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ファイブダラーズ 悲しみの楽園

今、目の前に生意気な少女が一人。


こんな夜中に出歩きつまらないショーを見せる。


そのお礼をしなくちゃな。やっぱり男ならここは……


アリアだってその気だろ? 俺をここまで追い詰め楽しみやがって。



「アリア…… 」


酷く震えている。何かを恐れている。


どうしたんだ? 俺以上に堪えてるとでも言うのか?


自分で仕組んで自分で落とし穴に嵌る間抜けぶり。


「大河…… 」


まさかアリアもそうなのか? 出迎えた時の彼女は確かに辛く苦しそうだった。


アリアは誰よりも傷ついている? 


本人は否定していたがアリアだってやはり似たような者。


後ろ暗い過去か心の奥に封印したトラウマがあるに違いない。


そうもう一つのドール。


ファイブドールズとでも呼ぶべきか。


いやそれではあまりに安直か。


ならば少し捻ってこの島の通貨に因みファイブダラーズとでもするか。



ふう少しは冷静になれたかな。


うう…… やはりダメだ。


黒い衣を白装束へと変えていく一連の動きがどうしても目に焼き付くのだ。


装束を脱ぎ捨て振り向いた顔は俺の知っている少女たちではなかった。


顔に集中できない状態では見間違えた?


少女たちだとどうして言い切れる? まったくの別物の可能性だって……


確実に判別できる程度に近くも時間もなかった。唖然とするあまり見落としてた?


現実なのか? 現実だとすればもはや変えようのない状況。


いや夢だ! 夢に違いない!


俺の願望が見せた夢。


願望を夢に変えただけではないか。


あまりにも非現実過ぎて信じられない。



「ふふふ…… 馬鹿なんだから大河は」


震えも収まり元のアリアに戻った。


「もう一度言うわ。あなたに見せたかったのはこれよ」


儀式を行っていた少女たちは本館へ戻りもう一人もいつの間にか姿を消していた。


儀式は完了した? 今夜のところはこれで終わりって訳だ。


用も済んだ。アリアと一緒に茂みを出る。


本館へ戻る。



どうやら気付かれなかったようだ。


「俺にどうしろと言うんだ? 」


「自分で考えなさい。私だって初めてお目にかかった時は衝撃を受けた。


立ち直るのに三日はかかった。それもだいぶ前の話…… 」


「分かった…… 」


「ふふふ…… でもね私はここに来てから日が浅いの。


私がなぜここに来たか知っているでしょう。


私と彼女たちとの関係。私とハッピー先生と彼女たちの関係。


複雑なのよね。前回話した通り」


情報提供者であり協力者のアリア。


彼女の目的が何であれ引き出せるだけの情報を引き出す必要がある。


それには大人しく従ってるほうが良い。


もちろん隙を突き彼女の思い通りにはさせないが。


彼女がなぜこんなことをしているのかは不明。


敵なのか味方なのかの判断がつかない。


本来だったらすべてを打ち明け全面協力を求めるべきがまだ信頼できない。


もし目的が同じならばライバルと言うことになる。


ここはやはり慎重に動くしかない。



「あの儀式にはどんな意味があるんだ? 」


「分からないって言ったら信じる? 」


この女ふざけやがって。


「ふふふ…… 冗談。あれは一種の精神安定剤。儀式することで落ち着くって訳。


ハッピー先生がいない間それは酷いものだった。あなたには分からないでしょう。


苦しむ彼女たちを見ているこっちの身にもなって欲しいわ」


「しかしお前ハッピー先生の娘だったよな。お前が代わりにやればいい」


「あのねえ…… 素人が考えてるほど甘くないの。やり方を間違えれば逆効果。


道具だってどこにあるのやら。私にはとても無理。それに私は先輩。


生意気な口を利くのはよしなさい。もう助けてあげないんだから」


ふてくされるアリア。



「そうかハッピー先生に直接聞くのがいいか」


「ちょっと待ちなさい! これはデリケートな問題。


誰にも知られたくないはず。それはハッピー先生も彼女たちも。


あなたに知られたらと分かったらショックを受ける。だから余計なことはしない」


まるで子供扱い。俺を情けないアホな弟だとでも思っているのか。


それではアリア先輩ではなくアリア姉さんだ。



「私もあなたがなぜこんな島に来たのかなぜマウントシーに来たのか分からない。


あなたの狙いがはっきりするまで詳しいことは教えられない」


「ちょっと待てよ。お前こそ何の目的で…… 」


「言ったでしょう。ミス・マームに頼まれて仕方なく。私だって来たくなかった。


でも来たからには彼女たちに害をなす者を排除しなくてはならない。


それが私に課された使命なんて言ったら信じてくれるかしら」



「矛盾よね。面白いと思ってあなたにヒントを与えたけど結果が伴ってないしね。


これだけヒントを与えたんだから後は自分の力で。そして考え、悩みなさい。


すべてが白日の下に晒された時あなたは彼女、いえ私たちを許せるかしら。


ではまた明日」


そう言うとアリアは自分の部屋へ。


仕方なく宛がわれた部屋に戻る。


               

ブリリアント編に続く


注;

次回からブリリアント編が始まります。

それに伴い一日一話更新となります。

では引き続きお楽しみください。


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