入場の反応
ぼんくらを返上したらしい侯爵令息と公爵令嬢の入場は、感嘆のため息をもって迎え入れられた。
素晴らしい衣装と素晴らしいヘアセット。
色眼鏡を外してみるとぼんくら令息はかなりの色男であった。
そして、公爵令嬢は、日々虐げられるストレスからも解放され、激務でやつれることもなく、つややかな髪の毛と色白で美しい肌。
そして、決して目立つ訳ではないが、上品で美しい容姿がいかんなく発揮されるためのドレス。
隣に並ぶ侯爵令息にはにかむ姿はなんともかわいらしい。
あんなに美しい人だったか。
とある令息がぽつりと言った。
地味令嬢などと言われていたのが嘘のように美しい令嬢が一枚の絵画の様にそこにいた。
ざわめきがあった。
それは肯定的なものが多かった。
これだけ美しい公爵家の令嬢だったとはという驚きとともにナナエルたちはホールに入った。
主催者というものがいないため挨拶は無い。
ダンスは全員がそろってから。
二人はこれから入場するであろう人について考えながら入場のための扉を見ていた。
誰もが、どう声をかけたらいいか分からずに二人を遠巻きにしていたけれど、誰もがあの二人とお近づきになりたいと思っていた。
ウィリアムはそのことにきちんと気が付いていたし、ナナエルはそのことに気が付いていなかった。
その位、最近のナナエルはとても美しくなっていた。
公爵家の威信をかけた美容もそうだが、ストレスが無く家族との行き違いも無くなり、ナナエルが幸せになったということが一番大きい。
その時だった。
最後の入場者の口上が上がった。
王子殿下の名と男爵令嬢キャサリンの名が呼ばれ扉が開いた。




