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15話「一息ついて、一仕事」

貴族と平民、そのどちらにも正式に召喚者として発表され終えた私は力尽きて部屋に戻るなりベッドに倒れ込んだ。


「……はぁ……疲れた……」

「あ、春様!お疲れなのはわかりますけどドレスのまま横にならないでください!」


後からついてきていたリーに慌てたように注意され、渋々立ち上がる。


「さ、それじゃあささっとドレス脱がしますので終わったらお風呂でゆっくりしてくださいねー」

「えぇ、助かるわ」


ただの洋服と違ってドレスは生地は薄いし、フックだったり小さいボタンだったりと不器用な私一人で脱ぐのは正直言って不可能だ。

だからこうしてリーに着替えを手伝ってもらうのは、なんだかこそばゆいけれどもとても助かる。

十数分経ち、私はドレスから動きやすいワンピースへと着替えていた。


「じゃあお湯はすでに入れてあるのでどうぞあったまってきてください」

「ありがとうリー、助かったわ」


部屋の端にある入浴スペース。

初日はリーに半強制的にお世話されながら入っていたけれど、落ち着かなかったので一人で入らせてもらうことにした。

日本と違って、この世界には浴室というものがない。

いや、正確には“普通は“ない、だ。

温泉などは日本と作りはたいして変わらない。

ではどうしているかといえば猫足バスタブのような浴槽が部屋の隅に置いてあり、パーテーションで区切られている。

まぁ正直にいうと、この国の礼儀的に自室に侍女たち以外の誰かが訪れることは基本的にはほとんどないし、護衛も着替えなどの時は外に出されるのでこんなお風呂でも問題はない。

冬場は寒そうだし湿気はすごそうだしちゃんとしたシャワーは浴びれないけどその辺は魔法が使えるようになった今はどうとでもなる。


「……ふぅ」

「あ、春様あがりました?」

「えぇ……今日はもう疲れたから寝るわ」

「わかりました!髪は……乾かされたみたいですね」


それじゃあおやすみなさいませ、と笑顔でお辞儀をしてリーが出ていく。

……はずだったのだが。


「……リー」

「はい?どうされました?」

「お客様よ」


外に気配を感じて、風を使って扉を開ける。


「こんな時間に何の用?アル」


扉を開けた先にいたのはアル。

申し訳なさそうに眉を顰めていた。


「すまない、不躾なのはわかっているんだが……明日からの予定を伝えていなかったと思ってな」


自覚していながらもわざわざ訪れたということは、それなりの予定なのだろう。


「……またパーティ?」

「いや、安心してくれ。しばらく春に出席してもらうパーティはおそらくないはずだ」

「それじゃあ……仕事の方かしら」

「あぁ……魔獣が大量発生している地域があってな。ハンターや兵士だけでもまだ余裕はありそうだが、いつまで持つかはわからない。だから念のためお願いしたいと陛下がおっしゃっている」


勧められた椅子に座りながらアルはそう告げた。


「そう。それで?」

「場所は3ヶ所。だが二ヶ月は余裕で耐えられるようだから、そんなに急がなくても大丈夫だ」

「わかったわ」

「詳しい場所などはギルベルトに伝えておく。それじゃあ、遅くにすまなかった」


アルは伝えることだけ伝えると、さっさと部屋を出ていってしまった。

落ち着きのない様子だったので、まぁ気まずかったのだろう。


それよりも仕事のことだ。

その3ヶ所がどのくらい離れているのかはまだわからないが、国王は私をこき使うつもりはないらしい。


「はぁ……リー、このことは明日また考えるわ。距離的にどうかわからないけれど……もし行けそうなら明日から動くかもしれないから一応準備はしておいて頂戴」

「わかりました!」

「あ、今日はゆっくりしなさいよ」

「わかってますよ〜!」


リーを見ていると、お転婆ではしゃぎすぎるシルフィを感じる。

だからこそ、準備をしておけと言ったら部屋に戻ってすぐに準備を始めかねない。

無理をさせたいわけではないのだから、ちゃんと釘は刺しておく。


「それじゃあ引き留めて悪かったわね、リー。もう行っていいわよ、お疲れ様」

「もったいなきお言葉です!それじゃあ、おやすみなさい春様」

「えぇ、おやすみ」


パーティは嫌だが、ここでずっとぼーっと過ごすのもあまり気が進まなかったのでちょうどいい。

この辺りを散歩しようと思っていたから、そのついでに仕事も終わらせてしまおう。


「……とはいえ、流石に疲れたわね。」


久しぶりの魔力の感覚に、2日連続のパーティ、レイとの戦闘。

人間の体より楽だとはいえ、体は休息を欲している。

ぼふっとベッドに倒れ込み、布団に入る。


(……まさか、またこんなふうに魔法が使えるようになるなんてね)


魔法を使うと、それを教えてくれたお姉様たちを思い出し、寂しくなる。

昔の記憶に想いを馳せながら、私は静かに目を閉じた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

春休みが明けたので更新を再開していこうと思います。

休み前と同じく予定通り更新されないことも多々あるかと思いますが、気長に待っていただけると幸いです。

ブクマなどしてくださっている方もありがとうございます!いつも励みになっています!

それではまた次回も読んでいただけると嬉しいです。

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