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私さえ消えれば、全て丸く収まるのでしょう  作者: 紫


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 非常に残念な事ではあるが、それは直ぐに証明された。


 結果的に顔合わせが失敗に終わった第3王女は、それから少しして、自国ヨーゴンに戻って行った。

 本人があまり気にしていない風なのが、不幸中の幸いであった。

 だが第1王女フールは戻って来なくて良いと言われたらしく、そのままブルームロード王国に残り、早晩妃教育が始まる手筈となったのだが……。


「えぇ…わかんなぁい」

「なんで? どうしてあたくしが、そんな事を覚えないといけないのぉ?」


 王太子妃としての教育が全く進まない。

 他国の王太子妃として以前の…王女としての最低限の常識さえ備わっていなかった。

 出来る事と言えば我儘と文句を言う事と、着飾る事だけ。

 オレンジリリーと嗤われるソアラと、団栗の背比べ…かもしれない。


 ヨーゴン王国としても、彼女を駒として使うつもりは欠片もなかったのだろう。

 恐らくは、自国の宮殿内で朽ち果てさせるか、下位貴族に嫁がせられれば御の字だ…と考えていたに違いない。

 その程度には酷い有様だった。


 これで更に、ブルームロード王国側は頭を抱え込む。

 何しろ王太子トーマス自身が、周囲からの支えを……それも特大級の支えを必要としている。更に言うならトーマスの希望で彼の婚約者と内定されたソアラも、外見だけのお荷物だ。


 だからこそ、その支えの一端となる筈だったセリオールの妃には優秀な人物を…と考えていたのに、これではセリオールが一人苦労を担う事になり、早晩倒れてしまう事間違いなしである。

 いや、倒れるだけならまだしも、最悪寿命も縮めてしまうだろう。


 王と王太子夫妻を除く者達は、一縷の望みを賭けてソアラの妃教育に乗り出した。


 早々に婚約者として正式な書類を整え、広く公表もしなければならないのだが、それより確認が先だろうと意見の一致をみる。

 派手な容姿ばかりが取沙汰されていたソアラだが、腐っても公爵令嬢。最低ラインはクリアしているだろうと期待が寄せられた。


 当然だが『王宮内を走らない』『大口を開けて笑わない』等、本当に最低限はクリア出来ていた。

 しかし、それ以上はお察し……であった。

 『オレンジリリー』との呼び名は、伊達ではなかった事が証明されてしまった…全く以って嬉しくない。


 それでもどうにかしなければならない。

 嘆いた所で現実は待ってくれないし、勝手にどうにかなってくれるものではない。貴族同士の力関係の把握や語学は、直ぐに教育を始めれば何とかなるだろう…と目を瞑られる事になった。


 そうして、最終的に何度目かの交代劇が上演される。


 とてもではないが、王太子夫妻としての最低限の面目も保てないトーマス夫妻と、第2王子セリオールと未来の妃ソアラの立場を、入れ替える事を決定したのだ。


 第2王子セリオールが王太子に…その婚約者予定のソアラが王太子妃となる事が決まり、その決定をトーマスに伝えた。

 王妃もセリオールも…当然宰相も渋るだろうと考えていたが、トーマスはあっさりと受け入れた。

 その妃となるヨーゴン王女フールも『じゃあ、もう難しい事覚えなくて良いの!!??』と飛び跳ねて喜んだ。


 ごねて、最悪セリオール暗殺などを企てられるよりマシだが、あっけない幕切れにホッとして良いのか、苦悩すれば良いのかわからなくなった…と言う。

 最後の難関…王の反応はと言うと、これも『トーマスが受け入れたのならそれで良い』と、肩透かしのような結果だったそうだ。





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