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ドルチェ編 男子禁制のグリーズ島の楽園

第三部 第三ドール 白


防人ドルチェ編。



夜。


コップに水を注ぎ一口で飲み干す。


ベットに戻り横になるが眠れない。


寝苦しい夜は続く。


この暑さはいつまで続くの?


夏が終わり秋を迎える頃? 冬になるまで?


日中は暑くたって構わない。でも少なくても夜はもう少し快適に過ごしたい。


それでいて朝は必ず冷え込む。体調を崩す原因だ。


いやそれだけではない。暑さだけならば凌げばいい話。我慢だってする。


私を困らせるのは…… あの男。


彼だ! 大河なる人物がこの地を訪れてから私の体調は優れない。



謎の人物の登場で私たちの心は乱されている。


皆彼のことが気になっている。特にアリアさんは常に警戒。


ブリリアントさんはもはや良いように操られている。


シンディーさんだって何だか良く分からないうちに心を開いた。


別に悪いことじゃない。逆に良いことに思える。


ただここが普通の学校ならね。


ここは学校でもなければ合宿所でもない。


可愛そうな女の子たちを集め閉じ込めた孤独な施設。


孤独な楽園。


グリーズ島の楽園。



ハッピー先生の話では昔はグリージア人が住んでいたとか。


いつの間にか絶え無人島になった。そこをハッピー先生の幼馴染が開拓。


発展していったと。ただ詳しいことは副村長以下誰も分からないらしい。



ハッピー先生も大河を買っている。


どうもこの島の英雄である幼馴染と重ね合わせているようだ。


まったく本当にどうかしてる。あんなくだらない男に惑わされてどうするの。


過去は過去。歴史は歴史。今と過去を切り離す必要がある。


ここの歴史は一旦置いておくとして今は大河。とにかく大河とは一体何者なのか?


要注意人物。警戒を怠ってはいけない。


ここは男子禁制のグリーズ島の楽園なのだから。



防人ドルチェ。その隣には大河が壁一枚隔てて眠っている。


今大声で叫べば大河をこの楽園から追放できる。


「大河さん! 大河さん! 」


壁を叩き呼びかけるが反応が無い。


熟睡してしまったようだ。


当然か。こんな真夜中に起きているはずもない。


もう一度試すがやはり反応が無い。


これはいくらなんでもやり過ぎだったか。


でも彼を追い出すにはこれくらいやってちょうどいい。


情けをかけて放っておけば必ず痛い目に遭う。


ちょっとした嫌がらせは止めて床に就く。



「ええっとこの橋は『振り返らずの橋』と呼ばれています。


観光客相手に熱弁をふるう幼さの残る少女。私?


「……二人一組で渡ってください。まずはあなた」


カップルの片方とアイコンタクトをしもう片方の少女と手をつなぎ渡り始める。


後ろには男と少女の弟。いや違った親戚の子だっけ。二人を残し前に進む。


「いいですか。渡り切るまで絶対に振り帰らないで下さい。


言い付けを守らないと後ろを歩く者に災難が降りかかりますよ」


観光客を脅すのも一つのサービス。私の発案じゃないけどね。



オンボロの橋。


台風で一度。大雨で一度。放火で一度。計三度ほど取り換えられている。


いい加減で耐震等を無視しているとも噂されている。


だから島民以外が渡ろうとすれば危険が降りかかる恐れがある。


島民は守られていることもあるが観光客ははしゃぎ危険度がアップする。


いくら注意しても真剣には受け取らず勝手に進む。


ただ女性や家族連れは慎重に渡ってくれている。


逆に男は意味も分からずに急いだり跳ねたり競走したり。


いい加減にしろと注意される場面が多々ある。


橋はゆっくり進めば二十分以上かかり走れば五分とも言われている。


今まで走って渡る命知らずは見たことがない。


何と言っても幅が大人三人でギリギリ。


不安定で揺れも激しく実際は三十分かかるのが普通である。



横には安全のため肩のあたりにロープを張り巡らせている。


とは言え背の低い者や老人、子供には優しくない。


観光にとってプラスなのかマイナスなのか良く分からない。


もう少しだけでも安全に配慮して渡りやすくするのも手。


だがそれでも雀の涙ほどの予算ではどうにもならない。


それに自然のまま残してほしいと島の者は無責任に考えている。


地元の足も観光客のことも考える必要がある。


ただ観光客や登山者にしても一時的だからマウントシーの住人を優先すべき。


もっともの意見だがそれだと地元の者はバスがあるから良いと言う結論になる。


観光客用に敢えてそのままにしている。


しかし橋までは山を登る必要がありやはり女性客や子連れには不安が残る。


今後の観光客増加を見込んだ村は対策を立て柔軟な対応を検討中。



また同じ夢。


あの日が近づいたからか頻繁に見るように。


                  続く

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