4人のパイロット
バイオエレクトロニクス研究所 地下2階制御室
「酸素飽和度70よりさらに低下。酸素、循環量ともに最大です」
「機械の異常はないよな」
「エラーは何も出ていない」
「どうして・・・」
「このままでは壊死が始まるな・・・」
「強制スリープをかけます」
「そうだな」
「細胞安定剤、100マイクロ。同時に強制スリーププログラム開始」
「プログラム発動確認」
「スリープ状態に入りました」
「酸素、循環量はそのままを維持」
「強制的に活動を停止させれば、必要酸素も減るはずだ・・・」
「酸素飽和度の低下、止まりません」
「スリープしていないの? 確認して」
「そっちはどうだ?」
「確実にスリープしているはずです」
「再度スリーププログラム発動」
「スリープ状態のため、プログラム受け付けません」
「酸素飽和度67」
「細胞活性の低下が始まりました」
「どうして・・・」
「このままじゃ、まずいぞ・・・」
独立遊撃部隊輸送機
「まもなく入笠山南東、ケルベロスが隠れた地点上空です」
そこは入笠山から続く山林地帯で、集落からは遠く離れ戦闘に気を使うようなものは何もなかった。
遠藤が輸送機の高度を下げ始めた。
「整備員はコクピットを離れてください」
上田が各整備員に告げた。
「水瀬さんを送り出すなんて、ちょっと変な感じですね。機体に問題はありません。いってらっしゃい」
古手川はパイロットスーツ姿でシートの座る水瀬に、姿勢を正し敬礼をした。
「ありがとうございます」
水瀬のヘルメットが頭を下げるように動いた。
古手川は敬礼したまま笑顔を向けると、コクピットを離れた。
「水瀬さんの教え通りに確認しています。問題ありません」
城山が2番機のシートに座る市ノ瀬に自信を持った声をかけた。
「ありがとうございます。城山さんの整備は、派手に動けますから」
市ノ瀬はヘルメットの中で城山に笑顔を向けたが、バイザーのため城山には見えなかった。
「ご武運を!」
城山は姿勢を正し市ノ瀬に敬礼をすると、リフトに乗った。
「機体に問題はありません。この作戦で終わることを祈っています。無事に帰って来てください」
藤代はそう言ってコクピットを離れるとリフトに乗った。
「いつもありがとうございます。安心して出られます」
梅原の声に、藤代はリフトの上で姿勢を正すと梅原に向かって敬礼をした。
そしてその姿勢のままリフトが下がって行った。
「何かあったの?」
大森は先ほどの緊急通信を察し、報瀬に聞いてきた。
「ああ、ちょっと研究所のコクピットでトラブルのようです」
「大丈夫なの?」
大森の表情が曇った。
「全く問題ありません」
報瀬はバイザーを上げると、笑いながら手足を動かした。
「何かあったら、すぐに言ってよ」
大森は報瀬の動きに安心したようにリフトに乗った。そして、報瀬を振り返ると微笑みながら敬礼をした。
「無事の帰還を待ってます」
リフトが下がる。
「大森さん、いつも整備ありがとうございます」
大森のヘッドセットに報瀬の声が届いた。
「整備員、全員戻りました」
「降下開始。左右、後部ゲート開け」
3方向のゲートが大きく開く。それにより、輸送機を流れる気流が乱れ機体が揺れ始めた。
遠藤はそんなことを気にもかけず機首を下げた。
「先にあたしと慧ちゃんが出る。いい?」
「了解」
「りょーかーい」
「慧ちゃん、行くよ」
「はい」
「フェイクワン、降下」
「豆蔵、行きます」
長いレールガンを抱えた0番機が後部ゲートから飛び出した。すぐにバッテリーを背負った3番機がそれに続く。
「ハグミミ、行ってきまーす」
「梅干し、出ます」
左右のゲートから、1番機と2番機が同時に輸送機を離れた。
「索敵モニターに反応。ケルベロスです」
上田の緊張した声がコクピットに響いた。




