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ダンジョン配信に映り込むピクトグラムの怪異になった  作者: 脳タリン


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第51話 ダイヤバス

「よーし、着いた。ここが十九層の大水脈だ」


 画面に映るのは、地底湖だった。


 どこまでも透明で、しかし底は見えない、深い青。


タケル「『ダンジョン釣行部』のタケルです。今日は、こいつを狙います」


 タケルは、スマホに映した写真を、カメラに向けた。


 鱗が、鉱物のように輝く、大型の魚。


タケル「ダイヤバス。十九層以深にのみ生息。鱗が宝石級の硬度と輝きを持ち、一匹で軽自動車が買えます」


シゲ「シゲです。釣行歴二十年、ダンジョン釣行歴三年。……ダイヤバス、まだ釣ったことないですけどね」


ハル「ハルです。……先輩たちが釣れないのを、三年見てます」


タケル「なお、本日の予定釣行時間は、十二時間です」


『十二時間!?』


『長すぎるだろ』


『釣り部はいつもこれだからな』


『装備が竿と防具っていう謎の組み合わせ』


『でも十九層まで来れる時点で実力はある』


『釣りのために十九層で半日過ごすのが理解できないだけで』


タケル「では、準備を……」


 三人が、竿の準備を始めた、その時。


 視聴者が、それを、見つけた。


『……おい』


『湖畔の岩、見ろ』


『いる』


『もう座ってるww』


 三人から十メートルほど離れた岩の上。


 小さな折りたたみ椅子に腰掛け、麦わら帽子を被った白い人型が、既に、竿を出していた。


 傍らには、缶コーヒー。


 完全に、先客の、釣り人だった。


『先に来てたwww』


『場所取りされてる』


『準備が早すぎる』


『あいつ、いつからいるんだ』


『多分、夜明け前から』


タケル「……え? コメント、『例のピクトグラムが既に釣ってる』? ……マジですか」


シゲ「……先客か。じゃあ、挨拶しないとな」


 シゲは、白い人型がいるはずの方向へ、会釈をした。


シゲ「どうも。隣、いいですかね」


 白い人型は、こちらを向いて、こく、と頷き。


 それから、自分の隣の岩を、ぽんぽん、と叩いた。


『どうぞって言ってるw』


『釣り人同士の礼儀、成立してる』


『いい光景だな』


ハル「……釣り仲間、増えましたね」


タケル「四人だな。……よし、始めよう」


 四人が、竿を振った。


 ルアーが、青い水面に、着水する。


 ――静寂。


『始まった』


『いい絵だな 四人並んで無言で釣ってる』


『一人は見えないけど』


『竿だけ浮いてるようにしか見えないの、シュールで好き』


 ――三十分。


 ――一時間。


 ――二時間。


『まだ無音』


『これが釣り配信の真の姿』


『作業用BGMとして流してる人、正直に手を挙げろ』


『はい』


『はい』


『同時視聴者が眠りにつく配信』


 三時間後。


 ハルの竿が、しなった。


ハル「来た!! 来ました!!」


タケル「上げろ!! 慎重に!!」


 水面が、割れた。


 上がってきたのは――


 ぬらり、と光る、体長一メートルの、ウナギに似た何か。


ハル「……ヌメリウナギです」


タケル「外道だ」


シゲ「食えなくはないけど、売れない」


 白い人型が、隣で、ぱちぱち、と拍手した。


 それから、ヌメリウナギを見て、両手で「△」を作った。


『拍手からの微妙判定ww』


『釣れたことは褒めるけど、獲物は評価しない』


『釣り人の正しい反応』


『三時間待ってウナギ』


『しかもヌメヌメしてる』


 その後も、釣果は、芳しくなかった。


 五時間目。


 シゲが釣り上げたのは、片方だけの、古びた探索者用ブーツ。


シゲ「……ゴミです」


 白い人型は、それを見ると、腰のポーチからゴミ袋を取り出し、シゲの元へ歩いてきて、丁寧に、回収した。


『回収されたw』


『清掃員の血が騒いだか』


『ゴミは持ち帰るタイプだからな、あいつ』


『釣り場のゴミ問題に厳しい』


 六時間目。


 タケルが釣り上げたのは、絡まった大量の水草と、その中に埋もれた、錆びた缶。


タケル「……ゴミです」


 白い人型が、また、袋を持って歩いてきた。


『二回目w』


『専属の回収係になってる』


『本業がゴミ拾いになってるぞ』


 七時間目。


 誰も、一言も、喋らなくなっていた。


 タケルは、竿を持ったまま、半分眠っていた。


 シゲは、無心で、ルアーを結び直していた。


 ハルは、水面に映る自分の顔を、じっと見ていた。


 白い人型は――椅子の上で、体育座りをして、竿先を、見つめていた。


 そして、ふと、隣のハルの方を、見た。


 しばらく、見ていた。


 それから、腰のポーチから、缶コーヒーを、もう一本、取り出し。


 ハルの足元に、そっと、置いた。


ハル「……あれ? 缶コーヒー? ……え、これ」


『くれたw』


『自分の分を分けてる』


『七時間目にして一番いい場面が来たぞ』


ハル「……ありがとうございます。……いただきます」


 ハルは、缶を開けて、一口飲んだ。


 それから、また、水面を見た。


 白い人型も、自分の缶を、一口。


 二人並んで、無言で、コーヒーを飲む時間が、続いた。


『いい……』


『何も起きてないのに、いい』


『これが釣りなんだよな』


『十二時間の中に、こういう一瞬があるから、みんなやめられない』


『同時視聴者、また増えてきたぞ』


 そして、白い人型自身の竿にも――


 七時間で、一度だけ、当たりがあった。


 上がってきたのは、小さな、平たい石だった。


 (正確には、ルアーが石の隙間に引っかかっただけである)


 白い人型は、その石を、しばらく見つめてから。


 湖に向かって、水切りをした。


 石は、五回、跳ねた。


『遊び始めたww』


『釣れなさすぎて水切りに移行してる』


『五回跳ねたのは地味に上手い』


『集中力の限界が近い』


 九時間目。


 十時間目。


 時間だけが、静かに、流れていった。


 ――十二時間が、経過した。


 配信開始から、半日。


 同時視聴者は、一度、二百人まで落ち込み、そして今、なぜか八千人まで戻ってきていた。


『十二時間耐久釣り配信』


『途中で寝落ちして起きたらまだやってた』


『何も釣れてないのに帰ってきてしまう魔力』


『四人並んでるだけの絵が、なぜか癖になる』


『そろそろ限界だろ、体力的にも』


タケル「……集中力が」


シゲ「……切れてきましたね」


ハル「……そろそろ、上がりません?」


 白い人型も、椅子の上で、だらん、と脱力していた。


 竿を、地面に置いて、天井を見上げている。


『四人揃って死んでるw』


『釣り人の限界』


『あいつがだらけてるの、初めて見たかもしれん』


『十二時間、外道二匹とゴミ二つだからな』


『骸骨と斬り合っても平然としてた奴が、釣りには折られてる』


『釣りは強者を選ばない』


 その時だった。


 水面が、大きく、盛り上がった。


 現れたのは、体長三メートルの、両生類のような、青黒い巨体。


 湖の、主だった。


タケル「……アビスサラマンダー」


シゲ「出た。こいつが出ると、その日はもう釣れない」


ハル「魚が全部散るんですよ。……こいつ、魚食べるから」


『妨害モンスターw』


『釣り人の天敵』


『十二時間待ってこれは辛い』


『そりゃキレる』


 アビスサラマンダーは、悠々と水面を泳ぎ――


 あろうことか、岸に上がってきて。


 ハルのバケツを、ひっくり返した。


 中の、餌が、ぶちまけられる。


ハル「あ」


 さらに、その巨体が、白い人型の傍らに置かれていた缶コーヒーを。


 尻尾で、なぎ倒した。


 中身が、地面に、こぼれた。


『あ』


『やった』


『それはやったらいけないやつだ』


 四人が、動きを、止めた。


タケル「…………」


シゲ「…………」


ハル「……あの、先輩。今の、餌、全部……」


 そして、白い人型が、ゆっくりと、立ち上がった。


 倒れた缶を、拾う。


 中身は、ない。


 しばらく、缶を見つめていた。


 やがて、缶を、そっと、地面に置いて。


 ――竿を、握り直した。


『あ』


『目が据わってる』


『顔ないけど据わってる』


『十二時間の忍耐とコーヒーの仇』


タケル「……シゲ。ハル」


シゲ「……はい」


タケル「……釣り、中断だ」


『始まるぞ』


『四人がかりのリンチが始まる』


 タケルが、竿を、逆手に持ち替えた。


タケル「――喰らえ!! ロッドアタックゥ!!!」


 カーボンの竿が、鞭のように、アビスサラマンダーの頭部を、打った。


 ぺしん、と、情けない音がした。


『ロッドアタックwww』


『竿で殴るなww』


『高い竿だろそれ』


『効いてないww』


シゲ「タケルさん、それ十五万の竿ですよ」


タケル「知るか!! 俺の十二時間を返せ!!!」


 ――と、その隣で。


 白い人型も、竿を、逆手に持っていた。


 そして、タケルと、まったく同じ動作で。


 ――ぺしん。


 サラマンダーの、反対側の頭を、打った。


『真似したwwww』


『即座に習得ww』


『効かないのも同じww』


『二人並んで竿で殴ってる絵面、地獄すぎる』


『三メートルの怪物、ぺしぺしされてる』


シゲ「……なら、こっちだ。ルアーバレット!!」


 シゲが、ルアーを、投げつけた。


 高速で飛んだメタルジグが、サラマンダーの背中に、こつん、と当たって、跳ね返った。


 白い人型も、自分のルアーを、投げた。


 こつん。


『ルアーバレットも真似したww』


『効いてないけど連携が取れてる』


『四人で無意味な攻撃を揃えるな』


ハル「……先輩たち。落ち着いてください。相手、三メートルですよ」


タケル「落ち着けるか! ハル、お前も何かやれ!」


ハル「え、じゃあ……必殺、地球釣り!!」


 ハルが、湖底に向かって、思い切りキャストし、根掛かりさせ――全力で、竿を、引いた。


 湖底の岩が、ずるり、と動き、水中で、砂煙が舞う。


 その砂煙が、サラマンダーの視界を、覆った。


タケル「おお! 効いてる!」


シゲ「地球釣りって、そういう技だったっけ?」


ハル「本来はただの根掛かりです」


 白い人型が、ハルの肩を、ぽんぽん、と叩いた。


 そして、サムズアップ。


『褒められたw』


『地球釣りが唯一の有効打だった』


『ハルくん、今日のMVP候補』


 視界を奪われたサラマンダーが、混乱して、暴れ始めた。


 その隙に。


 白い人型が、動いた。


 リールを巻き、ルアーを手元に回収し――


 それを握って、サラマンダーの、大きく開いた口の中へ。


 思い切り、投げ込んだ。


 ――針が、掛かった。


『!?』


『口に掛けたww』


『針掛かりさせたぞ!!』


『それって、つまり』


『……釣り上げる気か!?』


タケル「……おい。あの人、掛けたぞ」


シゲ「三メートルを……?」


ハル「竿、折れませんかね」


 白い人型は、竿を、大きく、煽った。


 三メートルの巨体が、ぐん、と引かれる。


 サラマンダーが、暴れた。


 水しぶきが、上がる。


 白い人型は、腰を落とし、竿を立て、ラインの角度を保ったまま、じり、じり、と、寄せていく。


『ファイトが始まったww』


『三メートルの両生類とのやり取り』


『竿、折れないのか?』


『ライン、切れないのか?』


『どっちも普通なら無理だろ』


シゲ「……あの人、道具の限界を無視してませんか」


タケル「無視というか……いや、あの角度、正しい。教科書通りだ。……教科書通りに、三メートルを寄せてる」


ハル「基本に忠実な化け物です」


タケル「……よし。なら、俺たちも掛けるぞ! 三方向から引けば、動きが止まる!」


シゲ「なるほど、四点保定か!」


ハル「釣りでやることじゃないですけどね!」


 三人が、次々に、ルアーを投げ込んだ。


 尻尾に一本。


 前脚に一本。


 背中に一本。


 四方向から、ラインが、張った。


『四人がかりで釣り上げようとしてるwww』


『これはもう漁だ』


『捕鯨の技術だろ』


『サラマンダー、身動き取れてない』


『四点で固定されたら、そりゃ動けん』


 巨体が、じりじりと、岸へ、引き寄せられていく。


 やがて、サラマンダーは、完全に、陸に上げられた。


 ぐったりと、動かない。


タケル「……はぁ、はぁ……。……上げた」


シゲ「……上げましたね」


ハル「……で、これ、どうします?」


 四人(三人と一体)が、地面に横たわる、三メートルの巨体を、見下ろした。


 誰も、次の手を、考えていなかった。


『考えてなかったww』


『勢いで釣り上げたな』


『食えないだろこれ』


『売れもしないぞ』


『餌をひっくり返された腹いせだけで四人がかりの漁をした』


 白い人型は、しばらく、サラマンダーを見ていた。


 それから、腰のポーチから、小さなプライヤーを取り出した。


 そして、サラマンダーの口から、丁寧に、針を、外した。


 三人も、それを見て、それぞれのラインを、緩めた。


タケル「……リリース、ですか」


 白い人型は、頷いた。


 それから、缶コーヒーの空き缶を拾い、サラマンダーに向かって、ぷらぷらと、振ってみせた。


 それから、腕で「×」。


『「今後、コーヒーは倒すな」だww』


『警告してるww』


『通じるのかそれ』


『通じてなくても言いたかったんだろ』


 白い人型は、最後に、サラマンダーの背を、ぽん、と叩いた。


 アビスサラマンダーは、しばらく呆然としていたが、やがて、ずるずると水中へ、逃げ帰っていった。


 途中で一度だけ振り返り、白い人型を、じっ、と見てから、沈んでいった。


『何か言いたげだった』


『向こうも「なんだったんだ」って思ってるだろ』


『四人がかりで釣られた三メートル、被害者かもしれん』


『いや、餌をひっくり返した時点で加害者だ』


『判定:自業自得』


 ――そして。


 全員が、脱力して、岩に座り込んだ、その時。


 白い人型が、ふと、湖面を、見た。


 そして、素早く、竿を、拾い上げた。


『?』


『どうした』


『何か見えたのか』


 白い人型が、キャストした。


 着水。


 そして、ほとんど同時に――竿先が、鋭く、しなった。


『!!』


『来た!!』


『いきなり来たぞ!!』


タケル「掛かった!? ……いや、待て。今、サラマンダーが逃げて……」


シゲ「……そうか! 主がいなくなったから、魚が戻ってきたんだ!!」


ハル「あいつを追い出したのが、正解だったんだ!!」


『そういうことかww』


『八つ当たりが結果的に最適解だった』


『釣り人の勘、恐ろしい』


『いや、勘じゃなくて八つ当たりだったろ、動機は』


『十二時間釣れなかった理由が、そもそも主だった説』


 水面が、爆発した。


 跳ね上がったのは――鱗が、七色に輝く、体長一メートル半の、巨大な魚。


『『『ダイヤバスううううう!!!』』』


タケル「出た!! 出たぞ!!」


シゲ「三年……三年目にして……!!」


ハル「先輩たち、ぼーっとしてないで!! 僕らも投げましょう!!」


 三人が、慌てて、竿を振った。


 そして、そこからは、乱舞だった。


 シゲの竿に、来た。


 タケルの竿にも、来た。


 ハルの竿にも。


シゲ「掛かった!!」


タケル「こっちもだ!!」


ハル「僕もです!!!」


『入れ食いwww』


『四人同時ヒットww』


『さっきまでの十二時間は何だったんだ』


『主がいなくなるだけでこんなに変わるのか』


『半日の沈黙が、最後の三十分で報われるの、釣りらしすぎる』


 四人が、並んで、竿を立てた。


 白い人型が、隣で、ハルの手の角度を、そっと、直す。


ハル「……っ、手が。誰かに、支えられて……」


タケル「そのまま行け! 教えてもらってる!!」


『コーチしてるw』


『後ろからフォーム修正するの、完全に釣りの師匠』


『十二時間、隣で見てたからな』


『そりゃ癖も覚えるわ』


 そして――


 四匹のダイヤバスが、次々と、岸に、上げられた。


 七色の鱗が、地底湖の光を、乱反射する。


タケル「……釣れた」


シゲ「……釣れましたね」


ハル「……釣れました……!!」


『『『おめでとおおおお!!!』』』


『三年の努力が実った』


『四匹同時とか、記録的な釣果だぞ』


『しかも全員自力』


『あいつは自分の分だけ釣ってるしな』


 四人は、しばらく、四匹のダイヤバスを、並べて、眺めていた。


 白い人型は、自分の一匹を、両手で持ち上げ――


 しばらく考えてから、三人の方へ、押し付けた。


タケル「え、いや、これは、あなたが釣った……」


 白い人型は、首を横に振り、自分の腹を、ぽんぽん、と叩いた。


 それから、湖と、缶コーヒーの空き缶を、指差す。


『「僕は、この時間があればいい」って感じか』


『魚はいらないらしい』


『そりゃ、あいつ換金できないもんな』


『口座がない怪異、再び』


『十二時間、静かに座ってただけで満足なんだよ、あいつは』


タケル「……分かりました。……なら、いただきます」


 タケルは、深く、頭を下げた。


タケル「……そして、次に会う時は、コーヒーを、二人分持ってきます。……今日、こぼれた分と、合わせて」


 白い人型は、しばらく静止して――それから、力強く、サムズアップをした。


『約束成立』


『ゲンさんと同じパターンだw』


『あいつ、コーヒーで釣れるの、いい加減バレてるぞ』


『バレていいんだよ、それで会えるなら』


 白い人型は、自分の竿と椅子と缶を、丁寧に片付け、周囲のゴミを一つ残らず拾ってから、麦わら帽子を、ちょい、と持ち上げた。


 それから、通路の暗がりへ、歩いていく。


 肩を揺らす、いつもの歩き方で。


『帰った』


『最後までゴミ拾いしていったな』


『あいつ、ポイ捨てだけは絶対に許さないからな』


『釣り場を綺麗にして帰る 完璧な釣り人だ』


タケル「……えー。十二時間の釣行、結果報告です。ダイヤバス、四匹」


シゲ「うち、全部、自力です。……ただし、主を追い出したのは、四人がかりの八つ当たりでした」


ハル「……釣りの教訓としては、たぶん、最悪です」


『でも結果は最高だったな』


『途中のロッドアタックは何だったんだ』


『十二時間の忍耐の限界だ』


『竿で殴るな、というのが今日の教訓です』


『いや、教訓は「邪魔者は排除してよし」だろ』


『それも違う気がする』


『まあ、あれだ』


『四人で並んで、何も釣れないまま座ってた十二時間が、一番良かった』


『それでいいじゃないか』


『アーカイブ、十二時間あるから覚悟して見ろよ』


『七時間目のコーヒーの場面だけでも見てくれ』


『そこだけタイムスタンプ貼っとくわ』

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