Ⅵ カウントダウン
ラミアからのメールが来たのは出会ってから1年が経とうとしていたときだった。
この1年弱の間にカルトはクレイを鍛え上げ、立派なエファセ見習いへと成長させていた。
遠征に行かせた今は、カルトはガルブのバレンティアに留まり、クレイはガルブとは正反対の東に位置するシャルクへ行っていた。
(忘れかけてた。遅すぎだろ……)
ラミアからメールが来たのはそんな中であった。
(何? 『遅くなってごめんなさい~、貴方にメールを送れると思うとなかなか文面が決まらなくて……』 ここは無視だな。――お、ここら辺からか? 『さ、冗談はこれくらいにして、そろそろモストロたちが動き出す頃よ? おそらく、モストロには食用ではない人間を襲っていた頃の本能が眠っていると私は思うの。そしてそれが爆発するのは、遥か昔、1人の男がモストロたちを押さえつけたモストロにとっては屈辱の日。4月15日だと思われるわ。どうか気をつけて、今年の4月15日は満月、モストロは屈辱の日な上に満月で力も増幅するわ。こんなギリギリになって伝えることになってごめんなさい。なかなか決心がつかなかったの。モストロの弱点は胃よ。どこを壊しても、胃が残っている限りは動き続けるわ』 4月の15日? 今日は3月の31日。もうすぐか、一応このことはクレイに報告した方がいいな……)
カルトがクレイに連絡するのは半年前、クレイがバレンティアを旅立ってから初めてのことだった。
『ん、どうしたカルト!』
「ああ、元気かクレイ」
『まあまあだな! 一応町の人とは馴染んだぞ?』
「そうか」
『何のようだ?』
カルトはラミアのメールの内容をクレイに伝えた。
「ということだ。どうする?」
『どうするって?』
「帰ってくるか?」
『――いや、モストロってこっちにもいるかも知れねぇんだろ? なら、俺がこっちを守る! カルトはそっちを守ってくれ!』
(守ってくれ、って……)
「誰に向かって言ってんだよ。守るに決まってんだろ。お前こそ、死ぬなよ」
『ああ、お前もな』
「ああ、じゃあな」
そうして連絡を切った。そして4月の15日が刻一刻と近づいていった。




