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【完結済】私さえ消えれば、全て丸く収まるのでしょう  作者: 紫


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「ま、変更に次ぐ変更になったが…お前の妹を誘拐して、王太子妃に返り咲く…これに変更はないな?」


 ガモールも調子に乗って、ソアラの胸の果実に手を伸ばしている。


「えぇ…だって、仕方ないじゃない。

 ガモールが失敗したんだから」


 ガモールは一瞬ムッと半眼になったが、それを誤魔化すように苦笑いに切り替えた。

 そう…ソアラの指摘通り、ガモールはフール王女の篭絡に失敗していたのは事実である。

 馬鹿で我儘で尊大…そんな女だから、ちょっと突くだけで簡単に靡(なび)くと思っていたのだ。別にガモール自身が望んだ事ではないが、彼は恵まれた容姿をしている。


 体躯は筋肉質で着やせして見えるが、所謂(いわゆる)『中身は凄いんです』と言う奴だ。

 顔立ちも、少し垂れた目元が色気を添えるかなりの美貌を持っている。


 ソアラからしてみれば、元々婚約者だったトーマスは、身体つきは好みの着痩せマッチョタイプだったが顔立ちは派手な癖に造作はいまいちで、そこは気に入らなかった。

 スライドで婚約者となった第2王子は顔立ちは好みではあった。

 甘くはないが怜悧な美貌でゾクゾクする程。


 しかし年下で、身体つきはほっそりとしたしなやか系。

 自分の顔身体に溺れないその様子にも、ソアラの自尊心が大いに傷つけられたし、何より空気感が冷たく、隠そうとはしていたが滲み出る忌避感にイライラさせられた。


 ガモールはその中間。

 体躯がトーマス系で、顔立ちは系統は違うもののセリオールのような人間離れした美形。その上、女の扱いに長けていて夜の技巧もなかなかのもの。


 それなのにフール王女は靡(なび)くどころか、ムッと口をへの字に曲げたのだ。思った以上にトーマスからの溺愛に満足しているようで、ガモールの手に落ちてこない。


 何しろ彼女の短所…傲慢で我儘且つ尊大…と言う部分が、少々削ぎ落とされていた。あくまで『少々』なので、無くなった訳ではないのだが、フールの窓口はトーマスに集約されていて、侍女達が直接フールの被害に遭う事がなくなっている。

 すべて『トーマス』というワンクッションが置かれている事で、問題に蓋がされているのだ。


 そうして、一見穏やかになり、被害が減った事でフールの評価がちょっぴり上向く。更にトーマスの溺愛はフールの希望に合致しているらしく割れ鍋に綴じ蓋よろしく、日がな一日イチャイチャラブラブ状態で、他の男が入り込む隙がない。

 そんなこんなでフールを篭絡し、言う事を聞かせて帝国とヨーゴンの間の均衡を崩そう計画が日の目を見る事はなくなった。


 勿論、ガモールがどんなにソアラの好みで、彼女の所有欲を刺激したとしても、『他国から侵入してきた火種』いうのはよろしくない。

 知らなかったならまだしも、つい話が聞こえて知ってしまった以上、バレればソアラは他国の間諜を引き入れた罪に問われるだろう。メゾット夫妻にしても匿った事で処断され。

 最初は知らなかった…それは本当の事だが、そんな言い訳が通用する筈もない。


 正直、妃教育代行疑惑…程度では済まない。

 その為、秘密裏にミッケン王国と内通する事にしたのだ。

 更にソアラを王太子妃にしてしまえば、自分達の罪は隠しやすくなるし、ミッケンとの蜜月に不安もなくなる。何しろ王太子妃と言えば、国の最高権力者一族なのだから、やりたい放題に出来るだろうと考えたのだ。



 ……はっきり言って構わないと御許し頂けるのならば…馬鹿である。それも底抜けのお馬鹿さんだ。





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