家族
絶対にあり得ないと思っても異世界だから、と寛容に受け入れてくれると嬉しいです。
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
法律的にも完全にメイヴィス公爵家と縁を切られ捨てられたレヴィンが、シェルヴィ伯爵家の養子として迎えられた事実は直ぐに王国全土に広まった。
それを聞いた貴族たちの反応は嘲笑う者や正気を疑う者などそれぞれだったが、皆共通して良い反応を持たなかった。
そんな噂のシェルヴィ家だったが、シェルヴィ伯爵であるアレクシスはレヴィンを実の息子のように可愛がった。
そしてレヴィンはレヴィン・フォン・シェルヴィとして将来のシェルヴィ伯爵またセリーナの兄として育てられる事になった。
これを聞いて一番驚いていたのが王太子ユークリッドだった。
「レヴィンがセリーナの兄になった……」
ユークリッドは持っていた本を落とした。
彼は知っているのだ……セリーナがレヴィンを愛している事を。
でも……
「真逆、家名を貶してまでレヴィンを守ろうとするなんて……」
公爵家から法律的にも完全に縁を切られ、捨てられたレヴィンの末路は目に見えていた。
住む場所もなく、食べるものも何かを買うお金もない彼は餓死するか犯罪に手を染めるか、又は体を売るしか道は残されていなかった。
だが、セリーナは彼を救った。
レヴィンを養子にして欲しいと恐らくセリーナがシェルヴィ伯爵に懇願したのだろう。
そして酷い汚名を着ているレヴィンを伯爵は養子としてシェルヴィ家に迎え入れた。
それを考えてユークリッドは悲しげに微笑んだ。
セリーナのレヴィンに対する愛の深さが分かり、改めて勝てないと認識させられたからだ。
セリーナはレヴィンを救う為に恋心を捨てた。
そんなセリーナの心はどれ程苦しかった事だろう。
「なんて切ない……」
愛しながらも決して結ばれる存在では無くなってしまったレヴィンとセリーナ。
そんな二人の道に幸せはあるのだろうか。
……セリーナは私を愛してくれるのだろうか。
ユークリッドは立ち上がると部屋を後にし、母メレイアの元へと向かった。
王妃フェニカがいなくなり、正式にこの国の王妃となったメレイア。
刺客によって負った怪我はまだ治りかけだが、メレイアはそんな事はお構いなしに目の前にある机を強く叩くと怒鳴った。
「劇の時に見た、あのアナスタシアと同じ顔をした少女は何者か!」
そう激昂しているメレイアに一人の黒髪の女が答えた。
「シェルヴィ伯爵家のセリーナ嬢で御座います……王妃様」
その言葉にメレイアは唇を噛み締めると黒髪の女に叫んだ。
「あのアナスタシアにそっくりな顔を見ているだけで物凄く不愉快だわ……私の目の前から……この世から消えてくれないかしら……そうね、アナスタシアを死に追い込んだ方法と同じ……否、今回は私が直々に手を下しましょう。」
そう話すとメレイアは酷く歪んだ笑みを浮かべた。
「死んだ方がましだと思うぐらいの屈辱を味わせてあげるわ……」
そんなメレイアの言葉を静かに聞いていた黒髪の女だったが、突如声を上げた。
「しかし、セリーナ嬢は王妃様の御子のユークリッド殿下の婚約者ですよ。」
その言葉をメレイアは鼻で笑った。
「そんな事どうでもいいわ……ユークリッド?私はあの子を愛した事などない……だってシオン様との子ではないもの……ああシオン様、貴方に会いたい……」
そう目を蕩かせながらシオンの名を口にするメレイアを黒髪の女は無表情で見つめていた。
だが、この時メレイアは気がつかなかった。
「母上……」
扉の外でメレイア達の会話を聞いていたユークリッドがいた事に……
次回も読んでくれると嬉しいですね。




