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そのセリオールが間もなく成人を迎える頃合いに、隣国ヨーゴンから先ずは顔合わせ…と、第3王女一行の来訪が決定する。
ただ、やってきた王女は一人ではなかった。
ブルームロード王国側が聞かされていたのは、聡明と噂に高い第3王女だったのだが、何故か第1王女までやってきてしまう。
同行してきた外交官が、非常に恐縮しながら話すには、国外に一度も出た事のない第1王女が、どうしても行きたいと駄々をこねたらしい。
隣国外交官も、その辺はうまく暈して伝えれば良いものを、何故か涙ながらに正直に話した。それが理由ではないが、ブルームロード側も思う所はありながらも受け入れる……しかないではないか…既に来てしまっているのだから。
だが、ここで思わぬ事態に直面する。
主役であるはずのセリオールと隣国第3王女の対面となった時、随伴していたトーマスが、同じく随伴していた隣国第1王女に一目惚れしてしまったのだ。
いざ対話を…と互いに一歩踏み出したセリオールと第3王女を押し退け、トーマスは、第3王女の隣でボケッとしていた第1王女の前に跪いた。
「何と言う可憐な愛らしさ!
これは神の御導きか……あぁ、花をも霞ませる女神よ…どうか我が手を取って欲しい!!」
ギョッと半歩下がった第1王女フールの前で、熱烈な……あ~ちょっと…いや、かなり陳腐なセリフを恥ずかしげもなく垂れ流すトーマスに、その場にいた全員がドン引いた。
当然、その後はセリオールと第3王女の見合いどころではなくなる。
場は騒然となり、一旦解散を余儀なくされた。不幸中の幸いだったのは、内々の顔合わせの場だった事。万が一、これが翌日のパーティー会場だったら、一瞬で全てが拡散してしまっていただろう。
元々政略の為の婚姻で、セリオールと第3王女の間には何の感情もない。
どちらも自分の立場をしっかりと認識しており、粛々と進む筈だった婚約話に一石…どころか大岩が投げ込まれたのだから、該当者2名…セリオールと隣国第3王女は揃って呆然としていた。
無理もない反応だろう
しかし呆れてばかりもいられないのは両国関係者達だ。
内々の場だったとは言え、この事態に頭を抱えなければならない事に、何ら変わりはない。
ヨーゴン王国への問い合わせを始め、昼夜を問わずの話し合いの結果、トーマスがヨーゴン第1王女を娶り、セリオールが兄トーマスの婚約者…自国貴族であるメゾット公爵家令嬢ソアラと婚約させられる事になった。
トーマスとソアラの婚約は内定段階で、まだ明文化されていなかったし、妃教育も始まっていなかったと言う事での、半ばゴリ押しの結果である。
ただ…王太子妃となる筈だったのに…とメゾット公爵家側は不満をあからさまに表明した。
実際公表もされていなかったのだし、セリオールが王籍を抜けない事は決定済みな為、王家の一員となる事は確約されている。
メゾット公爵家側も、渋々ではあったが受け入れた。騒いだところで隣国をも巻き込んだこの決定が、今更覆るとは思えないし、反対に騒ぎ立てる事で婚約をなかった事にされる方が堪らない…とでも思ったのだろう。
これは公式な発言ではないが、ヨーゴン側の方が恐縮して何度も『申し訳ない』と言ってたと、実しやかに囁かれている。
どうやら第1王女は、かなりポンコツなようだ。




