表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/104

深夜の怪しい儀式

差出人不明の手紙を受け取る。


明らかに少女たちの誰かから。


だいたいの見当はついている。たぶんあいつだろうな。



夕食を済ませ時間まで睡眠をとることにした。


だが案の定眠れない。興奮して目が冴える。


仕方なく起き上がり窓の外を眺める。


ふあああ


欠伸は出るがやはり眠れない。


今日も暑かったが陽が落ち今ぐらいになると気温も下がり快適を通り越し肌寒い。


過ごしやすくなってきた。じっとり体に張り付くこの嫌な感じ何とかならないか?


台風の影響なのだろうけど。



空を見上げる。


明日は晴れるだろうか。


点々と星が配置されている。その中心に月が存在感を示すように輝いている。


不意に故郷を思い出す。


寂しさと懐かしさからいつの間にか涙が溢れる。


どうやら感傷的になっているらしい。


だが待ってくれ。俺は何もここに旅に来たのではないのだ。


目的があって明確な意図があってこの島にやって来た。


今さらつまらない感情に流される俺ではない。


しっかりしろ!


自分自身を鼓舞する。


しかしだ。本当に良かったのかまだ迷いがあるのも事実。


果たして自分の決断は正しかったのだろうか?


故郷を棄てグリーズ島の住人になる判断は間違ってないか?


心に湧く葛藤を振り払えずにいる自分がいる。


ダメだ! ダメだ! どんどん感傷的になっていく。



間もなく日付が変わる頃、欠伸を噛み殺し部屋を出る。


外は月の光だけで街灯もなく足元も暗い。懐中電灯頼りに夜の散歩を開始する。


昼とはまた違った感覚。新鮮でもある。


夏とは言え外は肌寒い。


もう一枚着るべきだったか?


元々暑がりでこの季節は半袖で過ごしている。


それに一着主義だから今着てる服以外持っていない。


まさかミス・マームに借りる訳にも行かないし。


夜も遅いしこれ以上余計な心配は掛けられない。


それにしても俺もどうかしてる。


去年あれだけ苦しんだのにもう忘れているのだから。


暑さと寒さが交互にやって来た一年前。


あの地獄の日々はもう二度と御免だ。



ガサガサ

ガサガサ


物陰から音がする。


気のせい? まさかね……


マウントシー初日、ミス・マームの忠告を思い出す。


「大河さん夜は大変危険ですので決して出歩かないでください」


「脅しのつもりですか? 」


「違いますよ。あなたに危険が及ばないように忠告してるんですよ」


「忠告ですか。まあそれなら…… 」


「いいですか夜は本当に危険です。毒蛇もいますしそれを捕獲する鳥もいます。


近くには巨大生物や獣も生息していて夜になるとそれらが目を覚ますんです。


怖いでしょう? 絶対に夜出歩かないで下さいね。


この館に保管してある銃器では到底太刀打ちできませんよ」


「はあ…… 」


「いいですか。これはあなたの身を案じ忠告してるんです。ここの責任者は私。


あなたや彼女たちに何かあったら責任問題になるんです。どうぞご理解ください」


真剣な目で訴えかけるミス・マーム。


悪いが俺には約束はできない。


目的を果たすにはどうしても通らねばならない試練と言うものがある。


ここで尻込みする訳にはいかない。


「大丈夫ですよマーム」


「すみません。ここでは先生と呼ぶように。ハッピー先生と」


忠告を受け取り今までは派手な行動を控えていた。


だが今はそういう訳にはいかなくなった。



フウ―と息を吐き別館に続く一本道に足を踏み入れる。


昼間は何てことはない草むらを慎重に一歩一歩と足を上げる。


恐れているのではない。ただ警戒を怠ってはならないと自分に言い聞かせている。


どこに蛇がいるとも限らないのだから。


差出人不明のカードに誘われてのこのこと自分を危険な目に。


たとえ誰かの招待状かとある程度予想できたとしてもだ。


罠であることも十分考えられるのだから。


うん? 何か聞こえないか?



アンタッターラララーリオーリオー

アンダッターラララ―リオーリオー

オオ、ワタシタチオオタスケタマエ

オオ、ワタシタチオオスクイタマエ

アップアップアップルハンデッド

アップアップアップルハンデット



繰り返し何度も流れてくる。耳を塞ぎたくなるほどの強烈な音楽。


館内から漏れる異様な歌とも祝詞とも叫びとも判断のつかない音が聞こえてくる。


何だこれは?


歌ってるのは間違いなくここの者。即ち少女たち。


明らかに常軌を逸している祈り。


一体彼女たちは何をしているのか?


               続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ