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【完結済】私さえ消えれば、全て丸く収まるのでしょう  作者: 紫


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 王妃への報告は、当然のようにすんなりと終わる。

 ルナリスからの提案についても、暫し考え込みはしたが、最終的には無言を貫いた――つまりは肯定した…と言う事だ。


 提案の内容は……平たくざっくりと言えば、王と次代王兄となるトーマス夫妻の蟄居…幽閉と言い換えても良い。

 兎に角、王都から引き離し、権力と政から遠ざける事。


 あの現王とトーマス夫妻がいると、セリオールの治世になった時に、激しく面倒になる…と言うのがルナリスの言い分である。

 トーマスは深く考える事をせずに、思ったまま感じたまま行動する。常に自分中心で、周囲への影響他を考える事はない。


 だからこそ、最初にソアラを婚約者に選ぶ…等と言う暴挙に及べたのだ。

 その後もソアラからあっさりフールへ乗り換えて、ただでさえ下がっていた王家の求心力は、更に下がる事になった。

 それも仕方ないだろう…確かにソアラとメゾット公爵家は問題ばかりだったが、だからといって政略結婚という契約を軽んじて良い訳ではない。

 何しろあの時点では、ソアラもメゾット公爵家も、対外的には大きな犯罪は犯していない。


 ルナリスへの虐待などは確かに問題だが、悲しい事に…実を言えば、珍しい事ではない。

 庶子、托卵、嫁姑…それらに付随する虐待…貴族家だからこそ、抱える闇は多岐にわたる。そしてそれを取り締まる明確な法も機関もない。

 あまり宜しくない噂を聞いたところで、精々社交場でそっと避ける程度が関の山なのだ。


 ……それは、どの貴族家も他人事ではないからだ。


 自分達の家にも同様も闇があったりする以上、他家の闇を責めたりできない。


 いずれそれらの問題にも取り組みたい気持ちはあるが、その為にも、先ず足元を固める方を優先すべきだろう。


 現王は悪い人ではない。

 トーマス愛が強すぎるだけとも言えるが、それ即ち、トーマスが何か口出しや行動をした時には、現王まで1セットで出てくる…と言う事に他ならない。


 面倒である。

 これまでの事から、トーマスの行動言動が間違っていても、王がしゃしゃり出てきてゴリ押ししようとするのは間違いない。最悪の場合、トーマスが溺愛しているからと、ヨーゴン王国に隙を見せてしまう可能性だってあるのだ。

 なのでルナリスは提案した。


 ついでに名についても、王妃にそっと耳打ちしておく。


 ブルームロード王国は、これまで王家の血筋が変わった事がある。

 いつからかは、記録が残っていないのではっきりとはわからないが、名と、姓にあたる国名の間に、血筋を示す名を残すようになった。


 トーマスやセリオールは、名の後にダマッテ…と続く。

 これは元がダマッテ家の血を受け継いでいると示しているのだ。

 ちなみに、隣国であるイヤノグ帝国にも同じような習慣がある。もしかすると発祥は帝国かもしれないが、今は全く関係のない話だ。


「王妃陛…ぁ、お義母様…宜しければ血脈を変えませんか?

 ダマッテ家…ではなく、お義母様の生家、シザラント家に。


 どうせ、ダマッテ家の血筋で今も続いている者達は、ほぼ没落してるじゃないですか。

 けれど自分達の立場を守ろうと、王陛下とトーマス殿下御夫妻を王都から出そうとしても、あれこれ口を挟んでくると思うんです。王家を支える力も何も、ありませんのにね…。

 けれど、血の名を変える宣言をすれば、それらを穏便に黙らせる事ができますでしょう?」





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