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8.堂仁山治安正常化対策本部会議
午前11時30分。警察署三階、会議室。
壁面の大型モニターには堂仁山一帯の地図が映し出されている。
本部長は席に深く腰掛けたまま言った。
「始めろ」
捜査課長が立ち上がる。
「堂仁山治安正常化対策本部会議を開始いたします」
モニターが切り替わる。
「不法居住者集団一斉検挙作戦、プランAについて説明いたします」
第一段階。
第二段階。
第三段階。
手順は明確だった。
担当も明確だった。
責任の所在も明確だった。
説明は二十分で終わった。
「以上です」
会議室が静まり返る。
本部長は資料を閉じた。
「意見は」
誰も手を挙げない。
沈黙が続く。
やがて刑事部長が口を開いた。
「完璧な作戦です」
その言葉を合図にしたように、他の幹部たちも頷く。
「序盤、中盤、終盤、隙がありません」
「包囲網も十分です」
「対象に逃走の余地はないでしょう」
「本部長のご指導の賜物です」
本部長は表情を変えない。
しかし満足していることは全員が知っていた。
だから誰も異論を述べない。
誰も懸念を口にしない。
「ではプランAを採用する」
プランBに触れる事なく、本部長の一言で会議は終了した。




