二人の時間
既に開発済みの魔道具についてはウィリアム様に権利の登録等は任せた。
ナナエルの父と相談して上手くやってくれるという事でナナエルは安心して新しい魔道具の開発が出来た。
そしてその中で気になっていることをウィリアムに話した。
「既存の魔法陣の中に効率性の悪い物がある?」
ウィリアムは聞き返した。
「はい。一部を変えると大分魔力量の消費が抑えられるものがあるのですが、そういうものってどこで相談すればいいのでしょうか?」
いくつか例を教えて欲しいと言われ、元の魔法陣と改良したものを並べる。
それを見たウィリアムは「父を紹介した方がいいね」と言った。
「一度宮廷魔術師たちにも紹介していいですか?」
マジメな顔でウィリアムがナナエルに聞いた。
これは婚約者としてという意味だろう。
「はい、勿論です」
照れながらナナエルは答えた。
「そう言えば、最近側近のかたが学園にいらっしゃってないですが」
「ああ、うん。ちょっと色々あって仕事を任せているから」
祝賀会の話に、侯爵家の跡取りになった件、色々あるからだろうとナナエルは思った。
「ウィリアム様はお忙しくないのですか?」
ナナエルは聞いた。
「え? 心配してくれるのかい?」
ものすごくうれしそうに、ウィリアムは答えた。
はじめての、唐突な求婚の時にもナナエルは思ったけれど、ウィリアムの考え方は少し独特だ。
今もそんな喜ぶ要素があったのかナナエルにはよくわからなかった。
「忙しい中、私の話に付き合ってくださるなら申し訳なくて――」
でも、そうだとしたら少しだけ嬉しい。とナナエルは思った。
ウィリアムは嬉しそうに笑っただけだった。




