↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】私さえ消えれば、全て丸く収まるのでしょう  作者: 紫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/64

55


 多少の交渉はあったが、概(おおむ)ねルナリスの希望は受け入れられた。

 帝国と言う、数多の小国を併呑してきた支配体制をとる国だからこそ、ルナリスの脅しは効いた。

 ミッケン王国と言う貧しい国から搾取できる利益より、足元が揺らぐ事の方が困るのだろう。下手をすれば内乱に発展する可能性だってゼロではないのだ。


 なにはともあれ、帝国とも話は付いた。副産物的に、学術的な事等でも成果はあったが、一番助かったのは、思った以上に帝国が渋らなかった事だ。どちらかと言えば、ヨーゴン王国の方が面倒だったくらいである。

 なんにせよ、これでやっと戻る事が出来そうだ。




「これでガモール王子とも話が出来るわね」


 ルナリスの呟きに、マリルーは肩を竦めた。


「ガモール王子と話…ですか?

 いえ、ルナリス様の提案は、国同士としてアリかと聞かれたら、アリだと思いました、えぇ。

 現在ヨーゴンと帝国が接している地域を、緩衝地として明け渡させて、ミッケン王国も含めた中継地として活用する。

 まぁ、その方が経済は動きやすくなるでしょうけど…」


 ある意味、イヤノグ帝国とヨーゴン王国に、一部とは言え国土の主権を手放させたのだ。


 とんでもない提案だと言えるだろう。しかし、今回経済的に力のあるブルームロード王国に迷惑を掛けた事は、両国にとって決して小さくない問題だった。まして、それを準王族…まだ婚約者でしかなく、王族とは言えないルナリスに知られて、交渉材料にされた事は、何より堪えたらしい。

 情報が洩れまくっていると言う事に他ならないからだ。


「だからって、別に中継地の何もかもを手放せなんて言ってないわよ? ちゃんと利益を得られる提案もしたんだもの

 でも、あんな不平等取引を続けていれば、遠くなくミッケン王国は衰退してしまうわ。ほんの少し調べただけで、今でさえミッケン国民は悲鳴を上げてるのがわかるのよ?

 何より、ミッケンを地図から消したところで、得られるモノなんてないわ。

 物の売り付け先、買い付け先がなくなると言う事だし、難民が大量流入してくるかもしれないのよ?

 そして禍根は残る。

 セリオール様の治世になった時に、そう言うのは困るのよ」


 マリルーも頷く。

 もし、ルナリスの言った未来が現実になれば、ブルームロード王国だって無関係でいられる筈がない。


「ですが、これらの結果がガモール王子と何の関係が?」


 マリルーが疑問に思うのも無理はない。

 ガモール王子と話が出来たらなんだと言うのだ?

 話が出来ても、彼が我が国に持ち込んだ諸々が、消えてなくなる訳ではない。

 ブルームロード王国次期国王であるセリオールを、負傷させた罪はきっちり償ってほしい。

 第一、ルナリス自身が一番の被害者だろうに…。


 マリルーはそのままルナリスへ問う。

 するとルナリスは、ここ最近隠しもしなくなった少々悪い笑みを浮かべる。


「当然償って貰うわ。

 彼には死んでもらうもの」


 マリルーの表情は、更に疑問で歪んだ。

 何を言っているのかわからない…日本語でOK…ではなく、我が国の言葉でお願いしたいと切に思った。

 他国王族であっても、罪は罪として裁く…と言うのは大変気持ちが良い。しかしそれなら尚更、話をする必要なんかないではないか…と、マリルーはムムッと唸った。


「まぁ、直ぐにわかるわ。

 どうせ彼と話さないといけないんだもの」




 結局ルナリスは、マリルーの疑問に直接的な事は話さないまま、セリオールの元へと戻って行った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。