その後の王家の人々(キャサリン)
* * *
人生は自分の思い通りになる!! と思っていたころがカサンドラ姫にはあった。
つい、この前まではそう思っていた。
私は下々のことも理解できるし、高貴な者の考えも分かると信じていた。
だから姫は男爵令嬢のふりをして他国の学園に入学した。
全てが上手くいっていると思っていた。
愚鈍な公爵令嬢は愚鈍なものとして王家に付き従い、姫は王子と結婚し王妃となり幸せに暮らしました。
そうなると信じていた。
王族の周りの人間は全て、そのために動いているものだと思っていた。
各国から国元に抗議の書状が殺到していると聞いたのは、「どこにも出かけないように」と厳重に言われ宮殿の貴賓用の客室に押し込められてしばらくしてからのことだった。
この国と姫の小国はその間に何度か話し合いを持ったらしい。
本当にあの場で独立と言っていた貴族たちは独立してしまったらしい。
その責任の一端がカサンドラ姫にもあるという事らしい。
らしい、というのはその辺の難しいことは姫にはよくわからなかったからだ。
姫はただ、あの時状況が都合がよすぎると思って、そう言っただけだ。
国元に呼びだされて王子と向かい伯父である小国の国王に聞かれたときに姫はそう言った。
小国の国王は大きなため息をついて「お前を留学に出すべきではなかった」と言った。
そして、婚約はそのままだけれど、この国で結婚をして貴族として暮らすようにと言われた。
王子はあの国の王にはなれないらしい。
「それじゃあ、私は姫じゃなくなっちゃうの!??!」
姫はそう叫んだ。
小国の国王は頭を抱えた。
「本当に自分たちが何をしでかしたのかわかっていないのか?」
何か恐ろしい物を見る目で小国の国王は姫を見た。
それから、家臣の中から数名選んで、今回の留学で姫がやらかしてしまった王族として問題のあった行為について、一つ一つ教える機会を作った。
身分を偽るのであれば最後まで隠し続けねば、周りの人に迷惑がかかる。
から始まった様々な話を、ずっときょとんとした顔で聞き続けた姫は、長い長い話が終わった後、「でも、私がそれをしたとき何とかするのが家臣の務めでしょ」と答えただけだった。
家臣を含め皆頭を抱えてしまった。
小国の国王は妹を呼んで伝えた。
「カサンドラはもう公の場には出さぬ。
そして王位継承権についてもはく奪とする」
カサンドラ姫がただのカサンドラになった瞬間だった。
事のあらましを聞いていた王妹も了承するしかなかった。
小国には魔法使いが少なかった。
独立した魔法使いが沢山いる公国と対立したくもなかった。
二人は貴族とするが領地をもたない俸禄貴族とする異例の措置が決まった。
屋敷があり、何もしなくても一定の金額を国から支給するが、逆にそれ以外は何もない。
何かしようとしても他国からにらまれている状態だ。
商売等できるはずもない。
それ以外に取れる方法はないだろうという事になった。
カサンドラは最期まで自分の何がいけないのかが分からなかった。
それを学ぼうともしなかった。
いつかまだカサンドラを姫に戻してくれる誰かを待ちながら用意された屋敷で心はずっと少女のままで暮らしていた。




