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爆撃


統合軍本部作戦司令室


 「報瀬君がレールガンを受け取りに長野基地に降りたようです。輸送機はそのまま入笠山に向かっています」

 篠原は作戦司令室から、本部長室の大川に向かって現在の状況の説明をしていた。

 「ケルベロスは入笠山南東からゆっくりと山梨方面へ進行しています。山梨に入ると、その先は研究所です」

 「まずは街への進行を止めないと、厄介だな」

 モニターに映る大川は眉をひそめた。

 すると司令室の大型モニターに映るケルベロスがズームアウトした。ドローンがケルベロスから離れたのだ。

 「戦闘爆撃機の攻撃が始まりますので、一旦切ります」

 篠原は大川との回線を切った。

 「戦闘爆撃機、目標エリアに到達」

 「目標、ケルベロス生殖雌個体。作戦開始」

 巨大な生殖雌個体は動きが遅い。そのため、通常のケルベロスには使用できなかったミサイルや爆撃による攻撃が可能のはずだ。ケルベロスが市街地に出る前に爆撃による攻撃を一気に仕掛ける作戦だった。

 『粘着誘導ビーコン射出』

 『誘導波確認』

 『座標の学習完了』

 『1番機より順次攻撃。誘導弾を全て打ち込め』

 ケルベロスに向け、10機の戦闘爆撃機から誘導弾が次々と射出される。

 すぐに爆炎がケルベロスを包んだ。爆発がいくつも続く。

 衝撃波でドローンからの映像が切れた。

 全弾が命中した。

 『おい、マジか!』

 戦闘爆撃機のパイロットの驚く声が聞こえた。

 「映像回復します」

 大型モニターにドローンからの映像が再び流れ出した。

 司令室の全員が息を呑んだ。

 そこには残る爆炎とともに、何事もなかったかのように歩き続けるケルベロスの姿があった。

 「これだけの火力でも効果なしか。一体どれだけ硬いんだ」

 篠原は呆然とモニターを見つめていた。

 「独立遊撃部隊まもなく現場に到着します」

 オペレーターの声に篠原は我に返った。

 「戦闘爆撃機を帰還させろ。古川を呼べるか」

 すぐにオペレーターが古川を呼び出した。篠原の前のモニターに古川の顔が映る。

 『古川です』

 「今のは見たか?」

 『はい』

 「やれそうか」

 『先ほど報瀬君から連絡があり、レールガンとともに軍の輸送機でこちらに向かったと言うことです。それで一点集中を狙ってみます』

 「あとは頼む」

 『了解しました』

 モニターの古川が敬礼をすると、通信が切れた。

 ドローンの映像が再びケルベロスを大きく捉えた。

 別のドローンが、ケルベロスに近寄るそのドローンを映していた。

 その直後、ケルベロスは近づいたドローンに向け大きく飛び上がると、よってきたハエでも追い払うように右腕をドローンにぶつけた。

 一瞬でドローンが飛び散る。

 着地したケルベロスの周囲に、なぎ倒された木々と凄まじい土煙が立ち上った。

 




独立遊撃部隊輸送機


 「見た。今の」

 降下のためにゲート近くに立つ2番機の市ノ瀬が、厄介なものを見たよう言った。

 「硬い上に動きも速いね。さすがなんでもありの世界から出てきただけのことはある」

 梅原は感心するように言った。

 「どうする?」

 「報瀬さんが向かってるから、とりあえず街に出ないように誘導しよう」

 「りょーかーい」

 「遠藤さん、安全なところで降下してください。勝手に降ります」

 輸送機はゲートを開けたままケルベロスから距離を取るように高度を下げ始めた。

 「梅干し、出まーす」

 「ハグミミ、いっきまーす」

 2機はゲートを飛び出した。

 


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