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亡き妹のための綺想曲  作者: 雪斗
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貴女だけ

ユークリッド視点です。

今回も楽しんでくれると嬉しいです。

時は少し遡って……


メレイア達の会話を聞いた後、ユークリッドは自室で会話の内容について考えていた。


母が残酷な人である事は知っていたし、私の事を愛していないであろうことにも薄々気付いていた。

だから大した衝撃は無い……だが……


「セリーナ……」


愛しい彼女を傷つけるなら許さない。

例え母であろうとも絶対に。

そんな風にセリーナの事についてだけは冷静でいられない自分にユークリッドは苦笑した。


昔から自分は冷めた子供であったと思う。

父にも母にも自分から愛情を求めた事は無かったし、愛を得られなくても別に構わなかった。

まして自分が人に愛を請うなんて有り得ないと思っていた。

……セリーナに会うまでは。


初めて彼女を見た時の衝撃は今でも忘れられない。

絹よりも艶やかな銀髪に輝く紅の瞳。

そして整った鼻梁に薔薇色の頬、血のように濃い唇。

その美しく整ったパーツが、小顔に完璧に配置されている。

それはまさしく絶世の美貌。


そんなセリーナの造形の美しさにも勿論見惚れたのだが……一番は何処か影のあるその表情。

憂いのあるその表情が私を魅せて離さなかった。


これが俗に言う一目惚れというものであろうかと、そんな事を考える自分に自分が一番驚いた。


そんな命よりも大切な彼女を守る為なら何でもしよう。

本当に母メレイアが彼女を殺そうとするならば……今の地位から失脚させ、地べたを這いつくばらせて殺してやる。

その為に……


『アナスタシアを死に追い込んだ方法と同じ……』


メレイアが犯した罪を暴いてやろう。

そう考えてユークリッドは昏く嗤った。


そして『アナスタシア』という人物についてユークリッドはあらゆる伝手を使い調べた。


そして分かった情報は、アナスタシアは元々現国王ヴィンセントの婚約者であったがある日突然自殺してしまったという事。

その理由が表向きには彼女がヴィンセントでない人の子供を身篭ったとあるが、真実は元王妃フェニカによる酷い苛めと、フェニカにヴィンセントを奪われた事にあったのだという事。


それを知ったユークリッドは首を傾げた。

メレイアに関することが一つもない。

ましてアナスタシアの親友?


……あの母に限って良い人であるなど有り得ない。

真実がまだ隠されている。


そう思ったユークリッドは自分の母メレイアについて詳しく調べる事にした。

そうして分かった事は……彼女がアナスタシアの兄シオンを深く愛していたという事と、表向きはアナスタシアと仲良くしていたが裏ではフェニカと繋がっていたという事。


その情報で大方ユークリッドは理解した。

恐らくメレイアが裏でフェニカを操っていたのだろう。

だが……


「証拠がない……」


これではメレイアの罪を暴く事が出来ない。

どうしたら良いか……そんな事を考え続けて数日が経った。

セリーナと薔薇園でお茶をする日がやって来た。


愛しいセリーナに会える……そう思うだけで胸が喜びで満たされた。

そうしてユークリッドは部屋を出た。


ユークリッドは薔薇園へと歩きながら、愛しいセリーナに想いを馳せた。

愛しい彼女は未だレヴィンを深く愛しているだろう……だがいつか……此方を振り向いてはくれないだろうか。


そんな事を思いながら歩いていると薔薇の中にセリーナの姿を見つけた。

ユークリッドは自然と笑顔になってセリーナに近づき、声を掛けようとした……その時だった。


「アナスタシア……」


セリーナの口から発せられた言葉にユークリッドは目を見開いた。

アナスタシア……何故その名を知っているんだ。


自分の知らないセリーナがいる……そう思うだけで胸が酷く苦しくなる。

愛しい人の事は全て知りたい。

……どんな残酷な事でも。


ユークリッドはセリーナの伸ばした手を掴むと、苛立ちも相まって強く迫った。


「アナスタシアと貴女の関係は何なのですか!どうしてアナスタシアを知っているのです!それにもしかして……セリーナ、貴女は私の母上がアナスタシアにした仕打ちを知っているのですか?」


突然のその言葉にセリーナは大きく目を見開いたが、何かを悟ったような表情をするとユークリッドを見つめた。


「殿下は知っているのですね……アナスタシアについての事を……メレイアが彼女に何をしたのかを……」


その言葉にユークリッドは頷いた。


「だから教えてください……どうして貴女はアナスタシアを知っているのですか?」


その言葉にセリーナは逡巡していたが決意を固め、紅の美しい瞳でユークリッドを見つめた。


「分かりました、殿下に教えましょう……でもその前に一つだけ聞いても良いでしょうか?」

「……何をですか?」

「殿下は私の全てを受け入れて……私の罪も何もかも愛してくれますか?」


その言葉にユークリッドは微笑んだ。


「貴女が誰であろうと何をしていようと……貴女が私を愛してくれなくても……生涯セリーナ、貴女だけを愛します。」


初めてだった

心惹かれたのも……こんなに人を愛することも。


そんなユークリッドの力強い言葉にセリーナは儚げに微笑むと衝撃の告白をした。


「私は前世はアナスタシアの兄……シオン・メル・アルヴァントとして生きていました。」





ユークリッドのイメージが……壊れた……

次回も読んでくれると嬉しいです。

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