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シンディー編完結

狼は油断してる。間抜けにもバスを出てしまう。


後手に隠したこのコショウを振りかければきっと逃げ切れる。


「ほら抵抗したっていいんだぞ」


もうちょっと。


「抵抗してくれないと張り合いがないんだがな赤ずきんちゃん。ははは! 」


ダメ我慢!


「頂きまーす! 」


今しかない。


完全に油断したところでコショウを撒く。



「ごっほっほ! 何しやがるこの! 」


まずい! 角度がつかずに目ではなく口へ。


多少咳き込み涙を流すが逃げる隙を与えてくれない。


「ふふふ…… やってくれるぜ! でもそう言うのが好きなのさ」


狼は獲物を弄ぶ。そして徐々に体力を奪っていく。


仕方なく諦め半分で出来る限り叫ぶ。


「そうそう。そうこなくっちゃ」


「誰か! 助けて! 」


「ほらもう一度」


「パパ! パパ! 」



本来狼は群れを形成し集団で狩りをするもの。


統制が取れた実に賢い集団。


ただ群れからはぐれるものも。


一匹狼って奴だ。彼もまたその一人。



「大河! 大河! 」


「そうだそう…… うご…… 」


全力で蹴り上げる。


間髪入れずにもう一発お見舞い。


起き上がって体当たり。


連続攻撃で狼を翻弄。


怯んだ狼は成す術なくすっ転ぶ。


転んだところで全力疾走。


後を振り返らずにとにかく前へ。



「誰か! 」


狼は疲れたのか追いつく気配が無い。


「うおおお! 」


「助けて! 助けて! 誰か! 」


「くそ、待ちやがれ! 」


徐々に距離が開いて行く。



「誰か! 僕を! 誰か! 僕を助けて! 」


必至のシンディー。


うおおお!


獲物を逃してなるものかと焦りからか遠吠えする男。


もはや人間ではない。とっくの昔に人間を棄てている。


「僕を助けて! 僕を! 大河! うわああ! 」


死に物狂いで逃げる赤ずきんと獲物は逃さんと必死な狼。


ただ大地に降り立てば赤ずきん有利。


マウントシーの館を目標に走り続ければいい。



「大河! 大河! パパ! パ…… 」


その時ついに手を掴まれてしまう。


「きゃあ! 」


気力を失ったシンディーは大地に倒れ込む。



「よくやった! 」


辺りが闇に包まれた時シンディーの腕を引き寄せる者が一人。


大河であった。


シンディーに労いの言葉をかける。


「よくやった。本当によくやった! 」


「あれパパ? ううんお兄ちゃん。大河だ! 僕…… 僕…… 


ありがとう大河。僕撃てたんだ! 」


シンディーは涙を拭き笑顔を作る。


大河は涙を採取するとポケットにしまう。


大河の異常な収集癖。



「どう言うこっちゃ…… 」


暫し呆然とする狼。


「そこまでだ。手を挙げろ! 」


暴漢に向かって銃を構える。


「何が…… 」


状況を把握しきれない大神ではなく奥噛でもなく墺噛。


いやただの獣でしかない犯罪者は呆然自失となりその場で倒れ込む。


もはや従わざるを得ない。



銃を向けたままシンディーに確認を取る。


「奴をどうする? 判断は任せる。このままここで撃ち殺して楽にしてやるか?


副村長に引き渡す手もあるぞ。好きにしろ」


シンディーに銃を託す。


「止めてくれ! 撃たないでくれ! お願いだこの通り! 」


頭を下げ情に訴える墺噛。


シンディーは銃を向けるとトリガーに手をかける。


「そうだ慈悲は必要ない! 一思いに闇を切り裂け! 」


いつの間にか処刑モードに突入。


墺噛含め三人とも興奮状態。


もはやルーズコントロール。



「分かったよ大河。罪には罰をそうハッピー先生がおっしゃってた。


僕にもやれる。僕が罰を与えないといけない! 」


「うわああ! ちょっと待ってくれ! 落ち着くんだ! 」


墺噛に罰を。


狼は狩人と対峙する。もはや逃げ場はない。


「助けてくれ! 」


「次があったら助けてあげる。だから今回は我慢してね」


「うわああ! 止めろ! 助けてくれ! 魔が差したんだ。


ほらもう祭りだろ。血が騒ぐのよ。俺の体のそう言った部分が反応しちまってよ。


なあいいだろ許してくれよ」


言い訳するばかりの墺噛。


「うるさい! 」


「考えてくれ。俺を撃ってどうなる…… 」


「ああっと」


つるっと滑ってトリガーを引きそうになる。今まで降っていた雨の影響?


それとも緊張によるもの?



「時間だ! 」


シンディーを促す。


「時間? 時間って何だよ? オイ…… 」


「分かった。バイバイ狼さん」


次の瞬間マウントシーに銃声が響いた。



「うう…… 撃たれた! 」


墺噛は胸に手を当て横たわる。


死体の一丁出来上がりか?



「よく頑張ったなシンディー! 」


「はい! 」


「よく堪えたな! 」


「はい! 」


二人は抱き合った。数分そのまま暗くなったマウントシーの大地で。


そしてマウントシーに輝く星たちに祝福を受ける。



「大河! 大丈夫? 」


銃声に反応したアリアが走ってくる。


またしても二人の邪魔をする形となったアリアだった。


「はい大丈夫です」


「良かった! シンディーさん。無事だったのね」


アリアは胸を撫で下ろす。



「僕はやったよ! 」


「心配したんだから…… やった? まあいいか」


「ああアリア。後始末を頼むよ。俺はシンディーを送っていくから。


代わりにその辺からロープと担架を調達してきてくれ。


そこで伸びてる奴を運ばなくては行けないからな。頼んだぞ」


「ええっ? ちょっと何で私がそんな面倒臭い真似しなきゃいけないの?


それにこいつ誰よ? 説明しなさいよ大河! 」


厄介ごとを押しつけられ苛立つアリア。


「まあまあいいじゃないか。こうなったのもアリアが原因なんだからな」


「ハイハイ分かりました。それじゃあシンディーさんごめんなさい」


嫌々謝るアリア。



その後アリアは山小屋の二人の協力を得て男をバスの中へ。


拘束して放置。


翌日副村長に引き渡す。



こうしてマウントシーは再び平和を取り戻した。


だが一つ問題が。


当然ながらバスの運転手が居なくなる緊急事態。


一日二本。下とを繋いでいたバスが動かなくなる。


バスの無い不便な生活が続くことに。



次のターゲットは…… 


もう決して後戻りできない。



シンディー編<完>


                  続く

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