ⅩⅧ 目覚め
(ん……。ここは?)
目を覚ましたカルトが最初に見たのは真っ白い天井だった。
(――家、いや診療所か? ――っ!)
カルトが身体を起こそうとすると腹に痛みが走った。
「カルト……? 目覚めたのか!?」
声の主はクレイだった。
「ああ、まだ起きれはしないがな。しかし、ここは一体?」
「ここは病院だぜ、カルト撃たれてからずっと眠ってたんだ」
「そうか……」
クレイが言うには、あの男に撃たれてから9日間カルトは生死の境目を彷徨い、10日目高熱を出しそこからまたさらに3日間生死の境を彷徨った、とのことだった。
「大変だったんだぜ? でも、何だってあいつ、お前しか撃たなかったんだろうな?」
(――それは、)
とっさに零れそうになった言葉を止め、カルトは続けた。
「さあな。きっと俺に用があったんだろ。まあ色々殺してきたしな。恨まれてはいるだろうし……」
「そうか、まあ無事でよかったぜ! みんな心配して夜も寝れない感じで。俺だって家事とか、何したら良いかわかんねぇし」
「迷惑をかけたな……。それで、俺はあとどれくらい帰れないんだ?」
「ああ、ちょっと医者呼んでくる!」
クレイは勢いよく戸を開け放ち、病室を飛び出していった。
(俺が倒れてから約2週間、ってことは、あいつは動き出してるころだろうなぁ。さて、これからどうするか……)
カルトがベッドに体を預けていると、心地よい音を立て戸が開いた。
「はじめまして、ヒネーテさん。私が担当医のサラームです。具合はいかがですか?」
「しばらく寝ていたようで、体が重いですね。あと腹が痛いです」
「そうですか、退院の日時ですが、ざっと一か月、と考えていましたのであと2週間ほどはいてもらいます。」
(2週間……長いな)
「もちろん、経過によっては前後しますがね?」
苦い顔をするカルトの様子を見たサラームが続けた。
「わかりました。ではとりあえず、あと2週間、お世話になります」
「では、私はこれで。なにかあったら呼んでください」
サラームが出て行った病室で「2週間かぁ~」とクレイがつぶやいた。
「なんだよ、俺がいなくても何とかなるだろ? じゃなきゃ今までの2週間どうしてたんだよ」
「そうだけど、やっぱりカルトがいるのといないのとじゃ違うんだよ!」
「そうかよ。ま、俺もやりたいことあるから早く帰れるように頑張るよ。さ、もう日暮れだぞ。俺はいいから帰れよ。」
「そうだな! あいつらにもカルトが目覚めたって教えてやらねぇと!」
「早く帰れるようにする、とも伝えてくれ」
「おう! じゃあなカルト!また来る!」
クレイは勢いよく戸を開け飛び出していった。
その背中にカルトは「静かに出てけよ……」と微笑んでいた。




