ⅩⅤ 到着
数日後、カルトたちは無事シャルクへと入り、サラハへと着いていた。
「モストロ、いなかったです」
「そうだな……」
そう言いながらもカルトは考えることに精一杯だった。
おそらくルトが裏切っていることに間違いはない。
しかし、何度考えても理由が分からなかった。
なぜ今なのか……。
なぜ俺ではなくクレイに執着しているのか……。
その考えでカルトの頭は一杯になっていた。
「カルトさん」
「……ん? どうしたハル?」
自分の声の弱々しさに驚いた。
「大丈夫です、クレイさんは強いです! きっと無事です」
「あ、ああ」
何かを勘違いしているような気もしたが、これも口数の少ないハルなりの励ましなのだろう、とカルトは素直に受け取ることにした。
「そうだな、ここでクレイたちを待つか」
―数時間後―
「おー! カルト!」
「ああ、クレイ。どうだった?」
「全然大丈夫だぞ!」
そう言いながらクレイは右手でピースをした。
(右手……ピースか)
実は前に「ルトが怪しい」と連絡をしたときにある合図を決めていたのだ。
左右の手とその手の形で通じる2人だけの合図を。
右手はルトは怪しい、ピースサインはまた襲おうとしている、という意味の合図になる。
「そうか、今日はクレイの家に泊まろうかと思っていたんだが大丈夫か?」
「おう! しっかり守っといたから大丈夫だぜ!」
クレイの言う通り、家は壊されることなく綺麗に残っていた。
「あぁ~懐かしいですねぇ」
「なんだよルト! 爺くせぇな」
「えぇ!? 何でですか? 分かりません? この感じ!」
「……まったく分からない」
「えぇ!? ハルまで……」
ルトが落ち込んだところでカルトが話し出した。
「では! 俺とクレイはお互いの情報を交換してくるから、ハルとルトは夕飯の用意を頼む。用事があったらノックしてくれ」
「はい!」
***
「それで? ルトがおかしいと思ったのはいつからだ?」
「ああ、クオーレに向かう道の途中、夜も遅かったから警戒して進んでたんだ。で、いきなりガサガサって音がして『僕、ちょっと見てきます! クレイさんはここにいてください!』って言ってルトが走り出したんだ。その走り出した方向の林の中にモストロたちの姿があった」
「そうか、で? どうせ力使ったんだろ?」
カルトの言う力とは、クレイの持つ無制限聴覚という力のことで、使うとどんなに遠くの音でも聞こえるのだ。
「もちろん! そいつらが言うには“用意”が終わり次第、クオーレからバレンティア側とサラハ側に侵攻するらしい」
「“用意”?」
「ああ、そこまでは分からなかった」
「そうか、とりあえず明日はクオーレ経由でバレンティアに戻るぞ」
「おう!」
このときは考えもしなかった。
明日、あんなことになるなんて……。




