出来損ないではありません2
その時だった、宮殿の高官が、「緊急です!!緊急の要件にて!!」
と駆け込んできた。
今の状況よりも緊急の話は無い。
その後に白い衣をまとった一団が入ってきた。
その衣のことをナナエルは資料でしか知らなかった。
世界には脅威というものがある。
最初は世界一丸となって戦っていた。
その時の連合の名残が今も残っており、各地で起こる脅威との闘いについてを記録し、そしてそのノウハウの継承を行っている。
また、脅威と真逆の力を持つ聖力という力を持つ人材の保護を行っている団体だ。
聖力には、悪しきものを見抜く力、そして加護と呼ばれる癒しの力があると言われているが、実際にそれが行われるところをナナエルは見たことが無い。
「間に合ってよかった」
ウィリアムは言った。
彼がこの人たち、教会と呼ばれる組織に属している人々を呼んだのだろう。
「国王陛下にお目通りいたします。
私、クロノスと申します」
うやうやしく礼を取った人間の名をこの国の高位貴族なら知っている。
今の教皇聖下として勉強をするからだ。
年齢は50を超える筈なのにそうは見えないとても若い姿をしている。
「教皇聖下が何故ここにいらっしゃったのでしょうか?」
王子は彼が誰かも分からないようでぽかんとしていた。
国王はさすがに分かったらしく震える声で言った。
教会は大国の支援も受けており権力は大きい。
また、癒しの力はどんな病も直すと言われており、その恩恵にあずかりたい国は多い。
「まずは、脅威を打ち払った英雄を祝いにですよ」
ここは祝賀会の会場でしょう? と教皇は不思議そうに言った。
先ほど、暗黒龍の件がでっち上げだと叫んでいた王子はバツの悪そうな顔をしていた。
「お祝いについていくつか、お願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
ウィリアムが教皇に言った。
どうやら二人は知り合いの様だとナナエルは気が付いた。
「私にできることであれば、祝福の子よ」
「ありがとうございます」
ウィリアムはうやうやしく頭を下げ、礼をした。




