Ⅴ 帰宅
(ふう、あとはロドンからのメールを待つだけか。あいつはきっとあのファイルに書いていない情報を持っているはずだ。それが、送られてきたらあたりなんだがな)
カルトはクレイを預けた国王の場所へと向かった。
(待てよ? 国王ってどこにいるんだ?)
「あ、すみません。国王様はどちらにいらっしゃいますか?」
カルトは廊下を歩いてきた兵士に尋ねる。
「国王様は自室におられますよ、あぁ、もしやエファセの方ですか? でしたら貴方のお仲間も一緒にいらっしゃいますよ」
「そうですか、ありがとうございました」
(自室ってさっきの部屋だよな? ま、行ったらわかるか)
カルトは来た道を戻り、最初に案内された部屋へノックをした。
『はい?』
「国王様、ヒネーテです」
『カルト!』
『あぁ、お疲れ様でした。どうぞ入ってください』
「失礼します」
部屋の中では国王とクレイがすっかりくつろいでいた。
「すみませんでした、国王様。失礼はなかったでしょうか?」
「ああ、なかなかに楽しいときだったよ! なかなかこんな機会はないからねぇ!」
国王は嬉々として笑みを浮かべた。
「そうですか、よかった」
「――詳細はわかりましたか?」
国王の言葉に場の空気が一気に変わった。
「そうですね、ロドンさんに後でメールしてもらうことになりました」
「ラミアと話が通じるとは……」
国王は目を丸くし、驚いていた。
「思っていたよりは普通の方でしたよ? こちらの国ではヘマトフィリアの方は珍しいのですか?」
「――さすがエファセですね。この国にはモストロがいますから、みんな怖がっているのです。モストロとて言い方を変えればアントロポファジー、ヘマトフィリアには変わりないですから……」
(そういうものか? 血を見て興奮するのと人の肉を喰って興奮するのは違うだろ)
伏目がちで言った国王にカルトはそう感じた。
「カルト?」
「あぁ、では国王様、私たちはそろそろ失礼致します」
「そうですか! わかった、ではまた」
こうしてカルトとクレイは居城を後にし、家へと帰ったのだった。
アントロポファジー=カニバリズム、食人のこと。
ヘマトフィリア=血液嗜好症のこと。




