ⅩⅩ 再会
最上階は全て長官であるリストのフロアであり、エレベーターを降りてすぐには受付があった。
「お待ちしておりました。カルト・ヒネーテ様ですね?」
「はい」
「右側の廊下を進んでいただき、突き当たりにあります、会議室で長官がお待ちです」
受付で言われた通りに進むと、大きな扉が現れた。ドアノブに手をかけると、カギは開いていた。
「リスト」
「おお、カルト! ノックくらいしたらどうだ? 相変わらずムカつく面をしているな」
「余計なお世話だ。それより、本題を言え。俺はお前と違って暇じゃないんだ」
リストは顔を歪ませ言った。
「そう急ぐなよ。――また、そんなに悪戯されたいのか?」
「っ!」
カルトは反射的にリストから距離をとる。
「リスト?」
今までのリストとは明らかに違う“それ”を見てカルトは呟いた。
「お前、この6年の間に何があったんだ……?」
カルトがリストに会うのは6年ぶりだった。
元々、カルトとリストは生まれた病院・日にちが同じで家も隣同士だったため、仲がよかった。
しかし、カルトたちが5歳になった年。
カルトとリストの合同誕生日パーティーの最中、突然モストロたちが家に侵入したのだ。幸い、モストロたちの標的がカルトたちに向く前にエファセだった2人の父親が仕留めたため、カルトとリストの2人は無事だったが、2人の両親は亡くなった。その事件を機に2人は離れ離れになってしまったのだ。
「6年……か」
その人が思いきり狂ったように笑い出す。
「流石だなぁ、カルト。6年だぜ? 6年! 6年ぶりに会っても俺の変化には気付くのか」
こいつはリストではない、そう確信したカルトは、腰に差していた剣をリストに向け、あくまで静かな声音で言った。
「その顔、その声で。俺の名を呼ぶな」
「くっくっくっ……。酷いじゃないか! カルト、生まれたときからずーっと、俺とお前は仲良しだっただろう?」
「聞こえなかったか? “その顔、その声で。俺の名を呼ぶな”と言ったんだ。次はないぞ」
「ふっ、ふふふ……」
その人の笑い声が変わる。
「何がおかしい」
「わかっているなら、もう言ってしまえば良いのではないのですか?」
その人の口調も変わる。
「リストをどこにやった」
「さぁ? どこでしょうか?」
「言え、リュイ!」
「――やっと呼んでくれましたね。カルト・ヒネーテ」
その人もとい、リュイは顎に手を掛け言いながらつけていたリストの顔を模ったマスクをとった。現れたのはつい先日、カルトを撃ち、入院させた張本人であり、モストロを生みだした親でもあるリュイ・ナジュムだった。
「お前の目的は。リストをどこへやった。なぜ長官であるリストを襲った。 答えろ」
「全く……あなたは質問が多いですねぇ」
リュイはあいかわらず飄々とした立ち姿でカルトを見据える。
「約1か月ぶりの再会ですよ? 少しは喜んだらどうですか、カルトさん?」
「気安く呼ぶな。お前に撃たれたおかげで大変だったんだ。それに俺にはそんなことしている暇は」
「“早く帰らないとクレイたちが心配だ”とでも言うつもりですか?」
リュイの声音が1トーン下がる。
「大丈夫ですよぉ、私の狙いは最初からあなた1人です。あなたの仲間には手出ししませんよ。もちろん、あなたが余計なことをしなければ、の話ですが……」
「余計なことって何だよ。はっきり言えば良いだろ、“抵抗したら仲間を殺す”って」
「嫌だなぁ、そんなこと一言も言ってないじゃないですかぁ。“抵抗したら”なんてぬるいこと、この私が言うとでもお思いですか?」
リュイは不敵な笑みを浮かべ、首を傾げた。




