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ドールズ 感情なき少女たち

深夜十二時、別館前。


怪しげな招待状で呼び出されたのはいいがここで合ってるか不安。


果たして本当に姿を現すのかも微妙。



がさがさ

がさがさ


物音がする。


「うわああ! 」


つい大声を出してしまう。


ただ一瞬だったので気付かれずに済んだ。まあ当然か。こんな時間辺りに人など。


別館に人影が。多少の声ではいくら窓を開けてようと聞こえるものではない。


それは別館の人間もそうだが…… ただ歌っていたなら話は別。


「ちょっと大声出さないでよ」


後方から聞き覚えのある声がする。


「はあ…… 」


「光を…… 早くライトを消しなさいよ! まったく」


「まさかお前は…… 」


「ほらこっち」


急いでライトを消し声のする方に飛び込む。



「フフフ…… 来たわね」


暗くて良く見えないが声には聞覚えがある。


「アリア? アリアなのか? 」


「アリアさんでしょう? 誰が呼び捨てにしていいって言ったの? 」


厳しいアリア先輩。


たぶん俺よりも下だろうに先に来たものだから先輩だとさ。


アリア先輩はさすがにやり過ぎな気もするが…… 


本人のたっての希望ならば仕方あるまい。ここは従うしかない。



「お前は一体何を考えてるんだ」


「どう楽しんで頂けたかしら? 私が見せたかったのはこれなの」


「悪趣味だな」


「失礼ね。さあもう私が誰か分かったんでしょう」


「だからアリアだろ」


「もう何度言えば分かる訳? アリアさんか先輩と呼びなさい」


「アリアさん。岬アリアさんだ! 」


つまらない言い争いをしている暇はない。


「なあ説明してくれないか? 」


「だから何度言えばいいの。私に生意気な口を利かないの」


昼間よりも態度が悪い。本性が出ているのだろう。


だとすればここに居る者は全員大にしろ小にしろイカレテルことになる。



「ふふふ…… 悩んじゃって可愛い…… 」


「うるさい! 結局何の用があるんだ」


「怒っちゃって可愛い」


似たようことで俺をからかいやがってさっきから俺をおちょくっているのか。


「どうしたの大河? 」


冷静に冷静に。彼女の方が一枚も二枚も上手。アリア先輩を怒らせてはいけない。


「お願いだよ。教えてくれないか」


「よく見てなさい。その目でしっかり見なさい。どう? そのまま見た通りよ」


やはりからかっているのか?


これは俺を驚かすために皆で考えたつまらないお遊び。


こんなことで俺は惑わされない。


どうやらアリアの悪だくみに違いない。



「あらあら怖いのね。目を逸らしちゃって。でも残念だけどこれが現実よ。


その目で良く見ることね」


「現実…… これが現実だと言うのか? 」


「そうこれが現実なの。絶望した? でもこれからがもっと面白くなる。


でもきっとあなたは耐えられない。苦しくて苦しくて叫び続けることになるわよ。


あなたの目的が何かは知らないけどここから立ち去ることをお勧めするわ。


ハッピー先生には私から伝えておいてあげるから明日までに立ち去りなさい」


「うるさい! 俺の勝手だろうが。この程度のことで」


「ふふふ…… 」


「笑うんじゃない! 」


だがいくら言っても馬鹿笑いは止まりそうにない。



マウントシーの洋館には本館とは別に別館がある。


別に隠されてる訳でもなく鍵が掛かってる訳でもない。


少女たちだけであれば別館まで作らずとも本館のみでもいいはずだ。


元からあったものという訳でもなく副村長の話では少女たちの為に建てられたと。


今まで謎の別館の存在は不気味だったが秘密の儀式用となれば納得できる。



深夜の怪しい儀式。


それにしてもこれは何と表現していいのか。


上下黒の服。全身を黒に包まれた四体のドールが一人ずつ祭壇の上を歩く。


ゆっくりゆっくり歩いて行く。


壇上では同じく黒に包まれた者。位高き人物より何かを授けられている。


奇妙な儀式。


向き合う二人。


塩で清め一粒の飴と白く濁った液体を同時に口へ。


そして再び液体を盃に注ぎ飲み干す。


最後に再び塩を振り祭壇を降り次の者へ。


それを四度行う。


その間祭壇の下の者はずっと歌い続ける。


壇上の者の合図で少女たちは身に着けていた物を一斉に脱ぎ白い衣へと着替える。


こうして儀式を終えた者たちは本館の方へ姿を消す。



ううう……


絶句する。


どうしても言葉が出てこない。


ドール? ドールなのか? まるで感情が読み取れない。


感情を失った四体のドール。


俺はこんな深夜に何を見せられているんだ?


お教えてくれアリア先輩。


                続く

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