宮廷魔術師の方たちにご挨拶をしました
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ウィリアムとナナエルの婚約は問題なく整ったと、ナナエルは聞いた。
貴族としては珍しい事だが、周りに大々的に言って回っていないとナナエルの父である公爵は言っていた。
王家からの婚約不適格の話があってまだそれほど日が経っていないし、王子の新しい婚約についての話も本格化していない。
だからそういうものとして認識していた。
ただ、ウィリアムからびっくりするくらいの贈り物が届いた。
お返しをと思ったけれど、祝賀会でつける装飾品を一緒に見に行って欲しいと言われただけだった。
それから、学園で提案された通り、宮廷魔術師の方たちに紹介されることになった。
挨拶をして効率化できる魔法陣について説明をする。
その二つが今日の目的で、王子の雑務を押し付けられていた際に会ったことのある人たちもいる。
別に何も大変じゃないはずなのに、ナナエルは少し怖くなっていた。
過労から倒れて王子との婚約が無くなって、それだけだと思っていた。
学園は歴史研究科に籍を移せたので何も無かったように過ごせた。ジョエル達とのお茶会もジョエルが配慮してくれたので普通に過ごせた。
けれど、外で何かをするというのが久しぶりで、しかも大人たちで、しかもナナエルはいわゆる傷物令嬢で。
だから、少し怖かった。
ナナエルはそれを誰にも相談しなかった。
ウィリアムに言おうと少しだけ考えたけれど、やめた。
まず酷い目に合う前提のところに彼が連れていく前提なはずが無いと知っているから。
それに何もかもを頼っている自分が嫌だったから。
不安な気持ちは、いい意味で裏切られた。
魔術師として揃いのローブを着た魔法使い達はナナエルが来て淑女として挨拶をすると、わらわらと寄って来て口々にウィリアムとの婚約を祝ってくれた。
ウィリアムの職場でもあるので彼らは婚約のことを知っていて、しかもつり合いの取れない結婚ではなく、むしろウィリアムにこんなまともな人がと喜んでいる。
それから、侯爵にご挨拶をして、大きなディスカッションや作業に使われるだろうテーブルに、魔法陣の効率化案を並べていった。
魔法使い達は、最初静かに並べられた紙を見ていたけれど、だんだんと目を輝かせて、「これは……!?」とか「この原理を応用するのであればこの部分を、こう直した方がより汎用的なのでは」とか口々に話始めた。
まだ学生の考えだ。
鼻で笑われて終わるだろうと思っていたのに、何やら議論が始まっている。
そのことにナナエルは驚いた。
「ね。相談した方がいいと言っただろ?」
ウィリアムは得意気に言った。
侯爵は、「なるほどこれは……」と言った。
「これはむやみに公開しない方がいいと思ったので」
ウィリアムは経緯をもう一度説明した。
「まあ、そうだろうな……。
車輪の再発明になっているものもあるが、そのほとんどが革新的な進歩になるだろうからな」
ナナエルは革新的な進歩という言葉にびっくりした。
「君は宮廷魔術師が保護すべき、偉大な魔法使いという事だよ」
ウィリアムはそう言った。
ナナエルはウィリアムの言葉が信じられなかった。




