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ダンジョン配信に映り込むピクトグラムの怪異になった  作者: 脳タリン


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第68話 美容の泉

「はぁ〜い、皆さまごきげんよう〜。『サロン・ド・アビス』の時間よぉ」


 画面に映るのは、三人の――大柄で、筋肉質で、しかし完璧なメイクを施した、お姉さまたちだった。


ローズ「リーダーのローズよ。ご新規さんのために毎回言うけど、アタシたちオカマ三人組。文句があるなら、かかってらっしゃい?」


サファイア「サファイアで〜す。今日は特別な回よ〜」


ダイヤ「ダイヤです。……本日の目的地は、二十八層」


『来た、最強のサロン』


『今日は二十八層か』


『前回は三十層だったよな』


『目的が違うんだろ、多分』


ローズ「本日の目標は、これよ」


 ローズが、掲げたのは、一枚の写真だった。


 青白く光る、小さな泉。


ローズ「通称、『美容の泉』。……二十八層の最奥にある、湧水よ」


サファイア「これがねえ、すごいのよ〜。この水で顔を洗うと、肌の調子が三ヶ月変わらないって噂で〜」


ダイヤ「……効果は未検証です。ただし、体験者の報告は複数あります」


『美容の泉w』


『二十八層に美容目的で行くな』


『いや、この人たちならありえる』


『三十層まで行ける実力があるからこそできる贅沢』


『世界一命がけのスキンケア』


ローズ「あら、失礼ね。美は闘いよ? ……闘うんだから、命くらい賭けるでしょう?」


『説得力が違う』


『黙るしかない』


 三人が、ゲートをくぐった。


 そして、いつものように。


 十層あたりで、白い人型が、合流した。


 ――ただし、今日は。


 その手に、大きな、何かを、抱えていた。


 柄。


 刀身。


 その先に、こぶし二つ分の、岩の塊。


 例の、勇者のハンマーだった。


『持ってきたwww』


『あれ、持ち歩いてるのか』


『拉致した剣を連れ回すな』


『いや、大事にはしてるらしいぞ』


『前回、なだめてたからな』


サファイア「あら〜? コメントが騒がしいわねえ。……ピクトちゃん、来てるの?」


『来てます』


『しかも、例のハンマーを持ってます』


サファイア「あの、名所を持ち去ったやつ〜?」


『それです』


ローズ「……あらあら」


 ローズは、白い人型がいるはずの方向を、見た。


 そして、しばらく、じっと。


ローズ「……ねえ、ピクトちゃん。……ちょっと、それ、見せてもらえるかしら」


 白い人型は、少し戸惑ったように動いてから――


 ハンマーを、ローズの方へ、差し出した。


『ローズ姐さんの目の前、胸の高さです』


ローズ「……ここね」


 ローズが、手を、伸ばした。


 その手が、何かに、触れた。


ローズ「……あら」


 ハンマーが、ローズの手に、渡った。


『……ん?』


『待って』


『今、おかしくなかったか』


『何が』


『ハンマー、ずっと見えてただろ』


『見えてた あいつが抱えてる時も、宙に浮いてるみたいに映ってた』


『でも、ローズ姐さんが受け取った瞬間、普通に「持ってる」ように見えるようになった』


『……そりゃそうだろ、姐さんは見える人なんだから』


『いや、そこじゃない』


『じゃあ何だよ』


『……あいつが持ってる時、なんで見えてたんだ?』


『……』


『……あ』


『あいつ自身は見えないのに、持ち物は見える』


『……なんで?』


『考えたことなかったな』


『チェンソーも刀もロケランも、全部見えてた』


『ゲンさんの回のカップも、宙に浮いて見えた』


『でも、あいつの服は?』


『……服は、あいつの一部だから見えない、のか?』


『じゃあ境目はどこだ』


『帽子は? 白衣は? あれ全部「着替え」だぞ』


『着てるものは見えなくて、持ってるものは見える』


『……なんで?』


『分からん』


『検証班、案件だ』


『いや、これ検証しようがなくないか』


『そもそもあいつが「持つ」の定義が分からん』


ローズ「……あら? 皆さん、なんだか急に難しい話を始めたわねえ」


『すみません、気にしないでください』


『九十四スレ解決してない謎が、また一つ増えただけです』


ローズ「……ふふ。……いいじゃない。分からないままの方が、素敵よ?」


『姐さんが言うと説得力がある』


『そうだな、分からないままでいい』


『いつものことだ』


ローズ「……さて。……ふうん。……素敵なハンマーね」


 ローズは、それを、しげしげと、眺めた。


ローズ「……この無骨な感じ、渋いじゃない。……刀身の形も悪くないわ。……ただ」


 ローズの目が、細くなった。


ローズ「……ちょっと、この子、可哀想じゃないかしら」


『?』


『何が』


ローズ「……見なさいよ、この切り口。……ざっくり切っただけでしょう? ……バリも残ってるし、岩の形も不揃い」


ローズ「……道具としては使えるけど。……これじゃあ、この子、『失敗作』みたいじゃないの」


『……あ』


『言われてみれば』


『あの岩、チェンソーで削っただけだからな』


『雑といえば雑だ』


『でも、そういうもんじゃないのか?』


ローズ「よくないわよ」


 ローズは、きっぱりと、言った。


ローズ「……十二年、岩に刺さって、誰にも抜かれなかった子でしょう?」


ローズ「……その子が、やっと外に出られたのよ。……なのに、こんな仕上がりで、連れ回されて」


ローズ「……そんなの、可哀想じゃない」


『……』


『いい人だな』


『剣の気持ちを考えてる』


『そういえば、あの剣、泣いてたって話あったな』


 白い人型が、その言葉を聞いて。


 しばらく、動かなかった。


 そして、ハンマーを、見た。


 自分の、手を、見た。


 それから――しゅん、と、肩を、落とした。


『落ち込んだw』


『自覚があったんだな』


『雑にやったって』


ローズ「……あら、ごめんなさいね。責めてるわけじゃないのよ」


 ローズは、優しく、言った。


ローズ「……直せばいいだけの話。……ねえ、ピクトちゃん。工具は持ってる?」


 白い人型は、少し考えてから――


 画面の外へ走り、戻ってきた時には、腰に工具袋を提げていた。


 ハンマー、鑿、ヤスリ、鏨。


 工事のピクトグラム仕様の、フル装備だった。


ローズ「……あら、いいじゃない。……サファイア」


サファイア「は〜い」


ローズ「あんた、こういうの得意でしょ」


サファイア「……あら、久しぶりねえ。……いいわよ〜」


『?』


『得意なのか?』


『サファイア姐さんって、大鎚担当だよな』


『あの人、実は元・彫金師らしいぞ』


『え』


『インタビューで言ってた 昔、装飾品を作る仕事をしてたって』


『マジかよ』


『そういえば、あの人の装備、細工が細かいんだよな』


 サファイアは、ハンマーを受け取ると。


 地面に、布を敷いて、その上に、そっと、置いた。


 そして、工具を、並べた。


サファイア「……ふふ。手が疼くわ〜。……久しぶりだもの、こういうの」


 そして、作業が、始まった。


 まず、岩の切り口の、バリを、丁寧に落としていく。


 鑿の音が、規則正しく、響いた。


 次に、岩の形を、整える。


 削りすぎず、しかし歪みを、消していく。


サファイア「……この岩、ただの岩じゃないわねえ。……硬い。……でも、素直な硬さ」


『鑑定してるw』


『さすが元職人』


『手つきが違う』


 ――そして、そこからが。


 本番だった。


 サファイアは、鏨を、握った。


 そして、岩の表面に。


 ――模様を、彫り始めた。


『!?』


『え』


『何してんの』


『……装飾してる』


『ハンマーの頭に、彫刻を入れてる』


 細かい、蔓のような模様が。


 岩の表面を、覆っていく。


 そして、その蔓の間に、小さな花のような意匠が。


 次々と、生まれていった。


サファイア「……ふふ。……この子、意外と彫りやすいわ〜」


ローズ「相変わらず、細かいわねえ」


ダイヤ「……サファイアの本領です」


『上手すぎるww』


『これ、美術品になってきてないか』


『無骨なハンマーが』


『どんどん華やかになっていく』


 さらに。


 サファイアは、柄の部分にも、手を入れた。


 握りの位置に、細かい滑り止めの刻みを。


 そして、その周囲に、蔦の意匠を。


サファイア「……握った時に、指が引っかからない深さで。……でも、滑らない」


サファイア「……武器って、綺麗なだけじゃ駄目なのよ〜。使えなきゃ」


『実用性も考えてるw』


『さすが探索者兼職人』


『完璧すぎる』


 ――二時間。


 二十八層への道中、休憩のたびに、作業は、続けられた。


 そして。


サファイア「……はい、できたわ〜」


 完成した、それは。


 もう、「岩ごと切り出した剣」では、なかった。


 刀身は、そのまま。


 だが、その先の岩は、蔓と花の意匠に覆われ、磨き上げられ、鈍い光を、放っていた。


 柄には、細かい細工が施され、握りやすく、そして、美しく。


 ――一振りの、儀礼用の槌のような、風格が、そこにあった。


『……すごい』


『別物じゃん』


『これ、博物館に置いてあってもおかしくない』


『二時間でこれかよ』


『元職人、恐るべし』


サファイア「……はい、ピクトちゃん。……返すわね」


 サファイアが、ハンマーを、差し出した。


 白い人型は、それを、両手で、受け取った。


 ――受け取った瞬間、また、ハンマーが、宙に浮いたように、見えた。


『あ、また浮いた』


『やっぱり境目が分からん』


『触れてるのに、持ち手だけ見えないんだよな』


『考えるな』


『楽しめ』


 白い人型は、しばらく、動かなかった。


 じっと、それを、見ていた。


 あちこちの角度から。


 光に、かざして。


 そして――


 ハンマーを、抱きしめた。


『抱きしめたw』


『気に入ったらしい』


『いや、あれは』


『……喜んでるな』


 ――そして、その時。


 視聴者は、気づいた。


 あの、啜り泣きの音が。


 ――止んでいたことに。


 いや、正確には。


 小さく、しかし確かに。


 ――くすぐったそうな、音が、していた。


『……おい』


『音、変わってないか』


『泣いてない』


『笑ってる……のか?』


『いや、まさか』


『でも、明らかに音が違う』


ローズ「……あら」


 ローズが、笑った。


ローズ「……この子も、喜んでるみたいねえ」


ローズ「……ほらごらんなさい。……お化粧って、大事なのよ」


『名言w』


『武器の化粧』


『でも確かに、変わったよな』


『「持ち去られた剣」から「贈られた武器」になった感じがする』


 白い人型は、ハンマーを抱えたまま。


 サファイアに向かって、深々と、頭を下げた。


 何度も。


サファイア「あらあら、いいのよ〜。楽しかったもの」


ローズ「……ただし、ピクトちゃん」


 ローズが、腰に手を当てた。


ローズ「……その子、勝手に持ってきたんでしょう?」


 白い人型が、びくり、と、震えた。


ローズ「……いつか、ちゃんと、話をつけるのよ。……人様のものを黙って持っていくのは、感心しないわ」


 白い人型は、しばらく俯いてから――


 こくり、と、頷いた。


『説教されてるw』


『でも正論なんだよなあ』


『市の観光課、怒ってたし』


『いつか返しに行くのかな』


『それはそれで寂しい気もする』


 ――そして、二十八層。


ローズ「……さあ、ここからが本番よ。……気を引き締めなさい」


 空気が、変わっていた。


 通路が広く、天井が高い。


 そして、満ちる圧が、重い。


ダイヤ「……前方、感あり。……三体」


 現れたのは、体長五メートルの、四足獣が三体。


 二十八層の、群れだった。


ローズ「……あら。三体まとめてなんて、ご挨拶ねえ」


 三人が、武器を構えた。


 白い人型も、ハンマーを、両手で、握った。


『使うのかw』


『初陣だ』


『ハンマー、実戦投入』


 ――戦闘が、始まった。


 ダイヤの大薙刀が、一体目の脚を、流麗に払う。


 サファイアの大鎚が、二体目の胴を、真正面から打ち据える。


 そして、三体目に、ローズの戦斧が。


 ――だが、この階層の個体は、硬かった。


ローズ「……っ、硬いわねえ!」


サファイア「ちょっと! 押されてるわよ〜!」


ダイヤ「……数が、多い」


 そして、そこへ。


 白い人型が、跳んだ。


 ハンマーを、大上段に、振り上げて。


 ――振り下ろした。


 三体目の、脳天へ。


 ――ごうん。


 という、重い音がした。


 五メートルの巨体が。


 一撃で、地面に、沈んだ。


『……は?』


『え』


『一撃?』


『二十八層の個体を、一撃で?』


『あのハンマー、そんなに強いのか』


『……いや、待て』


『よく見ろ』


 ハンマーの、岩の部分。


 サファイアが彫った、蔓と花の意匠が。


 ――淡く、光っていた。


『光ってるww』


『何それ』


『装飾が、機能してる?』


『まさか、あの彫刻に意味が』


サファイア「……あらぁ?」


 サファイアが、自分の作品を、見た。


サファイア「……そんなつもりじゃなかったんだけど。……綺麗にしただけよ〜?」


ダイヤ「……サファイア。あなた、昔から、そういうところがあります」


サファイア「……何よ、それ〜」


『何か知ってるのかw』


『元職人、無自覚に何かやってる説』


『いや、あるいは剣の方が』


『?』


『「化粧してもらって嬉しい」から、力を出したのかも』


『やめろ、そういうの好きだから困る』


 ――そして。


ローズ「……いいわねえ! ならアタシも、本気を出すわよ!!」


 ローズが、戦斧を、構え直した。


 残る二体が、突進してくる。


ローズ「――どっせええええい!!!」


 ……野太い、声が、出た。


『!!』


『出たww』


『地声www』


『ローズ姐さん、本気になると声が野太くなる』


『毎回これだよな』


『ご愛敬です』


 戦斧の一閃が、一体を、両断した。


サファイア「あらやだ、ローズ、声が!」


ローズ「うるさいわねえ!! こっちも必死なのよ!!」


 ――こちらも、野太い。


『二人目も出たw』


『サファイア姐さんも地声だ』


『二十八層だからな、余裕がない』


ダイヤ「……ふっ」


 ダイヤの薙刀が、最後の一体を、静かに、断った。


 ……そして。


ダイヤ「……お見事」


 こちらは、最後まで、変わらなかった。


『ダイヤ姐さんだけブレないw』


『さすが』


『いや、この人が一番怖いまである』


 ――そして、二十八層の最奥。


 小さな、青白い泉が、そこにあった。


ローズ「……あったわ。……美容の泉」


サファイア「わあ〜、綺麗〜!」


ダイヤ「……水質、正常。……問題ありません」


 三人が、泉のほとりに、しゃがみ込んだ。


 そして、その水で、顔を、洗った。


ローズ「……あら。……これは」


サファイア「すべすべ〜! すごいわ〜!」


ダイヤ「……確かに、違います」


『効果あるのかw』


『美容の泉、実在した』


『二十八層まで来た甲斐があったな』


 ――と。


 その時。


 白い人型が、泉のほとりに、しゃがみ込んだ。


 そして、ハンマーを、そっと、水に。


 浸した。


『!』


『何してる』


『……あ』


『洗ってるのか』


 白い人型は、丁寧に、ハンマーを、洗った。


 彫られた意匠の、溝の一つ一つまで。


 そして、腰の手拭いで、拭き上げた。


 ――磨き上げられた岩が、青白い光を、反射した。


ローズ「……あらあら」


 ローズが、その様子を(見えないながらも、コメントで知って)笑った。


ローズ「……その子にも、お化粧してあげたのね」


ローズ「……ふふ。……いい子じゃない、ピクトちゃん」


 白い人型は、照れたように、頭を掻く仕草をした。


『いい話だ』


『美容の泉に武器を浸すの、この人たちらしい』


『そして音、聞こえるか?』


『……ああ』


『さっきより、機嫌よさそうだ』


『剣、完全に懐いたな』


『拉致から始まった関係が』


『情が湧く前に化粧された』


 ――帰り道。


 白い人型は、ハンマーを、大事そうに、抱えていた。


 その隣を、三人が、歩いている。


ローズ「……ねえ、ピクトちゃん」


 白い人型が、見上げる。


ローズ「……今度、その子の柄に、巻くものを作ってあげましょうか。……革でね」


サファイア「あら、いいわね〜! アタシ、細工するわ〜!」


ダイヤ「……色は、白がいいでしょう」


『装備更新の相談してるw』


『三十層探索者たちが、ハンマーの手入れの話で盛り上がってる』


『日本で一番贅沢なメンテナンス会議』


 白い人型は、その申し出に、大きく、頷いた。


 そして、サムズアップ。


ローズ「……決まりね。……その代わり」


 ローズが、ウインクした。


ローズ「……今度、アタシたちの装備も、見てもらおうかしら。……あなた、目利きでしょう?」


 白い人型が、力強く、頷いた。


『取引成立w』


『物々交換の文化がここでも』


『あいつ、いつも何かと交換してるな』


『コーヒー、プロテイン、羽根、卵、そして今度は細工』


『通貨がない代わりに、全部現物』


 ――そして、ゲートの手前。


 白い人型は、足を止め、三人に向き直った。


 そして、ハンマーを、掲げた。


 次に、サファイアを指差し、深く、頭を下げた。


サファイア「……あら。……そんな、大げさよ〜」


 だが、その声は、少しだけ、震えていた。


サファイア「……アタシ、昔ね。……職人だったの」


サファイア「……でも、色々あって、辞めたのよ。……この見た目じゃ、店に立てないって、言われて」


サファイア「……久しぶりだったわ。……誰かのために、彫るの」


 白い人型は、その言葉を、聞いていた。


 そして――ハンマーを、もう一度、掲げて。


 両手で、大きな、輪を、作った。


『「これは、いい仕事だ」だ』


『……いや』


『「胸を張れ」じゃないか、それ』


『……そうだな』


『そっちだな』


サファイア「…………ふふ」


 サファイアが、目元を、指で拭った。


サファイア「……ありがと。……ピクトちゃん」


 白い人型は、最後にサムズアップを一つ残して。


 ハンマーを抱えて、通路の暗がりへ、消えていった。


 ……その足取りは、いつもより、少しだけ、軽やかだった。


ローズ「……さて、皆さん。本日の配信、いかがだったかしら」


ローズ「……美容の泉も手に入ったし、可愛い弟子も来たし。……サファイアの腕も、久しぶりに見られたわ」


サファイア「……もう、恥ずかしいわよ〜」


ダイヤ「……お疲れ様でした」


『お疲れ様でした!!』


『最高の回だった』


『サファイア姐さんの過去、初めて聞いた』


『あの手つき、本物だったもんな』


『……なあ』


『ん?』


『あの剣、拉致されて、化粧されて、洗われて』


『今、たぶん、十二年で一番幸せなんじゃないか』


『……そうかもな』


『岩に刺さってた頃より、いい待遇だ』


『でも、それはそれとして、市の観光課には謝りに行けよ』


『それな』


『……あと、結局あれ、なんで持ち物だけ見えるんだろうな』


『やめろ』


『また始まるだろ』


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