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第2王女がどこまでこの件に関与していたか知らないが、少なくとも次期ヨーゴン王は、第2王女か第3王女テューメが継ぐ事になるだろう。ヨーゴンはこれまでも何度も女王が立っているから、全くおかしな話ではない。
ならばテューメが継ぐ…継がずとも補佐として王家に籍を残すなら、この情報は非常に有効的活用する事が可能だ。
ま…ヨーゴン側にとっては悲劇かもしれないが……。
おいおいと、未だに泣きじゃくるフールを後目に、ルナリスは弓なりに口角を持ち上げた。
それを見たマリルーも内心で『流石は我が主と見込んだ方だ。抜け目がない所も非常に好みです』と呟いた。
さて、ヨーゴンの方はこれで追い込む事が出来るだろう。
次はイヤノグ帝国だ。
こちらもニッペルに同時進行で情報を集めて貰っている。
そして掴んだ情報は、朝顔の密輸に関する情報だった。
ニッペルが言っていたように帝国で製造されたのなら、朝顔の持ち込みは密かに行われたとみるのが自然だ。対外的に輸出禁止品となっているのだから。
にも拘らず、彼の老人が持ち出せたのは、発見当初の調査研究に携われた事で、こっそり懐に忍ばせる機会があった…という以外にも、輸出禁止品に指定される前で監視が緩かったのもあったかもしれない。
新種朝顔発見当時は、未だ帝国の研究所に在籍していた時期で、もしかすると他の研究員が持ち帰った残りを使った可能性もなくはないが、何にせよ大っぴらに出来ない素材だ。
そこを突けば、今後優位に立つのも夢ではない。
王…ではなく、王妃へ報告に向かう。
ただ、一部情報は伏せたままにして、ルナリスが窓口になる事を了承して貰うのだ。
何しろ扱いに気を付けないといけない情報だ。知っている者は少ないほど良い。
ルナリスはこれらの情報を有効活用する気ではあるが、戦争を引き起こしたい訳ではない。
毒物の流通を止め、今回の件に関与した者達を処断するのが目的だ。
そしてセリオール復帰時に、問題がない様に整えておければ尚良しだろう。
ブルームロード王国は現在でも、外海に面する大きな港を保有している事で、国家間の立場は強い方だと思われる。
しかし帝国については、その限りではない。あの国は自国領内に港を持っているのだ。ただ、ブルームロード王国程大きな港湾施設ではなく、また海流の影響で大型船の出入りが難しいと言う、どうにもならない事情がある事で一歩引いているに過ぎない。
ならば、これを機にもう少しだけ帝国へ食い込んでおくのは、我が王国にとっても、決して悪い話ではない。
セリオールはまだ意識も曖昧で、ベッドの住人を脱却できていないが、ルナリスは傍についていたくなる感情に蓋をして、ヨーゴン王国と帝国、2国に働きかけた。
ヨーゴン側の陥落は早かった。
テューメ自身、罪悪感を抱えていた事も大きいだろう。王夫妻は詳しく知らなかったようだが、愛娘が自分から望んでトーマスの妻となった事を知り、更に平身低頭になったおかげで、すんなりと話が通った。
「これが条件ですか…」
ヨーゴン王国外交窓口となっている侯爵が、ビクビクしながら上目遣いにルナリスの顔色を窺う。
「まさか戦争をお望みですか?」
「い、いいえ!!」
「それは結構。
ですが、吸い上げ続けていた甘い汁は、これまで…と諦めて貰います」
「………」
ルナリスは視線も向けずに、書類をテーブルに戻した。




