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斯くして、新たに設けられた4ヶ国に接する地域は、順風満帆…とは言い難かったが、それでも着実に交易の正常化に寄与した。
後に、帝国とヨーゴンの領土を削って設けられた場所ゆえに、どれほど賑わおうと町そのものは大きくならない事だけは残念がられたが、あくまで関所と言う場所柄、必要以上に大きくする必要もない。
そんな成り立ちがあるので、最初期に置かれた店以外が入り込む事も制限されていた。そう言う意味では競合他社がない状態で、あまり健全ではないが、ある程度纏めて置かれた店は、どれもしっかりと管理されている。
その一つに、何処かで見たような姿があった。
「ガ……ぁ、カリモーン様…さん、今日のメニューの事で相談が」
「いい加減に慣れろよ」
「……はい」
以前、彼の右腕だったらしい副団長が、手には長剣の代わりに木べらを持って、眉尻を下げている。
偽名になかなか慣れないようで、こうして間違えては、カリモーンこと、元ガモール王子から苦笑を向けられる毎日だ。尤も…慣れないのは副団長だけではなく、ガモール自身も、それ以外についてきた部下達も同じくなのだが、慣れるしかない。
そこへ近づいてくる白衣の集団があった。
「カリモーンさん、今日はよろしくお願いします。
とは言え、ちょっと早かったですかね」
声を掛けられて、カリモーンは顔を上げた。
「よぉ。
あ~どうかな、多分大丈夫だろ」
カリモーンは、元副団長で現在は料理長をこなす大男に視線を流した。彼は視線に気付くと頷く。
「今日の会合は帝国の方も来ると聞いて、スープの味付けに少し難儀してるだけで、それ以外は準備済みです」
「おいおい、その帝国人を前にして不手際を認める様な真似は止めろ。
後々、話のネタにされちまうだろうが」
白衣集団も肩の力が抜けたように笑う。
「いやいやなんの。
そっちの味付けもなかなかいい。酒と辛味で誤魔化さない味付けは、とても美味しく感じるのでね」
そう話す白衣の男性が続ける。
「それはそうと、今日はどなたが派遣されてくるのですか?」
「オバルだと聞いてるぜ」
「そうですか。
オバル殿なら安心だ。我等が主に、新たな研究結果を一刻も早く報告して貰いたいんでね」
「なんだ、また新発見か?」
「えぇ」
ほくほくと笑む白衣の男性は、帝国が誇る研究所の元所長だった男だ。ニッペルの信奉者でもある。つまりは、彼も『まっど』で『えきさいてぃんぐ』な、『さいえんす』を『えんじょい』する者…と言う事を示唆しているとも言えた。
帝国との密談時に、ルナリスは研究所職員についても言及していた。
あの時ルナリスは、ニッペルを中心とした新たな研究所を、ブルームロード王国に設立する計画を、こっそりと持っていたの。帝国としても自国の頭脳である彼等を手放したくなかっただろうが、国としての面子と天秤に掛けた結果、研究所職員の移籍を受け入れた。
その多くはブルームロード王国の研究所へ移ったが、一部は関所の町となったここに残留し、診療所を営みながら密輸品などの検品を担っている。重箱の隅まで突くような検品をされるので、密輸など違法取引はかなり減ったが、それでもゼロにはなっていない。
そうして押収した品々を、裏ではしっかりと研究材料として活用しているのが、彼等白衣集団だ。




