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「貴方が…いえ、貴方達が喉から手が出るほど欲しいものだと思いますよ?」
ルナリスは、その容姿に似つかわしくない黒い笑みを貼り付ける。
そしてヨーゴン王国、イヤノグ帝国の両国と秘密裏に交わした話に移った。
「……そ、れは…」
「えぇ、ミッケンを苦しめていた一番の原因ですわね。
けれど、私の差し出す条件諸々を受け入れてくださらないのであれば、このお話はここまで…」
ルナリスはガモールの様子を、チラと流し見る。
色々と必死に考えているのだろう。
しかし、どう転んでも逃げ場なんてない。
ルナリスが両国と『交渉』と言う名の『脅迫』をして得た結果は、彼等が現在手にする事が叶っていない結果だ。
ヨーゴン王国、もしくはイヤノグ帝国から科せられる、あまりに重い通行税負担を軽減できる夢のような話。それを手にしようと、フール王女誘拐からのヨーゴンと帝国の不和を招こうと画策した…どうしようもなく稚拙な計画で、今回は無関係だったブルームロード王国王族に、一番の被害を出してしまった。
自分が招いた事…そして拒否するなんてありえないと気付いたガモールは、鉄格子の向こうでガクリと項垂れる。
「……わかった…」
だが、ルナリスが並べる条件に、ガモールの顔色はどんどん悪くなっていく。
「待……待ってくれ…」
ガモールは頭を抱えている。
「俺が死ねばいいだけなんじゃないのか?
なのに…なんでそうなる?
いや、そもそも、お前の言う通りなんだ…俺が死ぬのは当然だ…。
苦しんで喘ぐ民…国の為に、馬鹿な計画を実行した。そして結果ブルームロード王国に迷惑を掛けた。処刑されても文句が言える立場じゃない。でも、奴らは関係ないだろ?」
「侵入者は貴方だけじゃありません。
部下の方々も同じくです。なのに彼等が許されるだなんて、どうして思っていらっしゃいました?
その方があり得ませんわね」
ガモールがグッと声を詰める。だが、頭をフルッと一振りすると、鉄格子を握って張り付いた。
「頼む、俺だけにしてくれ。
奴らは国に家族がある…帰してやらないと……」
「ミッケン人は図々しいのですね…頼み事が出来る立場じゃないと理解出来ませんか?」
淡々と言い放つルナリスに、ガモールはギュッと目を瞑った。
「良い部下達じゃないですか、口を割るまいと、自死を躊躇いなく選ぶ方々らしいですし、ここは一蓮托生と言う事で、ね?」
ガモールは口を閉ざして項垂れる。
「全員、死んで頂きますわ。
物理的に……
……ではなく、社会的に。
そうして4国の間に新たに設ける予定地で、私の手足となって頂きます。
最初に言ったように、拒否権はありません。
まぁ…なくはないですが、その場合、物理的に死んで頂きます。
我が国の王太子を…セリオール様を傷つけた罪は、あなた方の命程度で贖えるだなんて思わないで下さい。
拒否をした場合、貴方達のミッケン王国は地図上から消えて頂きます…なんとしても」
ガモールは弾かれたように顔を上げた。
その顔は絶望に染まっている。
「そ、んな…そこまで…。
お前だって王族になるんだろ!?
だったら民を巻き込むなんて、どうやったらそんな考えが出来るんだ!!??」
「ソアラから聞いてないのですか?
私の事…」
ガモールの反応を見るでもなく、ルナリスは続けた。




