ⅩⅡ 出立の日
「そろそろか……」
2日後の朝、目が覚めたカルトは真っ先にクレイを起こしにいった。
「おいクレイ、そろそろ起き……」
起きろ、と声をかけようとしたカルトはそのまま止まってしまった。いつもは声をかけなければ起きないはずのクレイが、この日ばかりは早く起き、歯を磨いているのだから。
「――お? 早いなカルト。そろそろ行くか?」
「あ、あぁ。そろそろ起きたほうが良い。が、早いな。お前」
「そうかぁ? いつもと変わらないだろ?」
「いや、今回は早いだろ。いつもはもっとギリギリに起きるくせに」
「まぁそれはいいだろ、それよりあいつらは起きたのか?」
「まだだ。これから起こしに行く所だ」
「そか。じゃあ俺、飯作っとくわ」
「あぁ、頼む」
朝食をクレイに任せたカルトはルトとハルを起こしに向かった。
「ルト、ハル。 起きてるか?」
扉越しに声をかけると明るいルトの声が聞こえてきた。
『あ、はい! 今開けますね!』
開いた扉の向こうには笑顔を浮かべるルトがいた。
「おはようございます、カルトさん!」
「おはよう、ルト」
「おはようございます!」
「ハルは?」
「あー、ハルはまだです」
「そうか、ルトは先に下に行ってろ。クレイが朝飯作ってるはずだ」
「はい!」
カルトの言葉にルトがトテトテと下へ降りて行った。
「ハル。ハル、起きろ。そろそろ用意しろ」
「ん……」
「起きたか?」
「ん。――おはようございます。カルトさん」
「あぁ、おはよう。着替えたら下に降りて来い。朝飯食ったら発つぞ」
“コクン”と頷くハルを見たカルトは1階に下りてきた。
そして朝食が出来たころ、ペタペタとハルが下りてきた。
「お! 来たかハル! じゃ、食うぞ」
カルトと会う前、当たり前のように人肉を食べていたクレイたちだが、今はもう普通の食事をしている。
これもカルトの持つ、“アジャストメント”という薬の効果なのだ。
アジャストメントは簡単にいうと調整薬のようなもので、モストロに投薬するとそれまでの食生活などが変わり、普通の人間と同じ生活に戻るという効果がある。
「じゃ、飯も食ったし! そろそろ出発か?」
「そうだな。お前達はまずどこへ向かうんだ?」
「“逃がした数人はクオーレの方角へ向かった”ってルトが言ってたからな。俺達はまずクオーレへ向かうぜ!」
「そうか。逐次連絡してくれ。俺達はバレンティアから北へ、まずはロセウスへ向かう。サラハで落ち合おう」
「了解!」
「それじゃあ出発するぞ。くれぐれも気をつけて。……死ぬなよ、クレイ、ルト。」
「お前もな、カルト、ハル。」
そうして2組のエファセ達は互いに背を向け、歩き出した。




