転生と疑問
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
『ねぇ、兄様……私生まれ変わったら…………になりたいの。』
シオンはアナスタシアのその言葉に目を見開いた。
『どうして…………になりたいんだ?』
その言葉にアナスタシアは花咲くように笑うとシオンを真っ直ぐ見つめた。
『兄様や殿下を守りたいからよ!今の私はとても弱くて守られてばかりだけど…………になれば何でも出来る。今度は悪者から私が守ってあげる!』
その力強い言葉にシオンは笑った。
『分かった……期待しているよ、アナスタシア。』
アナスタシアはその言葉に本当に嬉しそうに微笑むとシオンの手を取った。
『来世、生まれ変わったら必ず兄様をお守りしますわ!』
その言葉にシオンはアナスタシアの手を強く握り返して微笑んだ
とても懐かしい夢を見た。
生まれ変わったら何になりたいか……幼い頃アナスタシアが突然そんな話をしてきたから驚いたものだ。
……それでアナスタシアは何に生まれ変わりたいと言っていただろうか。
セリーナは前世の記憶を頼りに思い出そうとするが全然思い出せず、少し悲しい気分になった。
そして、ふと呟いた。
「アナスタシア……私は貴族の令嬢セリーナ・フォン・シェルヴィに生まれ変わったよ……」
アナスタシアに聞こえる訳も無いが言いたくなった。
『必ず兄様を守りますわ!』
本当にそうならもう一度アナスタシアに会える事になる。
どんな姿でも構わない……アナスタシアに会いたい。
そんな叶わぬ事を考えセリーナは悲しく微笑んだのだった。
もうすぐ秋休みが終わり学園に戻る日が来る。
セリーナはそれを考え、憂鬱な気分になっていた。
何故ならレヴィンの事で色々と噂されるのが目に見えているからだ。
因みにレヴィンは学園をやめた。
レヴィンはセリーナより一歳年上の二年生だったが大変賢く、最高学年の勉強を既に終えていた。
それ故に何も困らない……勉強においては。
レヴィンには社交術や領地経営の知識や経験などが圧倒的に足りていなかった。
それもその筈……彼は元々公爵家の三男で家を継ぐはずでは無かったのだから。
だが彼は突然我が伯爵家を継ぐ事になった。
それ故に現在アレクシスがレヴィンに色々と叩き込んでいた。
アレクシスの教えは恐ろしい。
セリーナは剣術の稽古の時の事を思い出して、体を震わせていた。
そんなセリーナだったが
「セリーナお嬢様。しっかりなさって下さい。今日は王宮で殿下とお会いになる日でしょう?」
「……分かっているわよ。」
今日の予定を思い出し、ため息をついた。
なんて言ったって……王太子ユークリッドと会うのはあのキス事件以来なのだから。
憂鬱な出来事ばかりだとセリーナは眉を寄せた。
此処は我が王国の王宮。
今日は薔薇園でお茶をするらしく、セリーナは薔薇園に向かった。
其処は色鮮やかな薔薇が咲き乱れる美しい場所。
セリーナは王太子を探しながら独り薔薇園を歩いていた。
そうしているとデビュタントの時に一緒に薔薇を見たオーランドとの記憶が思い出されて、セリーナは震えた。
オーランド……私が殺した元親友。
独り恐怖で震える自分をセリーナは自嘲した。
私も最低の下衆になってしまった。
……こんな私の罪は誰が裁いてくれるのだろうか。
「アナスタシア……」
不意に口から漏れた呟きにセリーナは微笑んだ。
守るのではなくて……裁いて欲しい。
そんな事を思いながら薔薇に手を伸ばした時だった、セリーナは突然誰かに手をつかまれた。
それに驚いて振り向くと其処には……ユークリッドが居た。
腕を掴んだ人物が知り合いだった事にセリーナは安堵したが、ユークリッドにいつもの余裕がない事に気づきセリーナは首を傾げた。
薔薇に触れるのがそんなにいけなかったのか……と呑気に考えていたセリーナだったが次の瞬間ユークリッドから発せられる言葉に目を見開いた。
「アナスタシアと貴女の関係は何なのですか!どうして貴女はアナスタシアを知っているのです!それにもしかして……セリーナ、貴女は私の母上がアナスタシアにした仕打ちを知っているのですか?」
そんなユークリッドの切迫した表情と声色にセリーナは悟った。
……彼は悪女メレイアの本性を知っていると。
次回も読んでくれると嬉しいです。




