断罪の時
「おかしいですわ!!!!」
その時だった。声が上がったのは。
大きな声を出したのはカサンドラ姫だった。
「どういうことだい、キャシー」
王子が姫に声をかけた。
「どうもこうも、できすぎだとはおもいませんか?
全てがまるで、彼に都合の良い流れになっていますわ」
姫が言うと王子がふむ、と頷く。
そして、キッとウィリアムをにらみつけた。
「まさか脅威と結託して我々を陥れようとしていたという事か!!」
ウィリアムに向かって王子がそう言った。
ナナエルはこういう短絡的に物事を判断するところがとても嫌いだったと思い出した。
もった髪色等がきらびやかではないので、即地味で駄目だと決めつける。
勉強ができるから仕事を押し付けてもいいのだと決めつける。
王子はそういう人間だった。
特に誰にも注意をされなければ変わる筈がない。
「そんな訳が無い!!
それではなぜ、暗黒龍の素材を献上すると言わなかったのだ」
びしっとウィリアムに向けて指を指して王子は言った。
会場内がざわつく、本来ならある筈のその言葉が無かったことは事実だった。
「お前、いやお前たちは結託して龍を持ち逃げしようとしたか、それともそもそも龍は存在していたのか?」
王子は演説を始めてしまった。
「そんな訳ないでしょう」
「では、自作自演ではないという証拠はあるのか!!」
何故こんなにも簡単に脅威を倒せてしまったのか。
実際は簡単でも何でもなく、そしてあの占い師兼商人が脅威の可能性もあると宮廷魔術師たちで共有できていたため可能だったのだが、それは自作自演ではないという証拠ではない。
そもそも、自作自演ではない証拠等出せるはずが無いのだ。
「『ぼんくら』と呼ばれていた者が、龍を倒したなど、おかしな話だと思っていたのだ」
王子はそこまで言ってしまった。
仮に龍を倒したのが嘘だとして、では今日の祝賀会は何なのか。
外国から賓客を招いて、大々的にアピールしているこの国の威信が嘘だったと言っているのと同じだというのに王子はウィリアムを断罪することに酔っている様だった。
「そこまでにしていただきましょう」
宮廷魔術師団長でもある侯爵が宮廷魔術師のローブを着た姿で一歩前に出た。
それに呼応するようにナナエルの父である公爵も一歩前に出た。
この王子がナナエルを追い込んだのがすべての始まりだった。
全てを終わらすのもまたこの王子の所業だった。




