第1話:ネコとシェイクと蒼いパスケース③
2023年4月11日。晴れやかな陽気の中で、巡が学校へ到着すると昇降口付近で人だかりができており、物々しい雰囲気を醸し出していた。状況が気になった巡は、人だかりを押しのけて中へ進むと、そこには園芸部の部員たちが落ち込んだ様子でしゃがんでいた。巡はすかさず園芸部員たちに声をかける。
「みんな、一体何があったの?」
「なぜだか分からないのですが、今朝登校したら園芸部の花壇の花がすべて枯れていたんです…」
園芸部は、新入生たちを迎え入れるために気合を入れて、花壇の手入れを行っており、入学式後にはチューリップやマリーゴールドといった花々が美しく咲いていた。何より巡は昨日の朝の時点で花壇に異変がなかったことを記憶しているため、花壇に花どころか草木が一本も生えていない様子に衝撃を受けた。
「確か昨日までは綺麗に咲いていたはずなのに…」
「そうなんです、会長。きっとこれは大量発生した昆虫か動物が荒らしたに違いないですよ」
「だとすると根っことか茎が見当たらないのは不自然だけども…」
「どうにか元に戻せたりしないんでしょうか?会長なら何か方法をご存じ…ではないですよね…」
巡は落胆した様子で花壇の点検を行う園芸部員の姿を見ながら、返す言葉もできることもない自分の無念さを想い、拳を握りしめた。
しかし、この日に巻き起こった異変はこれだけでは終わらなかった。校内にある小さな池が突如として干上がり、学校のチャイム放送が不気味な音になる…といった校内の設備に関する不具合に加え、生徒の間でも失恋や体調不良といった異変が生じていた。
混沌とした校内の様子を歩きながら眺めていた巡は、あらゆる場所で助けを求められたが、当然ながらこれらの異変は巡の手に負えるものではないため、「こっちでも何かできないか考えてみるね」と答えることが精いっぱいだった。こうして校内で巻き起こる数々の異変を見回っているうちに、気づけば放課後の時間となっていた。巡は不安な表情で生徒会室にたたずみ、自分の無念さを噛み締めていた。
(どうしようもないのは分かってるけど、どうにかできないのかな…)
憂鬱な表情で帰り支度を整えていた巡の携帯電話にメッセージが届く。メッセージの送り主は占であった。
「八田駅前のミセスバーガーに集合ね」




