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「まぁ!貴方がオリビア様ですのね‼私、ゲイン伯爵家のー」

「あら貴方がゲイン伯爵家⁉その割にはドレスが地味ですこと!」

「……」


「アレックス王子殿下にご挨拶申し上げます、私―」

「まぁ!婚約者である私を差し置いて殿下に挨拶をするなんてなんて無礼なんでしょう‼」

「…………」


お茶会会場に到着し、私はというと絶賛我儘悪役令嬢を演じて他の貴族から嫌われまくっていた。

ハワード殿下は既に他の令息や令嬢に囲まれており、アレックス殿下も交友関係を広げようとするのだが婚約者である私に全員威嚇されて逃げてしまっている状態が続いている。


「っ‼……いい加減にしろ‼俺はお前と好き好んで婚約したわけじゃない‼‼」


アレックス殿下の我慢の限界を迎え、彼はまとわりつく私を振り払いお茶会会場を出て庭園の方に向かってしまった。


「キャァ♡殿下ったら恥ずかしがり屋なんですから!」


うふふと不気味な笑顔を作り、私はその場に立ち尽くした。

若干のイレギュラーはあったがだいたいは予定通りに進んでいる。


ふと視線に気がつき振り返ると談笑の中心に居たハワード殿下と目が合った。

アレックス殿下が怒って出て行ったことで、輪の中心に居ながらも誰もハワード殿下のことを見ていない。

彼は意味ありげに微笑むとアレックス殿下とは若干方向を変えて庭園の方に歩いて行ってしまった。


ついて来いってこと?


恐らく意味としては合っているのだが、心の中でハワード殿下に謝った。

申し訳ないがこのお茶会は失敗するわけにはいかない。


私は取り巻き令嬢2人を見繕い、アレックス殿下をそれとなく追いかけた。


ゲームの通りだったら確かこの花の近くを通ってくるはず……。


キョロキョロと辺りを見回せば、私のお目当ての人間はすぐに見つかった。

ピンク色の髪にピンク色の瞳を持つ安っぽいドレスを身にまとった主人公キャメルだ。


彼女が安っぽいドレスを着ているということはやはり一周目と見て間違いない。

心の中ではかなり落胆しつつ、私は目を見開いてこちらを凝視している彼女に近寄った。


「あらぁ???貴方どこの令嬢かしら?プフ!なぁにその恰好‼まるで使用人じゃない!」


私が先制攻撃を始めると後ろの取り巻き侯爵令嬢2人もクスクスと嫌味ったらしく笑った。


「えっと、あの、その……」


主人公キャメルはぱっちりした瞳を潤ませながら下を向いてもじもじとしていた。


「ねぇ!この私が名を聞いているのに答えられないの??どんな教育を受けているのかしら⁉あぁそうね、見たところお金が無さそうだしまともな教育も受けられないのね‼お可哀そうに!」


可哀そうと言いつつクスクスと笑い、詰め寄っていく。

キャメルはもう既に泣く寸前だ。


ちょっと……主人公が泣きやすいとは言え早くない?


内心では焦りつつも確かにこれくらいのタイミングで泣いていた気がする。

私はおもむろにつけていたブレスレットを花畑の中に放り投げた。


「拾いなさい」

「え?」


きょとんと可愛らしい顔で呆けるキャメル。

その純粋無垢な顔に良心を抉られながら私はゲーム通りに凄みを効かせて顔を近づけた。


「公爵令嬢である私が貧乏で可哀そうな貴方に施しをしてあげると言っているの、ほら!拾いなさいよ‼」


私が決め台詞を言うと後ろの二人はクスクスと笑い出す。

BGMか‼

と、内心ツッコミ少しキャメルの反応を待つと彼女はもうポロポロと美しい涙を流しながらしゃがみこんでブレスレットを拾おうとしていた。


うっ‼


今世のオリビアだけであれば常識や他の人の気持ちなど知らなかったため、何とも思わなかったであろう行為が今は心が突き刺さる様な痛みを伴っている。


「待て」


低く、唸る様な声が聞こえた。

声の方を見ればアレックス殿下が深緑の瞳を鈍く光らせていた。

キャメルも思わず泣きながら手を止めて殿下を見つめている。


「俺が拾おう」


ゲームのスチルそのままな登場に思わず心臓が跳ねてしまった。

アレックス殿下は普段二番手な感じが激しいのに、今は超絶かっこよく見えるから不思議だ。

殿下は花をかき分け、土がついたブレスレットを拾うと私に突き出してきた。


「俺は望んでお前と婚約しているわけじゃない、公爵家の権力や俺の権力を自分の力とはき違えるな‼」


「で、殿下……でも私……」


一喝され、私は瞳を潤ませたが悪役令嬢の涙にたじろぐ正統派攻略対象者ではない。

アレックス殿下はもう私を視界に入れたくないと言うようにキャメルの方だけを見て、彼女に手を差し伸べた。

私はドレスをぎゅっと握りしめると悔しそうに淑女の礼を取り、その場から離れた。


「オ、オリビア様‼」

「一人にして‼」


追いかけてきた取り巻き令嬢二人を怒鳴りつけ、庭園の中を一人になる。

しばらく歩き、迂回して殿下とキャメルを見られる小さな小高い森の様な場所を目指し私は歩いた。


辺りを見回しながら慎重に木の陰を使い二人を見ようとしたとき、なぜだか体が宙に浮いた。


「は⁉え、何??」


気がつけば私の体には蔓が巻き付き、樹上へと運ばれていく。


まさか……。


樹上に上がるとハワード殿下が綺麗な笑みを浮かべながら、蔓で作ったハンモックに揺られてこちらを見ていた。


ハワードルートであれば別のもっと奥の木で寝ているはずだったのに。


「やぁ、感謝も知らない我儘令嬢?お仕置きの時間だよ」

「ヒェッ」


思わず恐怖の声を漏らすとハワード殿下の笑みが増し、更に怒らせたようだった。

一応ディーン伝いでお礼は言ったのに……


面白い!続きが気になる!と思っていただけたらやる気につながるためブックマークや評価をお願いします‼<(_ _)>


既にしていただいた方、ありがとうございます‼

次回1時間後に投稿します!


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