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ⅩⅩⅤ 心当たり

 事情を聴いたカルトは、ルアンと街のカフェで話すことにした。


「それにしても、あそこまでする必要はなかったんじゃないか?」


 カルトがルアンに尋ねる。


「何のことです?」

「とぼけるなよ、リストの家でのことだ。“殲滅者本部を襲ったやつを追ってきた”ってことは、リストの家をめちゃくちゃにしたのはお前ってことだろ?」

「あ、あれは私の能力です!」

「――能力?」

「はい、私にも兄と同じ能力があります。簡単に言うと、“幻覚を見せる”って感じですかね? カルトさんが最初に見た殲滅者本部は私の力で作った偽物、そして指を鳴らした後の血に染まった状態が本物です」

「――リストの家は、どっちが本物だ?」

「あっちは少し複雑なんです。まずリストさんについては、確かに最初は暴れていたので柱に縛りましたが、今は違うところにいます。もちろんお家もあのような状態ではなく、おそらくカルトさんが思い描く状態かと」


 ルアンの話を黙って聞いていたカルトだったが、ここである疑問が浮かんだ。


「――なぜそこまで」

「私も大変でしたよー、カルトさん本気なんですもの。殺されるんじゃないかとヒヤヒヤしてました。でも、どれもこれも兄が言っていたことです」

「リュイが?」

「はい、“いつかカルトを絶望させたい”“リストさえいなくなれば、あいつに頼るやつはいなくなる。そうすればカルトは俺のところに”兄は口癖のように言っていました」


 ルアンの言葉に、カルトは昔のことを思い出していた。


(確かに、若干おかしなところはあったが、ここまでだったか……。人に固執しやすいやつだとは思っていたがな)


「そこで、私は兄からの手紙を受けて、カルトさんに召集をかけ、殲滅者本部に呼び出し、あんな大掛かりな仕掛けをして、今に至るわけです。――納得していただけましたか?」


 不安げな表情を浮かべるルアンに、カルトは微笑んだ。


「あぁ、というか、納得するしかないだろ。本当、全くわからなかったよ。声も顔も、よく似ているな。お前に会えてよかったよ」

「よく言われました。私も、カルトさんには会ってみたかったので、会えてよかったです」

「じゃあ、そろそろ行くか」


 カフェの前でカルトはルアンに声をかけた。


「――ルアン、お前行くあてはあるのか?」

「あ、はい! もう兄の代わりも終わったので私は普通の生活に戻ります」


 ルアンの表情はすっきりとしていた。


「そうか」

「はい! 改めまして、今回は手荒な真似をして本当に申し訳ございませんでした。しかし、兄も私も貴方のことは尊敬しています。――兄も、心のどこかでは誰かに止めて欲しかったんだと思います。そして、その誰かを兄はきっとカルトさんに求めた。……シュラムのこと、申し訳ありませんがよろしくお願いします。これ、私の電話番号です。シュラムを捕縛、または殺害した際や何かありましたらこちらに。もう1つ、リストさんのことですが彼は車の中にいます。もう意識も回復しているはずですので……」


 深く礼をし、「車は差し上げます、元はリストさんの車ですので」と付け加え、ルアンは去っていった。


(さて、と。問題はシュラムだが……)


 思考をめぐらせ始めたとき、先程飛ばした紙飛行機が返ってきた。


(返信が来るとは妙だな……)


 紙を開くとそこには何も書かれていなかった。


(なんだ? どういうことだ?)


 カルトが首を傾げると、ゆっくりと文字が浮かび上がってきた。


(時間差か、なんかあったのか……!)


「ク、レ、イ、が、い、な、く、な、っ、た」


 浮かび上がる文字を声に出したカルトは、目を見開いた。


(クレイがいなくなった……?)


「ハル、ルト、ナキの3人は無事……」


(ハル達を置いて、クレイがいなくなったってことか……? 何のために? いつから……?)



 先程のルアンの話とクレイの失踪、この2つにより、カルトの中の心当たりは確信に変わろうとしていた。

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