界を支配する炎がりんなを避けて通り過ぎ
守護者に向けて魔法を放つ
ッッッッ!?!?
後ろに守護者が下がると同時にりんなも踏み込む
踏み込まれた瞬間に踏み込む
「お座り」
その攻撃はもう通じない。
全く動じずそのまま向かってくる
この魔法は体外魔力を操作して相手の体を強制的に動かす
ただそれだけの単純な《《呪文》》。魔法ですらない。
体外魔力を操作して反発すれば無効化できる。
ただの初見殺しだ。
大剣がりんなの胴体をいとも簡単に通る。
よほど切れ味がいいのか
りんなのみぞおちを貫通し、建物に打ち付けられる
「っっっっっっっ?!?!?!?!?」
大剣の切れ味が良く、少しでも動くと
体が真っ二つになってしまいそうだ
背中が焼けるように痛い
体が反り返り
声にならない悲鳴を出す
「あうあぁ...ぁ...!!??」
痛いなんてもので片付けられるモノではない
「いああああああああああああ!!!!!!!!!」
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい
死んでしまう...死んじゃう...ダメ...
《《死にたくない》》
《《守らないと》》
《《まだ現場にいる人たちを》》
平和の守護者が電話をする
「花札さん、一匹処理しました。」
「え~ホントにぃ~??早くなぁ~い?
.......。
確死した?」
「え?」
「《《ちゃんと、とどめを刺したの?》》」
串刺しにしたりんなを見る
あれ....?
《《いない》》.....?
《《後ろから手が伸びてくる》》
バシュッッッ
世界が傾いていく
世界が落ちた。
平和の守護者[飯井潟カルタ]は犬野凛奈によって殺された。
夕方の夕日に照らされる
傷口を抑えてしゃがみ込むりんな
「はぁ...はぁ...痛っっっったぁ...!!」
魔法で傷口をふさぐ
ぼんやりとカルタの死体を見つめる
次の瞬間落ちていたカルタの生首が光りだし、
辺りを包み込む
周囲が真っ暗になり、1人のシルエットが見える
りんなが睨みつける
「こいつ...!!!」




