ⅩⅣ 困惑
扉の中は山の下とは思えない空間だった。
舗装はしてないがちゃんと歩ける道、小さいが家のようなものまであった。
「ここのどこかにルトが……」
「――行くぞ」
カルトたちがいくら歩いてもモストロに会うことはなかった。
「誰もいないな、1人くらいはすれ違うかと思ったんだが」
「好都合だろ、――おそらくルトはこの先にいる」
クレイの言葉の通り、道の先にはいかにもラスボスがいそうな場所があった。
「……たしかにいそうだな」
「ああ」
「行くぞ、ルトを助ける……!」
ギイィィィという気味の悪い音とともに開いた扉の奥。
ボワーと灯っている炎の下、手足を縛られたルトの姿があった。
「ルト!」
「ん……? ――え。 クレイさん!?」
「大丈夫かルト」
「カルトさんも!?」
「今助ける……!」
「ハルまで!? なんで? 紙、置いてきたはず……」
クレイはポケットからそれを取り出した。
「これのことか?」
「読んだよ、みんな。そのうえで助けにきたんだ」
「ルt……」
カルトがルトを呼ぼうとした。
しかし、軽快な明るい声がカルトの声を遮った。
「はぁい! そこまでぇ!!」
カルトたちは一瞬驚いたが、すぐに臨戦態勢に入った。
「――誰だ」
カルトの警戒した態度など気にせず、その男は続けた。
「それにしても、本当に来るとはなぁ。君たちには“けいかいしん”ってものがないの? なぁルト、そう思わないか?」
「どういうことだ? ルト、お前は……」
クレイが話しかけたそのとき、
「ふふ……あはははははは!」
ルトが狂ったように笑い出した。
「あー、ホント面白いわ。どんだけ馬鹿なのあんたら」
カルトもクレイもハルも、ルトの変貌振りに驚いていた。
「……ルト」
クレイが1歩足を踏み出そうとした。
「はぁい、ストップー!」
男が話し出した。
「君たち本当に頭悪いの? この状況を見ても動こうとするなんて。――いい? よく聞いてね? 君たちが妙な行動を起こせば……各町に点在させたモストロを“暴走”させる」
「な!」
モストロの暴走……それは昔、1つの国をも滅ぼし、多くの被害も出した大事件の引き金にもなった。
その事件では1人のモストロが各地を回り、その土地その土地の人々を殺し、喰いあさったという。
しかし、今回と状況は似ているが、数が違いすぎる。各町に点在、ということは軽く100人近くはいるだろう。1人と100人では桁が違う。
到底カルトたち3人で対処できる人数ではなかった。




