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本気のバントに敵はない!  作者: 小走煌
3 高める日々
34/51

練習後

 一通りボールを拾い終えると、またバントを始めた。

 飛鳥が投げ、環がバントする。その一連の流れをひたすら繰り返し、気づいた頃には日が暮れていた。

「ダメだ、もう腕が上がらん!」

 飛鳥がそう叫んでマウンドを降りるが、右腕をグルグル回す様は言葉とは裏腹にまだまだ元気がありそうだ。

「もう、ボールも見えなくなっちゃったね……」

 奏が呟くように言ってマスクを取り、立ち上がった。穏やかな口調だがどこか疲労の色が滲んでいるように感じるのは、飛鳥と対照的だ。

「うん。片付けてもう終わろう」

 環はそう言って、本日最後のボール拾いを始めた。気付けばノックに精を出していたもう片方のチームも、練習を終えて片付けを始めている。

「投げ過ぎて疲れちゃったけど、感触はよかったな。ストレートもフォークもレベルアップ出来そう!」

「新球も試していかないとね」

 感想を語り合う二人の表情には充実感が溢れていた。確かに、後半になるにつれて飛鳥のボールは威力を増していた。受けていた奏もそれは感じただろう。このまま続けていけば、いい練習になるのかも知れない。

 ただ、あまり投げ過ぎるのは肩の消耗的にどうなのか。環はボールを拾いながら、思ったことをそのまま口にした。

「肩肘壊したりしない? 大丈夫?」

 環の横でボールを拾っていた飛鳥は、かすかに感じる不安をぶつける環に対してカラカラ笑って見せた。

「ウチはそんなにヤワじゃないよ。さすがに毎日は投げられないけど、ちゃんと休養日を設ければ大丈夫。その日は三人でノックでも受ければいいんじゃない?」

「そう。タフなんだね」

 環は内心で安堵してボール拾いを続けた。飛鳥の言葉の端々からは単なる強がりではない、確固たる自信が感じられる。それにケアにもしっかりと目を向けている。これなら特に心配はいらないだろう。

「どう、成果はあった?」

 不意に声を掛けられる。見るとえりかがノックの後片付けを他のメンバーに任せ、球拾いの助っ人にやって来ていた。

「まあ、上々なんじゃないの」

「そう、それはよかった。それなら環、アンタ練習後ちょっと付き合いなさい」

 えりかは報告を聞くや否や環に謎の誘いを掛ける。

「ん、別にいいけど。一体なにするの」

「細かいことは部室で」

 環の問いに短く答えてえりかは手際よくボールを拾う。協力者のおかげであっという間に全てのボールが片付いた。

 それから練習後のミーティングを手早く済ませ、部室に引き揚げる。皆が着替えて部室を出た後、環は残ったえりかに改めて聞いた。

「で、どうするの。これから」

 えりかはまた短く言った。

「打線を決め直すわ」

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