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263  作者: Nora_
8/10

08

「寝すぎたわね……」


 夜まではやめてほしいと言われていたのにこれだ。

 別れる前の私を見て無理やり起こすなんてことはできなかったか。

 夢の中というわけではないから一階にいくと、


「ふふ、みんなで仲良く寝ているわね」


 布団を持ってきてここでごろんだ。

 ふゆはまだ戻していないみたいでモップモードで寝ていた。

 こんなことをしてもマッチポンプにしかならないけど抱き上げて頭を撫でる、そうしたらすぐに目を開けて「冬美……」と。


「冷静に対応できなくてごめんなさい」

「……僕が悪いから」

「もう戻っていいわよ」

「今日はこのままがいい」

「それなら夏穂達を起こしてから部屋にいきましょうか」


 今日はもうご飯を食べたい気分にはならないからこのまままた寝てしまおう。

 お風呂は……本当は入った方がいいけど面倒くさくなってしまった。

 なにもしたくならないぐらいには寝すぎてしまったのにまた寝るとは? となってしまうものの、起きててもできることはないから仕方がない。


「夏穂」

「……もういいのか?」

「ええ、ありがとう。それより春子はあなたが呼んだの?」

「ふぁ……いや、春子が冬美と遊びたくて来ただけなんだ」

「そうなのね」


 なら、寝ている場合ではないか。

 とはいえ、明日お出かけするという件は私が勝手に言い出したことで、あのことも含めて春子は知らないからこのまま出さないでいいと思う。

 八月になるまではダラダラ過ごすことに決めたのだ。


「それにしても夜までよく我慢できたわね?」

「こいつらがいてくれたからだ」

「ごめんなさい、もう二度としないから許してちょうだい」

「別に怒ってないぞ。涎でベシャベシャになってるまりを起こすか」


 起きるなり「冬美!」と、余裕がないところを見せて傷つけてしまったからまりにも謝っておく。


「あーあ、冬美が来るとすぐにそれだよな」

「これの方が落ち着くのもあるの」

「まあいいか。今日のところは春子を連れて帰るよ」


 必要ないかもしれないけど全く相手をすることができなかったから自分のために動こう。


「私も付いていくわ」

「冬美に会いに来たのにあたし達としか話せないんじゃ満足できないよな、それなら頼む」


 ふゆを運びつつ前を見ていると「仲良くしろよ」と。


「結局、冬美はふゆのなにが気に入らなかったの?」

「それだ、ふゆがいつまで経っても戻らないから分からないままだぞ」

「それは――」


 ふゆはこちらを掴んで止めてから人間体になって「春子のふりをして告白をしたから」と代わりに話してくれた。


「はぁ……それなら怒られて当然よ」

「そうだぞふゆ、そういうのは一番やっちゃいけないことなんだ」

「反省している、もう二度としない」


 お、重かった……すぐに戻して腕の中に納まってくれたのは救いと言える。


「冬美が好きなら春子を使わずに自分の口で好きだと言えばよかったのにな」

「無表情でなんにも気にならなさそうな感じのくせに好きとも言えない子なんてね」

「あ、それに関してはまりが強いだけだ。普通、『私のものよ』なんて言えないだろ」


 あれ、その話は夏穂が来る前にされていて聞けていなかったはずだけど。

 私が一人で荒れて落ち着かせるために寝ている間にそのような話をしたのだろうか?


「そう? 誰にもあげたくないんだから言うわよ」

「『冬美なんか大嫌い!』とか言っていたやつがこれだからなあ……」

「そ、それは忘れてちょうだい――ではないわ、なんであなたが知っているのよ……?」

「こそこそしていたら追うだろ」

「そんな猫ではないんだから……」


 バシーン! と背中を叩かれたときのことを見られていたということか。

 これはかなり恥ずかしい、それと今回は勝手に一人で怒って部屋に引きこもっていたからそのことも悪い方に働いた。


「まりやふゆは猫みたいなもんだろ?」

「んー自分で言うのも変だけどなんなのかしらね。だって、猫は変身したりはしないでしょう? 精々、尻尾が増えたりするだけでね」

「本人すら分かっていないぐらいの存在と仲良くしているってあたし達、やばくね?」


 私達だってなんにも知らない人とすれ違っては別れてを繰り返しているからそんなものだと思う。

 中には人を殺してしまうような過激な人もいるわけだし、いまは運がいいだけではないだろうか?


「そうね、これからは悪い力を使い始めるかもしれないものね」

「いや、それは実際に使っただろ」

「ぐは」

「だろ?」


 淡々としているからやりづらいこともあるのだろう。

 まりにとって救いだったのは春子の家に着いたということだ、それで会話は止まったから厳しく突かれることはないはずだ。


「春子、家に着いたぞー?」

「ん……え、ここどこ!?」

「だから家だ」

「あ、ああ……って、冬美さん!」


 春子はとても元気だ。


「せっかく来てくれたのにごめんなさい」

「いいよいいよっ。とりあえず下ろしてもらってーっと――よしっ、じゃなくて暗い!?」

「うるさいな……」

「いきなり夜になっていたら驚くよ! ふゆさんだって結局そのままだし!」


 近所迷惑にしかならないからこのまま上がらせてもらうことにした。

 ふゆは春子に任せて、今度はふゆの真似をしたまりを抱いておくことにした。

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