出来損ないではありません3
「それでは、まず今脅威を一体倒したのですがそちらの鑑定をお願いいたします」
「ほう!それは素晴らしい」
「レナ、アサヒ、この場の鑑定を」
「御意」
教皇に付き従っていた二人が魔法陣の形式とは違うが似た紋章を浮かび上がらせる。
そうすると丁度ウィリアムが脅威を倒した地点とそして王妃から黒い靄が浮かび上がった。
「中級ですが脅威の残渣を確認」
レナと呼ばれた方の女性がそういう。
王妃は先ほど商人と同じ言葉を言ってから崩れ落ちるように床に座り込んでいた。
「浄化いたしますか?」
アサヒと呼ばれた方の男性が教皇に聞いた。
「ああ、そうしてあげてください。
それも教会の役目です」
その言葉で、レナとアサヒは王妃のそばまでより黒い靄に何かの術をかけていた。
穏やかな光に包まれて黒い靄が消えた。
王妃は力が抜けたような顔をしていて一言も言葉を発しない。
「脅威への排除、教会からも感謝しましょう」
教皇はそう言った。
教会がここに脅威がいたのだと認めた。
それも複数の国の特使がいる前で。
これを覆すのは難しい。
「龍は、そもそも何故龍をっ……」
王子が叫ぶ。
王妃がよろよろと立ち上がり、「おやめなさい」と王子に向かって言った。
今までの彼を甘やかすための口調ではなかった。
「暗黒龍につきましては、是非教会へ献上したいと思いましてお持ちしております。
これは一つの国が持つと争いの元となりますので」
ウィリアムは言った。
それから、ダンスホールから人を離れさせると、何事か呪文を唱えた。
先ほどの氷像が圧縮されるように消えていったのと逆でどこからか龍の亡骸が現れた。
会場は否が応でもどよめきがあふれた。
そこには誰が見ても巨大な龍の亡骸が横たわっていた。
「心臓のみを貫いたのですか」
教皇はそれを見て呟いた。
「これは良い薬ができます。
薬が出来た暁には各国の必要とする人々に届けましょう」
毒と薬は同じものという言葉があるように龍の亡骸の一部は良い薬になる。
教皇は何やら手配をすると教皇に付き従っていたであろう何十人もの白い衣の者たちが龍の亡骸を白い大きな布で包んでどこかへ持ち出していた。
ウィリアムが確かに英雄であった事は証明された。
ではナナエルはどうだろうか。
「最後に一つ。
彼女を診てもらえますか?」
悪しきものや病魔にむしばまれているか見て欲しいとウィリアムは頼んだ。
「具体的には?」
教皇が聞いた。
「『国母となる資質がたりないということだよ』」
ウィリアムの手元から先ほどの国王の声が聞こえた。
「ウィリアム!!」
侯爵からの怒鳴り声が聞こえたがウィリアムは気にしていないようだった。
「このように婚約者が言われているのです」
困ったようにウィリアムは笑顔を浮かべた。




