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【完結済】私さえ消えれば、全て丸く収まるのでしょう  作者: 紫


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 何やら自省する王妃だったが、彼女がずっと頑張っていた事を、ルナリスだけじゃなく皆が知っている。それなのに…と思いつつ見送ったが、ルナリスは次の行動に移らなければならない。




 ガモールが収監されている一般牢へ向かう。

 先だっては覗き見ただけだが、今日は鉄格子越しとはいえ、直接対面だ。


「ごきげんよう」


 ルナリスが平坦な声を掛ける。

 気付いたガモールが顔を上げると同時に、一瞬目を見開いて直ぐに俯いた。

 そしてフッと息を吐く。その吐息には自嘲が見え隠れしていた。


「なんだ?

 嗤いにきたか? ま、そうだよなぁ…存分に嗤ってくれて良いぜ。けど、話す事はなぁんにもないんだなぁ、これが。

 誘拐に失敗した犯罪者…それだけでいいだろ?

 なもんで、満足するまで嗤ったら……消えろ」


 ルナリスは無言で睥睨する。

 あくまで背後の国を隠し、単なる誘拐失敗に話を落ち着かせたいらしい。しかし、そうは問屋が卸してなるものか。

 自分より年下の…しかも痩せ細った少女からの圧に、ガモールは視線を泳がせた。


「消えろよ……なぁ、話す事はないんだ…。

 消えろって!!」


 まぁ、自分達が誘拐した被害者が、目の前に立っているのだ。

 一片も感情を揺らさない大物なら狼狽えたりしないのだろうが…根は悪党になり切れないと言った所だろう。


「情けないですね。

 国の為に悪事に手を染めたにしては、落ち着きがなさすぎるのではありません?」

「ッ!?

 な、なにか思い違いをしてるんじゃないか…?

 俺は国なんて知らない…ミッケンなんて知らない…」


 『問うに落ちず、語るに落ちる』とはこの事だろう。

 精々焦って貰うが吉…とばかりに、その場は反応せず淡々とルナリスは続ける。


「あぁ、とぼけたいならそれでも構いません。

 貴方達に罪状認否を求めている訳ではないので。だって明白ですから」


 残念な事に、ルナリスはガモールもミッケン人も、囚われの間に見掛けていない。その為少々回り道を余儀なくされた。


「とっとと罰を与えれば良いだろう!」

「えぇ、当然死んで頂きます」


 まるで世間話のように、あっさり『死んで』…と言い放ったルナリスに、ガモールは声を詰まらせた。

 目は笑っていないのに、口角だけを微かに上げた歪な笑みを浮かべるルナリスに、ガモールは怯えを隠せない。


「死…本気…か…?」

「まさか許されると思っていた…なんて寝言はおっしゃいませんよね?


 王族が他国に無断侵入。その上王子妃へ接触。

 それが失敗すれば、今度は我が国の公爵家と結託するなんて…なんて命知らずなんでしょう。

 しかも準王族誘拐に、王太子襲撃なんて…ね

 よくもまぁ、そんな浅知恵でやらかせましたわね?」


 ガモールが目を見開いて固まった。

 色々と、彼の脳内設定が吹っ飛んだらしい


「王太子…襲撃…?」


 引っ掛かりどころは他にもあると思うのだが、彼が一番気になったのはそこだったようだ。

 まぁ、事故とも言えるのだが、そこはそれ…大袈裟に言うのはこういう場面でのお約束だろう。更に不意打ち他諸々は、揺さぶり追い詰める為の常套手段だ。


 セリオールの負傷そのものはソアラのやらかしだし、あの場に居なかったガモールが知らなくても無理はない。取調官にも、その辺りは言わないように釘を刺しておいたのだから。


「えぇ、ですので死んで頂くのは当然なんですが……」


 ルナリスは微かに上がっていた口角を、更にニッと引き上げる。


「取引をしましょう。

 あぁ、誤解のないように言っておきますが、貴方に拒否権はありません。

 証拠は山のようにありますので。

 何より……」





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